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U2が影響を与えた音楽⑨アイルランド、その他の国々
エッジが語るアイリッシュロックの歩み
U2がデビューした80年代初期に比べてアイルランドの変化についてどう思いますか?
良いことも悪いこともある。以前はなかった物質主義の要素がアイルランドの文化の中に入りこんだ。これはネガティブな側面だ。けれどもヴァイタリティとなんでも可能だという感覚が漲っているのは、新しい側面だね。僕たちがキャリアをスタートさせた70年代~80年代は、かなり事情が違っていて、アイルランドに生まれたら――音楽業界では――バンとPAを買ってダンスホールを回れれば御の字だった。音楽を身を立てるというのはそういうことだった。レコードを作って、ツアーに出るなんて想像もできないことだったんだ。そんなことが出来るのはほんのひと握りのバンドだけ。ほとんどのバンドはある程度のところで満足しなければならなかった。
どんなバンドを目指してしましたか?
Thin Lizzyがアメリカをツアーして回ったのには感心した。ロリー・ギャラガーもそうだね。 彼らは輝いていて、尊敬されていた。けれども僕は彼らは失敗すると思っていた。成功なんかするわけないとね。今振り返ると、Thin Lizzyやロリー・ギャラガー、その他当時星の数ほどあった他のバンドも偉大だったと思う。彼らは成功した。たとえ失敗に終わっても、少なくとも挑戦はしたからね。
最近のアイルランドの才能あるポップグループについてどう思いますか?
偉大なポップグループは面白いし、好きだよ。偉大なポップグループは沢山あるけれども、退屈なのも沢山あって、正直、そういうものにはあまり興味がない。別にうんざりしているわけではないよ。そういうグループはいつだって沢山あるから。唾棄すべき音楽だね。そういうものがアイルランドからも生まれているということ以外、他の時代と変わるところがないよ(笑)。けれどもいいんだ。時々、素晴らしいグループが出てくるから。新しいバンド、新しいエネルギー……そういうものに出会えるのは嬉しいよ。
アイルランドの若いグループにとって、U2の存在はあまり障害になっていないように思う。長年レコード会社は次のU2を探し求めていて、そうなりそうなバンドとばかり契約していた。違う道に進みたいと思っているバンドにとっては傍迷惑な話だよ。けれども最近はそういう傾向はないようだ。色々なタイプの音楽があるように思う。
今は亡きマザーレコードで、そういった才能の発掘を試みたことを後悔していますか?
後悔はしていない。レーベルがなければそんなこともなかった沢山のグループにチャンスを与えることができたからね。あまり商売気もなかったしね。そういうことに興味がなかったんだ。いわば世話にあんったアイルランドの音楽業界に対する恩返しの気持ちだった。アイルランドでレーベルが生き残るのは本当に難しいんだよ。大きなマーケットの中から沢山の新しいアーチストを発掘しなければならないんだ。ビッグになるバンドは一年に一、二くらいしかないからね。商業的成功を収めるためには、アメリカかイギリスに進出しなければならないんだけれど、それは本当に難しいんだ。自転車操業していなかったり、確立されたマーケットに集中していなければ、かなり苦労する。僕たちはアイルランドで何かをやりたかった。アイルランドのアートストにチャンスを与えて、新しいバンドを発掘したかった。けれども何も変えれなかったね。ただ「ビッグなレーベルになろう!」なんて考えたことはない。アイルランドの音楽業界に恩返しするいい機会だと思っていただけだ。
気になるアイルランドの若手バンドはいますか?
ホットプレス・アワードにいくつかエキサイティングなバンドがいたよ。名前を教えてくれないかな? 僕は名前の覚えが悪いんだ。レコードも聴いたことがない。初期のパンクバンドを思い起こさせるバンドがあったんだ。Undertones、Reflex、Stiff Little Fingersなんかと同じヴァイブレーションがあった。粋でヴァイタリティに溢れていた。
今年のアワードには出席していませんが、恐らくThe Revsのことですね。
ああ、そうだ。そのバンドだ。もう一つ面白バンドがいた。ダブリン南部出身だ。ニールなら知っているかも。名前が思い出せないんだけれど、ヴァイブレーションとカリスマ性があった(The Framesのことだ)。 あとKilaは気鋭のトラディショナルバンドだと思う。ライブには行ったことがないんだけれど、凄いらしいね。レコードは何枚か持っている。
Snow Patrol
ベルファスト出身のアイルランド人+スコットランド人の混成バンド。デビュー当初は没個性なインディーズバンドだったのですが、プロデューサーにU2の『How to Dismantle an Atomic Bomb』のプロデュースを一部手がけたジャックナイフ・リーを起用して大化け。3rdアルバム『Final Straw』はプラチナ×5、4thアルバム『Eyes Open』はUKチャートで1位に輝き、プラチナ×7、同年シングルカットされた「Chasing Cars」は海外ドラマ『グレイズ・アナトミー』に使われ、UKのみならずアメリカでも大ヒットしビッグバンドの仲間入りをしました。
UK圏の辺境出身ということで日本でもスノパトにU2の匂いを嗅ぎ取った人もいたようです。
曲名からアーティストを調べ、早速この曲が収録されているアルバムを購入。 聴いてみると、なんだか馴染み深いフレーズが…。 「どこかで聴いたような…」 そうなんです。ギターのリフ、メロディ、まるでU2なのです。 ライナーノーツを読んでみると、やはりU2と密接な関係がありました。 プロデューサーがU2の前作をプロデュースした人なんですね。しかも、U2のツアーのオープニングアクトを務めていたそうで、これもU2からの指名だったそうです。 出身もベルファスト。これだけ揃えばもうこのアーティストを聴かないはずがありません(笑)
偉大なバンドU2の後継者は一体誰なのであろうか?Coldplayという声もあるが、UKロック過ぎてU2が持つアイリッシュ魂とはやや一線を画する気もする。そんな時にふと頭の中に浮かぶのがSnow Patrolである。彼らはアイルランド人ではなくスコティッシュ、そうスコットランド人なのであるが、地勢的にアイルランドに近いためかアイリッシュ・ロック色が強い。ではこのアイリッシュ・ロックとは何ぞや?という話になるが、これを説明するのは難しい。基本的にはリヴァーヴとディレイを多用した空間的なサウンドが特徴なのだが、それだけではなくどこかしんみりとしつつも激しい感情を内面に秘めている。そんな曲調が特徴である。イメージは透き通った空気と針葉樹、そして風と雪、それらの激しさと穏やかさ、透明感を電車の車窓から眺めている。そんな風景が頭の中に広がる音楽。それがアイリッシュ・ロックである。
ボノのお気に入りバンドで、360度ツアーでは前座を務め、U2カバーアルバムには『AHK-toong BAY-bi covered』に「Mysterious Ways」を提供しています。ちなみに「次なるU2を目指している?」という質問に対して、彼れはこう答えています。
U2の後継者になるのは、意図的なんじゃなくて、時間がくればそうなる、という状況じゃないのかな。でも僕らがだそういう風には思えない。難しいね。多分 U2はあの種のレコードを凄い数のレコードを売る、最後のバンドかもね。バンドのあり方は現在変わったと思うよ。
The Script
今やU2と並ぶアイルランドから飛び出した世界的スター(その後、アメリカでは人気低下😅)。U2 meets ヒップホップといわれています。ボノは彼らのファンで前座で起用したことがあり、彼らもU2が大好きのようです。
「(Where the Streets Have No Nameについて)U2は僕を音楽へ熱中させ、ミュージシャンを志すきっかけになったバンドで、この曲のPVは音楽の力を感じさせてくれるんだ。音楽的な刺激が必要になったときには、僕はU2を聴くんだ」
「(With or Without Youについて)この曲の歌詞が全てを物語っているよ。U2がどんなに素晴らしいバンドが証明する、決して色あせない楽曲だよ」
「(All I Want Is You)こんなに素晴らしい歌詞がこの曲には宿っている。僕の心にはいつもこの曲が流れている。大好きな楽曲なんだ」
2ndアルバム『Science & Faith』に収録されているこの曲のPVに出演している女優はボノの娘イヴ・ヒューソンです。
「ストーリーが素晴らしくて、いい俳優が必要だったんだ。ブラッドとアンジョリーナには断られたよ」「イヴに頼もうっていうのは監督のアイディアだったんだ。彼女のショーリールを見ていたし同じアイルランド人だし、“そうだ”って思ったよ」
Two Door Cinema Club
北アイルランドのバンド。ジャックナイフ・リーがプロデュースを手掛けています。
Kodaline
ダブリンのバンドで、The Scriptと並ぶアイルランドの新星。このイントロはStreetsぽい。エッジのギターってマンダリンのようですものね。が、本人たちはU2やThe Scriptと比べられるのにうんざりしているそうです。
And So I Watch You From Afar
最近日本でも名前が知られるようになったベルファストのポストロックバンド。思わずにやにやしてしまうくらいにキラキラしています。いつかエッジにこんなソロアルバムを作って欲しい。
Delorentos
最近、メジャー契約を勝ち取ったダブリンのバンド。キラキラしています。
ギャヴィン・フライデー
ご存知U2の幼馴染ギャヴィン・フライデー。ベテランで新世代ではありませんが、彼が久しぶりにリリースした2011年の『Catholic』は、タイトルからも分かるとおり、かつてアイルランドの支配的宗教だったカソリックに対する愛憎をテーマにした作品で、U2ぽい雰囲気が漂っています。この曲も「With or Without You」ぽい。
その他の国々
Arcade Fire
Arcade Fireを今世紀のU2と呼ぶのはどれほど無礼(それとも明らか)なことだろうか? どちらも類まれな才能の持ち主であり、ボナルー・フェスティバルのヘッドライナーを務めたことがあり、ファンを二極化するコストを払いながらアートを強く志向し、時代のロックミュージックを定義づけている。U2は2015年のモントリオールでのOneの演奏をこのカナダのバンドに捧げてさえいる。もしもあるバンドがアコーディオンやハーディ・ガーディに過度に依存したらどうなるだろうか? おそらくArcade Fireの記念すべきヒット曲Wake upをここで挙げるほうが簡単だろうが、よりマニアックなNeighborhood #3のほうが奇妙で、それでいて素晴らしく、それでいてさらに奇妙だった90年代のU2を思い起こさせて、幸せな気分になれる。
カナダのバンド。はU2の方から食いついてVertigoツアーのオープニングソングに起用しました。彼らがU2を意識しているとは思いませんが、1stアルバム『Funeral 』を聴いた時はU2ぽいと思いました。
が、かつて彼らはU2を批判したことがあります。
成功するのを非難してるわけじゃない。でも俺らは、みんなに無理強いしたくないんだ。UKにはロック・スターの競争みたいのがあるだろ。U2が始めたんだか、ストーンズなのかオアシスなのか知らないが、“俺は世界1でかいバンドになってやる。そういう野望がない奴はクソ食らえ”みたいに思ってるバンドがいっぱいいる。俺は、マーケティングなんて興味ないね。好きにならせるようと仕向けてどうするってんだ。音楽を買わせようとファンを操作するバンドがいるだろ。そうやって業界の90%は回ってんだ。トースターやクルーズ旅行売ってんのと同じだよ
が、関係は良好のようで、U2の前座を務めた際、Joy Divisionの「Love Will Tear Us Apart」をカバーしたり、
『Reflektor』リリース記念の特番にボノが出演したり、
こんなおふざけをしたりしています。
in-flight safety
カナダのインディーバンド。
シャープでエッジの効いたサウンド・コントロールと鞭のようなしなやかなギター、ハスキーで渋いヴォーカル。そして何よりも全体のアンサンブル、ミキシングの凄さを感じる大人のバンド。誰かに似ていると感じたが、そう、U2だ ! 凄いバンドを見つけたぞ。 ソング・ライティングも素晴らしい。
Mobile
カナダのインディーバンド。U2ぽいサウンドにローファイなヴォーカルが乗っています。
The Temper Trap
The Temper Trapと代名詞的曲であるSweet Dispositionを3秒も聞けば、この曲がU2の影響かにあることがすぐにわかるだろう。(500)日のサマーのサントラに収録されているインディーバンドの曲の一つであり、Where The Streets Have No Nameから湧き出てきたような流れるようなギターディレイに搔き立てられた、この世のものとは思えない美しい曲である。
ヴォーカルがインドネシア人というオーストラリアのエレポップバンド。これはまるでStreetsのよう。ボノのお気に入りでもあります。
本当にエキサイティングなのは、ようやくロックバンドがクラブの世界と融合しつつあることだよ。ロックバンド向きではないと通常考えられるような音で実験し・・・シンセサイザーとか、実験的な音とか・・・The Temper Trapのアルバムを聴けばそんな音に出会えるようになった。とてもエキサイティングな、新たなハイブリッドな音の誕生だ。でも黒人音楽と白人音楽が違うジャンルにあるのは妙だよ。2012年にはその隔たりが崩壊することを願うよ。
(ボノ)
「Stay」をカバーしています。
Gang of Youths
沢田太陽氏一押しのオーストラリアのバンド。エディ・ベーダー+ブルース・スプリングスティーン+U2といったところか。地元では絶大な人気を誇り、リアム・ギャラガーも注目しているのだとか。
Civil Twilight
「Letters from the Sky」という曲がある映画で使われて知名度を上げた南アフリカ共和国のバンド。海外のU2ファンサイトではここが一押しでした。バンドのメンバーはU2とOasisのファンのようです。
Cali
詳細不明ですがフランスのシンガー。U2目指して歌手を志したというだけあって、佇まいがどことなくボノを思わせます。
Kane
デビュー当初からU2人気が高かったオランダが生んだスーパーバンド(?)。が、その実態はDinand Woesthoff(読み方分かりません)の1 人プロジェクトです。2000年デビュー以来、発表したアルバムはすべてNLチャートで1~3位、プラティナもしくはゴールドディスクに輝いています。ウィキによるとやはりU2、Pearl Jam、Queen、Nirvanaの影響を受けているらしく、またKeaneとよく間違えられるそうです。そしてデビューした年の2000年に全曲U2のカバーからなるその名も『With or Without You』というアルバムをリリースしたり
ライヴで背後に大型スクリーンが設けたり、花道を用意したり、膝まついて観客席に手を伸ばしたり、
この唯一UKチャート入り(38位)した04年の曲のPVは「Beautiful Day」そっくりだったり、ギタリストがエッジのような帽子を被せたり、
「All I Want Is Yo」ならぬ「All I Can Do」とか「Surrender」ならぬ「No Surrender」などU2を思わせるタイトルの曲があったり(蛇足ですが「Let It Be」や「Come Together」などThe Beatlesの曲のタイトルそのままの曲もあります)とU2フォロワーぶりが凄まじく、もはやストーカーの域に達しています。
Talisman
スウェーデンのハードロックバンド。この曲はU2にインスパイアされて作ったそうです。
Blackroon
初期U2に影響を受けたというノルウェーのテクノグループ。The Scriptの来日公演の際には前座を務めました。
Filterheadz
U2、The Police、Simple Mindsに影響を受けたというベルギーのテクノユニット。
Nell
1999年に結成され韓国ロック界の草分け的存在で、韓国のU2とか韓国のColdplayとか呼ばれているらしいです。
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