芸人を辞めたら幸せになれるのか?
先日、芸人を辞めた同期数名と飲みました。そんなに珍しい事ではなく年に数回そういう機会があるのですが、その度に色んな人の現状の話を聞く。みんなそれぞれの道で働いてしっかり頑張っているのですが、全員が全員めちゃくちゃ楽しそうに生きているのかと言われたらそうではない。もちろん楽しそうに人生をエンジョイしてるように見える奴もいるけど、大抵みんなが口を揃えて「芸人続けた方がいいよ」と言う。
それぞれの理由があってみんな辞めていったとは思うのだが、やっぱり芸人を辞めて働き始めてお金的な安定はあるものの、芸人をやっていた時の方が毎日刺激的で楽しかったと言う人がほとんど。周りにいる人間がみんな面白いというのも一般社会に出るとそんな事はあり得ないので、芸人ならではの環境らしい。
僕も芸人を12年やっていると、辞めたらどうなるんだろう?と考えた事は何回もある。たぶん僕は芸人を辞めても何かしらの仕事を毎日しっかりとこなし、休みの日は出掛けたりしてなんやかんや楽しく生きていけるとは思う。ただ芸人を辞めなくても今の所楽しく生きていけているので辞める理由がない。
あとお笑いを辞めてしまったら、人生の大きな目標を失ってしまう。芸人になると決めたその日から、全ては芸人として売れる為に生きてきた。色んな経験も成功失敗も全ては芸人としての道に生きてくる。売れたら全てが正当化できると思って生きてきた。
そんな僕が芸人を辞めてしまったらこの先何の為に生きていけばいいのかわからなくなる。ただ働いて、ただ遊んで、旅行とかも行って、楽しい日々をそれなり過ごして死んでいく。なんかもうそれが確定な感じがする。何を言っている?めちゃくちゃ幸せな事じゃないか?確かにそうなんだけど、やっぱり芸人をつづけるしんどさこそあるけど、夢とか目標があった方が良い人生な気がする。
もちろん家族に何かあったりとかやむを得ない事情があれば辞めることもあるとは思う。ただ続けられるうちは続けたいし、挑み続けたい。辞めたことがないから辞めた時の気持ちはわからないけど、きっと楽しいのは一瞬で物足りない気持ちが生まれてきそうな気がする。
あとはここまで12年も取り組んだ漫才を、ここまできて捨てるのは勿体ないという気持ち。あんなに憧れていた漫才師に少しばかりは近づいて、寄席とかにも出られている現状を幸せに思う気持ち。まだまだ俺はこんなもんじゃない、アイツにもアイツもにも負けてるはずがないと言う気持ち。色んな気持ちがある。
だから辞めてもそれなりには楽しく生きられると思うけど、人間として人生として生き生き出来るのは辞めずに頑張る事だと思う。
まだ辞めずに続けられていることに感謝して、粘り強く、がんばれ橋爪。
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