#183 佐藤航陽『未来に先回りする思考法』読書アウトプット(続き)

佐藤航陽さんの『未来に先回りする思考法』という本を読んだ感想が中途半端で、肝心の未来に先回りする話が理解できずじまいだったので、4章「未来に先回りする意思決定法」読み直しました。

未来に先回りするために重要なことは
1.常に原理から考える
2.テクノロジーの現在地を知る
3.タイミングを見極める

の3つだそうです。

それぞれ抜粋してみます。

1 常に原理から考える
世の中の製品・仕組み・サービスなどはすべて何かしらの必要性に迫られて誕生しています。しかし、時間が経つとその時代に最も効率的だと思われた選択肢も、実態の合わない時代遅れなものになります。それでも惰性で物事を進めてしまうのが人間です。新しい選択をし、ゼロから学習するのは誰だって面倒なのです。
手段が目的化することを防ぐためには、今やっている活動がどんな課題を解決するために誕生したのか、常にその原理を意識しておく必要があります。もし、その課題を解決するためにもっと効率的な方法がすでに存在するのであれば、今の活動は続ける意味はありません。
「原理」とは船が海に流れていかないようにするための碇のようなものです。原理に常に返ることができれば、自分の乗った船が流されることはありません。

P210-211「1 常に原理から考える」

「なぜ、この製品、この仕組み、このサービスがあるのか?できたのか?」ということを、気に入ったもの、気になったものについて少し考える癖をつけてみようかと思います。
例えば、私が大好きなバスケットボール。これは、YMCAの体育の先生が「冬でも屋内でできるスポーツを」ということで桃の籠をゴールにして誕生した、という話を中学で部活に入ったときに顧問の先生から聞きました。
といった感じで、ちょっとしたうんちくを増やしてみよう!くらいの気持ちで考える習慣として取り組んでみたいです。

2 テクノロジーの現在地を知る
課題への解決方法が時代に合っているかを判断するためには、テクノロジーの現在地を知っている必要があります。現代人で、東京から大阪まで行くのに徒歩で行こうと考えている人はまずいないでしょう。江戸時代にはそれが最適解だったと思いますが、今は車や新幹線などのテクノロジーを活用すればもっと速く行けることを誰でも知っているからです。
このテクノロジーを「知る」という行為には、以下の4つの段階があります。
①使える
②ポテンシャルがわかる
③なぜできたのかを原理から理解している
④実際の作り方がわかる
の4段階です。

コンピュータを使える人(①)は世界で27億人以上います。そして、コンピュータで何ができるのかというポテンシャルも、9割以上の人が理解しているはずです(②)。しかし、電子回路なども含めてコンピュータがどのように動いているのかを理解できている人(④)は0.01%程度しかいないでしょう。

未来の方向性を読むためには、④まで知る必要はありません。一方で①と②は多くの人が理解していて、差がつきません。重要なのは③の「原理」を知っているかどうかです。そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたのかを知ることで、その課題を解決する別の選択肢が誕生したときに、未来の方向性をいち早く察知することができます。

P211-212「2 テクノロジーの現在地を知る」

そのものの作り方を知らなくても、原理を理解していれば、別の選択肢が出ても、その新しい選択肢の活用法や目指す先を考えるにあたって、原理を理解していない人と比べると格段に差が出そうに思います。

3 タイミングを見極める
物事の原理を知り、より効率的な別のアプローチも思いつき、技術的にもそれが実現可能であると理解できれば、最後は適切なタイミングにアクションを起こすだけです。そして、そのためには、必要なリソースを調達する必要があります。実は、これが最も難しいのです。
未来が読める「だけ」では価値はないのです。その恩絵にあずかるためには、未来に向かう電車が来るタイミングで、必要なリソースを揃えて、駅のホームで待っていなければなりません。
そのためには、まず自分が持っている手持ちのカードをきちんと把握し、電車が来るまでの残り時間の中で、足りない条件を揃える必要があります。
電車がやってくるタイミングが直近であればあるほど、同じことを考えホームで待つ人は増えますから、一人ひとりが得るリターンは減ります。一方、そのタイミングが遠ければ遠いほど準備している人は少なくなり、リターンは大きくなります。競争が激化する前に参入障壁をつくり、先行者利益を享受することもできます。しかし、そのためには長い期間準備するための経済的余裕が必要になります。どのアクションが最適かは、そのあたりを紙して判断しなければいけません。

P213-215「3 タイミングを見極める」

タイミングは難しいですね。
早すぎて日の目を見なかったサービスや製品はこれまでたくさんあると思います。2003年にアバターを使ったサービスが出ても当時は普及しませんでした。
ここで書かれているのは、そのタイミングを読むことだけでなく、リソースを揃えて準備万端でいることだそうです。それも自分のリソースを把握し、足りないものがあれば補って準備をしておく。
ある意味、賭けのような気もしますが、アクションを起こすタイミングからできるだけ遠いところで準備しておくことが大事だそうです。

あと書き残しておきたいことが1つありました。

物事がうまくいかない場合、パターンを認識するために必要な試行回数が足りていない場合がほとんどです。サンプルが必要だと頭ではわかりながらも、感情的な理由から十分な数が集まる前にあきらめてしまう。目標の達成を阻んでいるのは、実は人間の感情というフィルタだったりします。
もちろん、人間である限り、この感情の揺らぎから逃れることはできません。それでも、一回一回の成否に一喜一憂せずに、パターンと確率が認識できるまで「実験」だと割り切って量をこなすことが重要です。

P216-218「パターンが掴めるまで意図的に失敗を重ねる」

これは去年参加した新規事業創出の研修でも近いことを教わりました。
顧客にヒアリングを重ねて「仮説検証」をすることです。
この本でいう「実験」と同等のことかと思います。
その研修では、ヒアリングと仮説検証の数が多い人ほど事業案が具体的で現実的なものになることが多かったように思います。
大事なのは「実験をすること」、さらに「一回一回の成否に一喜一憂しない」ことですね。

この本を読んで、誰も思いつかないようなサービスを自分が考えられそうだ!とまではなりませんが、物事の原理を考えてみるというのは、非常に興味深く、実践してみたいと思う内容でした。

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