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64歳 二の腕は人生そのもの

コロナもようやく終息を迎え3年ぶりに市民文化祭が開催された。
 
会場の市民ホールで夫がギターで歌の伴奏をすると聞き、出かけて行った。受付でもらったプログラムには、歌や舞踊、フラメンコ、詩吟とたくさんの演目があった。私が客席についた時には夫のギター演奏は最後の曲になっていて、あっという間に終わってしまった。
 
せっかく来たのだから続く演目も見ていくことにした。
 
子供4人のフラダンスに続いて大人7人のフラダンスが始まった。みんなおそろいで作った花柄のブラウスと真っ赤な長いスカートを着て、ゆったりとしたハワイアンの音楽に乗って踊っている。女性たちはおそらく私と同じ年頃か少し上ぐらいであろうが、髪に飾りをつけて表情も明るく見える。
 
仕事や子育てから解放されて、自分の時間を楽しむことができるようになった女性が選んだフラダンスは、動きもゆったりして体に無理がない。フラダンスはどれも明るい曲だから、みんなと踊るのはさらに楽しいだろう。
 
見ているとグループが入れ違いになって、次々に衣装を変えて何曲も踊る。多少間違えても焦ったりしない。そこは年の甲というか、たいしたことではない。見ているとフラダンスは常に膝を少し曲げて踊るから結構きついだろう。ジムなどに行くよりも、仲間と楽しく会話しながら踊る方が精神衛生上ずっといいに違いない。ふくよかな体格の人が多くて、みんな笑顔で踊るから、見ているこっちまで穏やかな気持ちになってくる。
 
彼女たちが右に左に出す腕は、子どもを抱っこしたり灯油缶を持ったりしているうちに、たくましくなって、その後、筋肉が落ちて骨とぜい肉だけになった私の二の腕とそっくりだ。いや、彼女たちの二の腕は私より張りがあって、ずっと働き者だったに違いない。
 
よく、「二の腕が太くてノースリーブは着れない」などと耳にすることがあるが、私はよくノースリーブを着る。かなり太い腕だが暑いので着る。二の腕こそ人生の年輪みたいなものではないか。もっとみんな堂々とノースリーブを着てほしい。
 
ふくよかな体と太い腕は心まで豊かにしてくれる気がした。フラダンスにひきつけられる人が多いのか、その日のプログラムには6組ものグループが載っていた。翌日のプログラムにもフラダンスの発表があった。
 
普段ノースリーブを着ない人も堂々と二の腕を見せられるフラダンス。
 
体に無理のないフラダンスを楽しむ人はこれからも増えていくだろう。 

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