連載・生駒里奈の言葉♯3「明日まで、センターやらせて下さい」(2015年8月30日トークアプリ『755』)

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 乃木坂46の12枚目シングル「太陽ノック」(2015年7月22日発売)活動期間におけるグループの動きを振り返る。

5月10日 『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で12枚目シングルの選抜メンバー発表。

7月4日- セブンイレブンとのコラボレーションフェアがスタート。

7月10日 グループ初のドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』公開。

7月11日 全メンバー出演のドラマ『初森ベマーズ』(テレビ東京系)放送開始。

7月22日 「太陽ノック」発売。

8月5日-8月31日 全国6都市を回る『真夏の全国ツアー2015』開催。

 

 傍目から見ても、乃木坂46があらゆるメディア戦略を駆使して“勝負”に出ていたことがわかる。そして、この勝負の期間にセンターを任されたのはAKB48との兼任解除が発表されたばかりの生駒里奈だった。

『乃木坂工事中』の選抜発表が終わり、7作ぶり、6度目のセンターに立つことが決まった生駒は、司会・バナナマン設楽統と次のようなやりとりをしている。

設楽「後半まで名前呼ばれなくて、センターっていう頭は?」

生駒「なくって。兼任解除になって、乃木坂で一回修業してからまた戻るのかな、って思ってました」

設楽「アンダー(メンバー)になるってこと?」

生駒「はい。今アンダーライブをやってるから、そこで兼任でやったことを...」

設楽「いろんなところでやるのか、って方に頭が切り替わったんだね」

 デビューから5作連続センター、AKB48との活動兼任、という乃木坂46の物語の部分を一手に担ってきた生駒には、「センター返り咲き」よりも「初めてのアンダーメンバー入り」という展開のほうがイメージしやすかったのだろう。

 しかし、12枚目シングル「太陽ノック」発売に先駆けて公開されるドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』をはじめとする各種プロモーションへの目配りという部分でも2015年夏シングルのセンターは生駒以外にはいなかっただろうと推測できる。『悲しみの忘れ方』は生駒以外にも白石麻衣や西野七瀬ら5名のメンバーを中心にグループの歩みを追った内容だが、事実上の主人公は明らかに生駒だったからだ。

 さらに、選抜発表時に生駒も語っていたが、その先には「紅白歌合戦への初出場」という悲願とも言える目標があった。

 6度目のセンターは、はっきりとした役割の上で生駒が選ばれたのだ。


『真夏の全国ツアー2015』全国ツアー最終公演は、8月31日の神宮球場2days公演2日目。生駒にとっても6度目のセンターとして活動する最後の日となった。

 その前夜、生駒はトークアプリ『755』でファンに向け、次のように決意をしたためている。

「明日で一区切り、自分の中でもきっと何かが変わるんだろうな。13枚目シングルの選抜発表見ましたか? 明日まで、センターやらせて下さい。明後日からはまた新しい場所で自分を高めていきます!」

 

 その2年後。


――生駒さんって今まで「乃木坂46を辞めようかな」って思ったことはあります?

生駒 ありましたよ。『太陽ノック』でセンターに戻って、真夏の全国ツアーが神宮で終わった時に、あっ……ってなりました。すごく達成感があってスッキリしたんです。ライブが終わった瞬間、自分に対して「お疲れ様でした~」って感じになりました。区切りがついてしまったんですよね。(『BRODY』2017年6月号)


 想像していた以上の、“卒業”が頭がよぎるほどの達成感を得た2015年夏以降、生駒も乃木坂46も新たなフェーズに入っていく。そして、生駒に7度目の乃木坂46新シングル表題曲センターの役割が巡ってくることはついぞやってこなかった。

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