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芸人という職業について。

先日、知り合いから「中学生以上の子供の前で芸人という職業について1時間ほど講義をしてくれないか?」と頼まれた。マネージャーを通して営業として仕事を受け、その仕事がこれを書いている2日後にある。僕はnoteの記事を書いて下書きに保存して何日かして投稿するので、これが投稿される頃にはもうその仕事は終わっている。ただこれを書いている本番2日前の夜の時点で今、何を喋ろうか全く決まっていない。なので今回はその本番に向けて、芸人という職業について僕が思うところ、伝えたい事を書いていこうと思う。

まずは僕がどういう人間なのかという自己紹介から。大阪の吉本興業に所属する盆と正月というコンビの橋爪というツッコミ担当のお笑い芸人。芸歴は11年目。NSC大阪35期卒。
売れていない若手芸人で、アルバイトをしているが、月に数回よしもと漫才劇場という劇場に出演している。他、配信やラジオなどに出演。

ちなみにこのよしもと漫才劇場という劇場は、オーディションに勝ち上がった者だけが出演でき、現在出演している芸人は95組ほどいる。それに対して漫才劇場に出る為のオーディションに参加している芸人は500組ほどいる。つまり600組の中の上位100組に入っていても、生活できる程は稼げずにアルバイトをしている芸人が沢山いる。たぶんアルバイトせずに生活出来ているのは30組くらい。つまり競争に勝ってかなりの上位に入らないと十分に稼げない厳しい世界なのだ。

僕は小さい頃からお笑いが好きでテレビが好きで、高校生の頃は芸人に憧れは持っていた。でも高卒で芸人になる勇気は無く、とりあえず勉強して大学に行った。そして大学に行っても気持ちは変わらなかったので、大学を卒業して吉本の養成所、NSCに入学し芸人になった。
自分の進んできた道に全く後悔はしていないが、強いて言うならもっと早くから将来のことを考えて色々調べたりするべきだったなと思う。僕は高校2年の終わりまで、部活とゲームをしてバラエティを観ることしかしていなかった。だから高校2年の終わりにみんなが勉強し出したのをみて焦って勉強して、とりあえず大学に行った。もっと中学からとか、高校1年から将来のことを考えて、こうなりたいから自分はこうするべきだとか、こうなるには何をしないといけないかを調べたりとかしていたら、もっと違った人生だったのかなとも思う。
でも中学とか高校の時に将来の自分の職業を決めるなんて難し過ぎるし、何をしたいかわからない人とかはとりあえず勉強して大学に行くでもいいと思う。大人になってからやりたいことが見つかればそこに突き進めばいいし、その気になったら何だってやれる。

さて、僕は芸歴11年で売れていないのですが、売れていない芸人のしんどさを話します。
まず学生さんなどはピンとこないかもしれないですが、一般的にサラリーマンなどになれば月収20万円とか、25万円とか貰えます。人によってはそれがどんどん増えていきます。さらに優良企業ですとボーナスが年に2回、30万とか50万とか人によってはもっと貰えます。
しかし売れていない芸人はアルバイトをします。大体月収は12〜15万円ほどです。ちなみにアルバイトでも20万円とかは稼げるのですが、芸人はネタ作りやネタ合わせ、ライブ出演(これもお金を払って出させてもらう)に時間を割かないといけないので頑張っても12〜15万円ほどになります。そうするとかなり生活は厳しいものになります。家賃はだいたい4〜5万するし、それにケータイ代ネット代、健康保険料、住民税、国民年金、食費、生活用品、、、
だいたい毎月お金が0円になります。服を買ったりデートをしたりはほとんど出来ません。モテたいから芸人になったみたいな人もいますが、僕はモテたいなら正社員で働くべきだと思います。しっかりお金を稼いでオシャレして車に乗ってデートした方がモテるに決まっている。

そしてこんなにも貧乏生活をしながら、時給の発生していないネタ作りとネタ合わせを何十時間、何百時間、日々行っていく。そして人前でそのネタを披露し、、、めちゃくちゃスベる日々。
この時は毎回絶望する。とにかく凹む。元気が無くなる。何もやりたく無くなる。でも、寝て起きたらまたネタを考えている。何故か芸人を本気で辞めようと思った事は一度も無い。こういう時にいつも『俺、めちゃくちゃお笑い好きなんやな』と思う。
自分だけで無く、芸歴10年くらいやって売れてないのに辞めてない奴はみんなめちゃくちゃお笑いが好き。だから続けられてると思うし、みんな芸人になった事を後悔していないと思う。僕も11年売れてないけど、芸人になったことは全く後悔していない。どんなに苦しくても、売れるためにだったら何でも耐えられるし、何を失っても良い。売れた時に全てがチャラになると信じている。この感覚が『夢』なんだと思う。
僕は芸人になると決めた時、やっぱりかなり覚悟を決めた。とても勇気が必要だった。でももしここで一歩踏み出さなかったら死ぬ時に「あの時芸人になってたらどうなってたやろなぁ」って思うと思ったから、そうなるのは嫌だったから芸人になった。だからいま売れてないし、この先も売れないかもしれないけど、絶対に後悔はない。全力でやってダメだったら仕方ない。後悔のないようにいま努力もしているつもりだ。


さて、書き出したらかなりの長文になってしまいました。笑
まだ芸人になって思うコミュニケーション能力とメンタルの大切さとか、挨拶と時間を守る事は大切とか、色々あるのですが、そこは当日アドリブになんとかしたいと思います。
いつも1000文字くやいやのに今回2000文字超えて疲れたのでこの辺にしときます。
とりあえず後悔のない人生を!ということは伝えて来ます。

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