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2024年秋エッセイ【1】竹本隼太の菩提寺を訪ねて

本年1月開催の第50回全国小品盆栽名品展終了日の翌日午後、私が住む都内中野区に所在する龍興寺を初めて訪ねた。同寺院は盆栽鉢作家の竹本隼太が眠るお寺で、旗本の菩提寺として「旗本寺」の異名もあるとか。中野区上高田の“寺町”(早稲田通り沿い)の一角に在り(JR東中野駅もしくは地下鉄東西線落合駅から徒歩8分ほど)、柳沢吉保の正室や側室の墓所でもあると言われる。

拙宅からは徒歩で約30分であるが、往路はタクシーを利用し10分ほどで到着。

寺院の方に案内して頂き、建物裏手に墓地があり、竹本家の代々の複数の墓石も並んでいる。「盆栽小鉢の面白味」(忍田博三郎著)によれば、隼太氏の法名は「堅性院真観常照居士」と知って探したが、長い年月の経年劣化で刻名も読みとりにくくなっていた為、残念ながら見つけることが叶わなかった。竹本鉢の愛好家諸氏の中には、墓碑の法名を確認された方もおられるのではないだろうか。

竹本鉢と言えば、盆栽愛好家であった中島英雄氏が昭和27年に創立された「竹本焼保存会」の竹本焼コレクションが有名であり、同じく盆栽愛好家であった田代与志氏は「鉢の種類も色・形の両面で非常に多いが、色の点では辰砂が一番傑出しているのではないか」と述べられている。私好みの竹本鉢は、紫辰砂の小鉢である。
短時間で寺院を後にし、帰路は散歩がてら自宅に向かった。

辰年に龍興寺を訪ねたのも何かの縁かもしれず、冬晴れの日のささやかな探訪が楽しめたと思っている。

(山田 勢一)



2024年秋エッセイ INDEX

■ 竹本隼太の菩提寺を訪ねて
■ ポケモンから盆栽へ
■ 初めての盆栽
■ 訪問記〜盆栽に出会う
■ 2023年支部展記憶つづり
■ 盆栽の盗難に思う

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