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SnowboardingとLeadershipについて【社長Blog】

会社の代表をやっていると色々な人と話す機会があって、日々刺激を受け続けられるのは本当にありがたいことだ。その中でも、実は社員との話から考えさせられることはとても多い。

先日とある社員との会話の中でこんな話をされた。

宮坂さんはリーダーシップを全然わかってなかったと言うが、今まで生きてきた中で学んできたこともあるはずじゃないですか?それこそスノーボードから学んだこともあるでしょう。そういうのをちゃんと言語化して大切にした方がいいと思います

そのとき、元Yahoo! JAPAN CEOで、今は副都知事というなかなか会えない人になってしまった宮坂学(光栄にも同姓)さんがランチ食べながら話してくれたことを思い出した。

自分がリーダーとして意識していたのは、バックカントリーのガイドの考え方。自分が責任を持ってパーティーをリードし、無事帰ってこれるという直観があれば行くし、なければ行かない。

自身もハードコアにバックカントリースノーボードの世界に浸かっている宮坂さんの発言として、「なるほど」と思った。自分も体験から学んだことをちゃんと言語化していけば、宮坂さんのようにしっかりそれを糧にできるかもしれない。

素直にそれをやってみようと思ったのが、今回のブログだ。

スノーボードにハマったのが20才ぐらいなので、少しだけその前の話から始めると、どちらかと言えばリーダー気質があったと思う。生徒会長とか、部長とか、オフィシャルな形でリーダーを務めたわけではないが、なんとなく仲間で集まったときはそのような位置付けであることが多かった。

オフィシャルにリーダーをやったのは、文化祭でお化け屋敷をやったとき。自分が考案したアントニオ猪木をモチーフにしためちゃくちゃなコンセプトのお化け屋敷で、壮大な装飾を制作し、装飾大賞かなんかを頂いたはずだ。あのときは、建築士の親を持つHくんが副リーダーを務めてくれて素晴らしい装飾を実現したり、強引にリクルートした下級生が色々勝手に仕掛けを試行錯誤してくれたりして、いいチームワークで楽しくやれたように記憶している。

そういった経験を振り返ってみて思うのは、自分がやりたいことをとにかくやってると、一緒にやってくれるやつが現れる、というパターンが多かったなと思う。ギターもそう、バスケもそう、猪木のお化け屋敷もそう。

ではスノーボードはどうか?

スノーボードとリーダーシップ

スノーボードは集団競技でもないし、誰が明確にリーダーというのは基本的にはない(バックカントリーは別)。しかしカルチャーをリードする存在はいる。会ったことがある人もない人もいるが、Craig Kelly、Terje Haakonsenなどはきっとそうだし、日本でも玉井太朗さん、西田洋介さん、そしてKazuもそうに違いない。

そういった人たちに共通しているのは、ビジョンで周囲をインスパイアしていることだと思う。直接的・間接的に見ている限り、彼らは身の回りのことから社会問題にまで自分の意見を持っていて、もちろん人生を捧げるスノーボーディングについてもビジョンを持っている。それを滑りや、イベントや、話を通じて周囲に伝えていき、彼らの方向性に共鳴する人たちが現れてくる。

僕はテリエと少し時間を共にする幸運な機会に恵まれたわけだが、一緒にいると彼が本当に色々なことについて常識にとらわれない自分の考えをもっていて、それを実践していることに気づく。オリンピックの件は有名だが、例えば飲むコーヒーはMushroom Coffeeにこだわって日本にも持参するなど、日常生活でも各所にテリエとしての考えが滲み出ていた。

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Arctic ChallengeでのTerje

個人的に僕が衝撃を受けたのは天神バンクドスラローム。初めてコース造成に参加したとき、何十人という大の大人たちが何日もボランティアで駆けつけて、過酷な雪上土木作業に精を出していた。しかも頑張って造ったコースが大雪によって一晩で埋まってしまうことも…。初参加の僕は1日で体がバキバキになるほどの重労働だったが、大会当日は完成したコースに何百人という人が集まって素晴らしいイベントなり、半端じゃない充実感を味わった。(自分はコースアウトで即DQ…)
バンクドスラロームは元々はアメリカ ワシントン州のMt.Bakerが発祥であるが、西田洋介さんたちが「スノーボードイベントはハーフパイプやスロープスタイルなどの競技が中心となり、普通の人がもはや参加できないものになってきている。もっと普通の人でも参加できるものがあった方がいい」という思いで日本に導入した。バンクがついたコースを滑ってタイムを競うという非常にシンプルなのものなので、誰でも参加できるのが素晴らしいところで、間違いなくスノーボードの楽しさの幅を広げていると思う。

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photo by me (TBS2015造成風景)

ボランティアで駆けつけた多くの人は何らか業界に関わっている人が多いが、やはりこの思想に共鳴してここに集っている人たちだった。その人たちに明確に何かを指示するようなことはもはや全くしていなかったが、その空間のリーダーはやはり西田さんであったように思うし、また新たなリーダーたちがその下に育ってもいた。

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※ 西田さんと僕の対談記事はこちら↓
プロスノーボーダー西田洋介と、BONX宮坂CEOが考える「遊びのイノベーションの起こし方」

テリエや西田さんのような業界のカリスマ的存在ではなく、もっと身近なレベルでも同じような事が言えるのかもしれない。

グループで滑るとき、なんとなく誰かが前を滑るわけだが、だいたい上手い人や地形を知っている人が前になる。いつも一緒に滑るグループであれば、その人のスタイルが自然とそのグループに伝播していく。それは滑りのスタイルもそうだが、ファッションとか滑り以外のスタイルについても言える。特にスタイルがかっこいい人や、一緒に滑ったら楽しい人にはついていく人が増える。そして集団としてのスタイルが出来上がっていく。

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photo by me (谷川岳天神平にて)

オフィシャルな組織があるわけでもなく、オフィシャルな肩書きがあるわけでもないが、こうして特定のスタイルやカルチャーを共有した集団が出来上がり、その中でリーダー的な存在も生まれる。

まとめると、スノーボードにはオフィシャルにリーダーというかそもそも組織は存在しないが、その人のビジョンやスタイルに人が集まる形でリーダーシップが生まれる、という見方ができそうだ。アメフトのHCのように明確な指示をチームに出していくようなスタイルとは全く異なるが、これがスノーボーダーのリーダーシップのあり方かもしれない。

自分が昔から無意識的に実践してきたのものこのようなリーダーシップだったように思う。スタートアップCEOの仕事は全く甘くなくて、より確固としたスキルが必要となる。そして自分としては不足しているだらけだと思う。
その一方で、社員に言われた通り自分が培ってきたものも大切にしていきたいと思う。

ちなみに、ちょうどこのSimon Sinekが共通する話をTEDトークでしていたので、ぜひご覧ください。

There are leaders and there are those who lead. Leaders hold a position of power or authority, but those who lead inspire us.

https://youtu.be/u4ZoJKF_VuA