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案件ガチャについて考える

はじめに

2021年の流行語の一つに「親ガチャ」が入ったようだ。つまり、子が良い人生を送れるかどうかというのは、両親の所得や教育方針といった家庭環境に大きく左右されるということだ。

なんと悲しい言葉が流行るんだと暗い気持ちになるが、格差の拡大や貧困の再生産という社会問題を皮肉的に表してる言葉なのだろう。

で、この「◯◯ガチャ」という言葉は大変汎用性が高い言葉で、外的な力で否応なく決定されてしまう事象に関してはなんでも使えてしまうようだ。

そして、最近SNS上でよく見るのが「案件ガチャ」というものだ。つまりアサインされる案件の良し悪しが不確実であることを揶揄してこのように言うようだ。そこでこの記事では、案件ガチャが発生する条件、問題点、対策について検討してみる。(断りを入れておくと、今回の案件ガチャはIT業界に局所化したものを取り上げる)

案件ガチャの発生条件

・発生業種: これはSESだけに特有のものかと考えてる人も多いかもしれないが、そんなことはない。例えば、自社サービス企業でも起きる。その場合は、「配属ガチャ」とか「担当ガチャ」ということになるのだろうが、起きてる事象は変わらない。

・発生タイミング: これはもちろん一つの案件の契約を終えて、次の案件への参画タイミングで発生する。これも配置転換や異動をトリガーに自社サービス企業でもおきうる。

ただ数ヶ月、長くても3年程度で現場を転々とするSESの方が頻度が高い印象は否めない。つまりSESの方がガチャを回す回数は増える。

案件ガチャにまつわる主要登場人物

本人: これは当然である。
営業: 案件を取ってくる主体。本人が仕事をとってくる場合はいないこともあるが、まぁ少数だろう。
上司: 体制上は本人に作業指示をしたり働きを評価するような立場の人…であるはずだが、影が薄くなるケースが少なくない。
顧客: 案件の発注元になる主体。建前上は本人とは違う会社なのだが、なぜか上司のように「可愛がって」くる。

以上が主要な登場人物ではあるが、状況によっては登場しなかったり、役割が統合されてるケースもある。例えば伝統的なソフトハウスはSEが営業を兼ねるシーンがある。ちなみに私は「自社サービスの配属もガチャのようなもの」と書いたが、流石にここには営業は登場しない。

案件ガチャの問題点・対策

身も蓋もない話をしてしまうと、案件選択の場面から、ガチャの性質を完全に取り除くことはできない。

そもそも「沢山の事前情報を仕入れたが現実とは大きく異なった」なんてことはこの案件ガチャにとどまらずあらゆる事物で発生する。

なので、あらゆる努力を施した所で、ギャップを多少は小さくすることはできても完全にゼロにすることは出来ないだろう。

一応ギャップを小さくする対策としては以下のようなものだろうか。
1. 営業・案件情報以外から案件の情報をえる。例えば既に常駐している・常駐したことがある同僚にヒアリングしてみる。これは、必須でやってほしい。文書からは見えてこない「ニュアンス」が浮き彫りになってくることだろう。

2. 営業や上司など案件に入れ込もうとする人の過去のアサイン実績をえる。手短に言うと、「今まで当人のスキルや人格に沿っていない適当な案件に放り込んできてないか」というのを彼らの過去の実績から判定してみることだ。
この効果は高い一方、自社の営業を疑うような行為なので気がひけるかもしれない。それでも顧客に迷惑をかけるより遥かにましだ。

3. 案件に入った後も実はギャップを小さくできる可能性がある。例えば「面白そうな仕事が転がってそうな常駐先に、つまらない業務にアサインされた」とする。つまらない業務で成果を出しつつ、プロパーの社員とコミュニケーションをとり信頼度をあげる。そして、面白そうな案件がないかアンテナをはり、営業にエスカレーションし次の契約更改時にアサインしてもらうといった方法だ。
日々の業務をこなしつつ、プチ営業みたいなことをするのでかなり大変だが、やる価値はあると思う。フリーランスを視野に入れてる人は是非行動してほしい。

おわりに

案件ガチャとひとえにいうが、実はダメダメな案件というのも、反面教師的な意味で学ぶものが多い。
たとえ希望の案件に入らなかったといって、「ガチャ外したー」と嘆くだけではもったいないと思う。そういった案件を苦笑いと共に遂行できるようになったら、きっとどの案件からも重宝される人材と言えるかもしれない。

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