20歳のとき、女一人でアメリカ大陸横断しました。②出発、出会い、そして第一の目的地サンフランシスコへ!

私は20歳でアメリカ留学している時、夏休みに電車で大陸を横断しました。

横断といえどアメリカは日本の数十倍に大きく、移動距離も12,000kmという超長距離移動。

そんなガチ大陸移動を1人でやってみてよかったこと、大変だったこと、そしてこれから挑戦しようという方々に向けてブログを書いています。更新はぼちぼちになりますが、ご参考になれば、ぜひ。


シアトル出発!

さて、いよいよ出発だ。今日はシアトルを朝9時に出発する電車に乗る予定だ。持ち物は揃えたし、あとはいつも通りバスに乗ってシアトルダウンタウンに行こう。朝7時25分に家を出てバス停に着いた。

バス停の時刻表は7時30分、うん、そろそろバスが来るかな・・・


10分待つ・・・こない。


20分待つ・・・こない。


30分待つ・・・やっときた。


時計は8時を回っている。おいおい、これからダウンタウンに行ってさらに地下バスで電車の駅行きのバスに乗り換えても、間に合わないんじゃないか??


アメリカのバスはいつも遅れるけど、30分は遅れすぎだろ、日曜日だからかな?ってか、アムトラックは一日に一便だから乗り遅れたらマジでシャレにならないぞ。


徐々に私の鼓動が早くなる。しかも途中で渋滞につかまり、ようやくシアトルダウンタウンに着いたのは8時30分。


ムムム、、、だめだ、地下バスも遅れる可能性があるから、1.5km走ろう。


私は2週間分の荷物が入ったボストンバッグを両手で持ち、シアトルのダウンタウンを駆け巡った。 ・・・


やばい、きつい・・・。


アメリカに来て3ヶ月、すでに5kgの脂肪を増やした私にこのランニングは苦行すぎる・・・そう思いながらふと後ろを振り返ると、いい感じに駅方面に向かうバスが来た!私は手を挙げてバスを停めた!




お〜〜〜い!


運よくバスは止まってくれたので私は飛び乗った!そしてバスは駅方面に向かっていく・・・が・・・げっ!このバスは駅には停まらないバスということが判明!


やばいやばい、駅を通過しちゃうよと思った私は運転席に行って、「駅で降ろしてください。」と言った。すると運転手は「そこはバス停じゃないから停まらないよ。」と言った。


ゲゲゲ、当たり前だがバス停以外でバスは停まってくれない。しかしここで引き下がっては電車に乗り遅れる。私は運転手に見えるようにAMTRAKのチケットを掲げ、


「お願い!この電車に乗らないと私は何もかも失うの!!」と訴えた!すると運転手は困り顔で、「わ、わかった、ただし今回だけな。」と言って駅の前で降ろしてもらった。


ほ〜〜っ。

駅周辺の外観


よかったぁ、、、こんなこと、日本ではルール違反だけど海外では「言ってみれば意外といけること」がたくさんある。海外でピンチに陥ったらとりあえず誰かに助けを請うてみよう。


出発5分前に駅へ着く!

バスの運転手さんから降ろしてもらったところからはダッシュでAMTRAKの乗り場に行った。

これがシアトルのAMTRAKホーム内。


乗り場には改札も何もなく、ホームまで走った。すると!もう電車は来ているではないか!みんな大きめの荷物を持って乗り込んでいる最中だった。ああ〜、間に合ってよかったぁ・・・

AMTRAKの乗り降り時は入口でチケットを確認してもらえる。今回私はエコノミークラスの”Coach”という車両だった。

Coachクラスの席は飛行機より少し広いくらいで、リクライニングが結構倒せて快適だった。何より隣にまだ人がいなかったのがラッキーだった。


AMTRAKは定刻通りに出発した。まずは隣のオレゴン州にあるポートランドへ向かって走って行った。



ガタンガタン・・・。



さて、電車が動き出し、外の風景を楽しむでもなく私はさっそく食堂へ行った。食堂といっても、AMTRAKの食堂車では好きなときに食事が注文できるわけではなく、1等級の客がディナーを食べる場所になるくらいだ。


だから夜ご飯と朝ごはんの時間以外は食堂車は使われないため、自由に解放されている。食堂はCoachの座席より断然広々していて快適だから私はここに居座ることにした。


私はPCを開け、ミクシィ(当時流行っていたSNS)を開こうとした。実はAMTRAKはWi-Fiが繋がるのでPC操作ができる。もとい、当時はスマホなんてなかったから、インターネットを使うならPC+Wi-Fiという手段しかなかった。だから今回私は重いVAIOを必死の思いで持って来たのだ・・・


しかし・・・


あれ?Wi-Fiが、



繋がらない。



あれぇ?おかしいなぁ・・・と思っていると車内アナウンスが流れてきた。


アナウンス「Ladies and gentlemen, welcome on board AMTRAK… Today, our Wi-Fi is broken. We are sorry for that… Thank you.」


・・・ Wi-Fi is broken


・・・ Wi-Fi is broken



・・・・・ Wi-Fi壊れてるって・・・



残念orz


ということでAMTRAKに乗って早々、私の電車旅の計画は大幅に狂った。今回のアメリカ横断で車内で過ごす時間は計120時間。果てしなく長い旅だがネット検索でもしていれば時間が潰せると思った。

それなのに、Wi-Fiが使えないとは・・・ということで私は窓の風景をひたすら楽しむしかなくなった。


モンモンモン(不満)・・・


さて、いつまでもショックを受けていても仕方がない。気を取り直そう。アムトラックからボーーッと外を見るのもこれはこれで面白いじゃないか。日本では見られない風景が目に飛び込んでくるぞ。

途中、かっこいい山が見えた。マウントレーニアではないと思うが、いい感じに雪が被っている。


とにかく電車の中から観れたのは大自然であったり、あとはひたすら農場風景だった。というのもワシントン州南部からオレゴン州にかけてはとにかく田舎で、果てしない農場しかないのだ。

こんな風景が3時間以上続くのだ。(いいか?もう一度言うが、今みたいにスマホをいじることもない時代だ。本もなければ景色を楽しむしかないだろう?)


小麦畑や牧場の風景が3時間も続くことで私は飽きそうだったが、以外にも感動的だった。というのも「すげぇ、規模が違う」って感じなのだ。農場が100km以上にわたって続くとか、日本ではありえない。


こんな風景を見ていると、そりゃあ、日本国内で食物を生産するよりアメリカの大規模農園で生産した食物の方が圧倒的に単価は安いわな、と思った。とにかく果てしなく広かった。



ポートランドで一休み

そうやってデカすぎる農場に感動している間にあっという間に4時間が経ち、”ポートランド”に着いた。ここポートランドでは15分の休憩ができるらしいということで、私は外の空気を吸いに行った。

・・・地図を見れば4時間の移動なんて、全行程120時間のうちの何%だよ・・・果てしない・・・。


ポートランドの駅に出た。ポートランドがあるオレゴン州は消費税が0%のため、よくブランド好きの友達が買い物のためにポートランドに行っていた。アメリカは州によって税率が違うというのも面白い。


そうそう、アメリカは州によって法律も違うのだ。いずれにせよ15分の休憩を終え、私はまた電車に戻った。お腹が減ったので家から持ってきたりんごを頬張った。


ポートランドからサンフランシスコ行きの列車で夜を明かす


電車が動き出すと、ポートランドから乗った乗客がわらわらと私たちのcabin(車両)にやって来た。


このAMTRAKを利用する乗客は圧倒的に白人の方が多い。家族連れや老夫婦、1人で実家帰省しているような若い人などいろんな人がいる。そうやって乗客を眺めていると、おっ、また誰かやって来た。

うわ〜〜〜、デカい女性だなぁ


そこにはアメリカでしか見られないほどの巨漢女性がいた。体重はゆうに150kgは超えている。アメリカに来てからというもの、ここでは規格外のデブを散見する。日本人は骨格上あれほどデブにはなれない気がする。


デブデブ言って申し訳ないが、とにかくすごい。 すると、「わ〜、デブだなぁ」と思って見ていた女性がいきなりこっちを見て、目が合った!そして、彼女がニヤッとした!ゲッ!・・・・・・・


そして彼女は私の席まで来て、「隣だわ、よろしくね。」と言った・・・・。なんという、このデブが私の隣だったのか・・・。AMTRAKの席は全席指定席であり、どんな人と隣になるかは運任せである。


彼女と一通り挨拶を交わし、彼女が隣の席に座る。ああ・・・やっぱり・・・・はみ出てくる。彼女の太ももや肘のお肉が私を攻めてくる。


キュ、きゅうくつ・・・アメリカではあるあるだが、これから18時間彼女と一緒かと思うと不運に思えてきた・・・・私はしばらく心を無にした・・・・



さて、気づくと4時間ほど経って、あたりは夕暮れ。さて、そろそろトイレでも行こうかと思い席に立つと、トイレの前で60歳くらいのおじさんに声をかけられた。


よもやま話

おじさん「アジア人の女の子がアムトラックに1人で乗っているって珍しいね。」

私「そうですね。この電車には留学生が全く乗っていなくて驚きました。」

おじさん「君の話に興味あるね。夕飯時だし、食堂車でご飯でも食べないかい?君もあのデブの隣で苦しいだろう。」

私「ぜひ。」


私たちは食堂車に行って夜ご飯(といってもサンドイッチとワイン)を食べた。おじさんの名前は「アート」さんと言うカナダ人で今からロサンゼルスに向かうとのこと。アートさんは1人でアムトラックに乗っている若い留学生(私)に興味津々で、なぜ今私がこんな大移動に挑戦しているのか色々聞いてきた。


しかし最後には「旅行は最愛のパートナーと一緒にするものだ」などと正論を言ってきたので、私は「若い頃にこうやって一人旅をするのはいい経験になるんだ」とすかさず返答した。さてそんな話をしている中、とっても大事なことをアートさんから言われた。


私の降りる駅が大問題

アートさん「ところで君はどこで降りるの?」

私「オークランドです。」

アートさん「!?オークランド!?なんで!!??」

私「え?だって、サンフランシスコに一番近い駅じゃ・・・」

アートさん「何言ってるんだい!!あんな治安の悪い駅で降りるなんて!あの街じゃ1日に何人も殺されているんだ!!サンフランシスコに行くなら、エメリービル駅で降りるんだよ!!」

一日に何人も殺されているのはさすがにオーバートークだろうけど、確かにアートさんの言うことがちょっと気になったので乗務員さんに確認してみた。


私「サンフランシスコに行きたくて、オークランド下車のチケットを買ったんだけど、あそこって危険なの?」

乗務員さん「そうね、治安の面からも接続の面からもオークランドに降りる理由はないわね。エメリービル駅がいいわ。ちょっとあなたのチケット貸して。」


5分後・・・

乗務員さん「エメリービル下車のチケットに替えてきたわ。」

おおお!!ありがとう!え、どうやって替えたの?


ってかそれよりも、ろくに調べもせずに近いからと言う理由でオークランドに降りようとしていたのは、危なかった!!!アメリカの知らない街に行くときは、周りの人にその街の治安を聞こうね!!


私は乗務員さんとアートさんにお礼を言い、自分の席に戻った。もうとっくに夜。実は発車してもう13時間経っている。飛行機なら日本からイギリス・ニューヨークまで飛んだところだろうか。エメリービルに着くまであと9時間。途中10分のSMOKING TIME(休憩)があったので、外に出て新鮮な空気を吸った。



そして座席に戻り、私は眠りに入った・・・・。



チカチカチカ・・・・


ん?なんだか目が、チカチカするなぁ・・・


私は目を開けた。すると、さっきまで寝ていた隣の巨漢女性が自分のPCでゲームをしている。ゲームは、地面からゾンビが這い上がってこっちに来るのを撃つゲームだ・・・。ま、まぶしい・・・、っつーかゾンビにシュートしたら「Owa~!」とか、「Jee..!」など叫ぶ。音を消してくれ・・・。


私は視線で彼女に訴えるがアメリカ人に視線で訴えるなど、時間の無駄以外なんでもない。ただ当時20歳のウブな私は彼女に「ゲームをやめてくれ」と言うことはできなかった。今なら言えるだろうが・・・。2時間ほどして彼女はゾンビを撃ち終わったようで、ようやく寝ることができた。


エメリービルに着いた!バスの運転手おじさん②にタダでバスに乗せてもらう

朝起きると7時。う〜〜ん、朝日が美しい!!私はカリフォルニアの朝の風景を車窓から楽しんだ。いい朝だ。

ほどなくしてアナウンスがなった。


アナウンス「もうすぐエメリービルに着きます。」


おっ、いいねぇ。ようやく電車を降りられるぞ。22時間の移動はきついというより、いろいろ楽しめたかな。私は隣の彼女に挨拶をして外に出る。そしてエメリービルに降りた。エメリービル駅からはサンフラシスコの中心街行きのバスが出ている。私はさっそくバスに乗った。


エメリービル駅からサンフランシスコ行きのバスに乗る


運転手に挨拶をし、私はサンフランシスコ観光の中心地である「PIERまで行きたい」と言った。しかしこのバスは「PIER」までは行かず、その手前のダウンタウンで止まるようだ。しかし運転手は「あとで教えるからNo Worry.」と言ってくれた。彼の名前は「デイビッド」だった。

サンフランシスコに近づくにつれ、シアトルのようなダウンタウンが見えてきた。シアトルよりもサンフランシスコの街並みが古い感じだった。治安はシアトルとさほど変わらないか。それにサンフランシスコは坂が多い!!だから路面電車が発達したのだろう。一度は乗ってみよう。


ダウンタウンからPIERへ

そして終点にて全ての乗客が降りた。私はデイビッドに話しかけに行く。

私「ここからPIERへはどう行けばいいの?」

デイビッド「ぼく時間あるから、そこまで送るよ〜〜」

私「へ!?い、いや、ダメだよ!!そんな・・・」

デイビッド「いいのさいいのさ〜〜」


と、言うことでそのままデイビッドにPIERまで送ってもらった。明らかに運行ルートを外れて走るバスは大丈夫なのだろうか?と思ったが、まぁいいや。しかも降りるときにもデイビッドは「お金はいいさ〜」と言って、タダで乗せてくれた。あ、あ、ありがとう!!!


ということで直行でPIERまで(しかもタダで)行けた。こんなことは日本では考えられないが、この後世界を旅していくうちにこの手の「ラッキー」な出来事はよくあるものだということを知る。まだ20歳で旅を始めたばかりの私はそんなこと知らなかった。


PIERでおじさん③に親切にしてもらう


サンフランシスコのPIERは観光客であふれかえっていた。さっきから言っている「PIER」とは「埠頭」と言う意味で、海沿い一帯の商業施設のことをサンフランシスコでは”PIER(ピア)”と呼ぶのだ。レストランは中級から上級まで、結構高い。

しかしそれより名物なのが「クラムチャウダー」。独特なサワーブレッド(酸っぱいパン)の中に入った白やオレンジ色のクラムチャウダーとマウンテンデューを一緒にいただくのが粋なのだ。たかがクラムチャウダーでも10ドルするがw。もちろんだがクラムチャウダーのようなファーストフード感なお店ではチップはいらないから安心してくれ。

クラムチャウダーもいいが、今晩の食事を買いたい。22時間の移動で疲れたので今夜は野菜でもしっぽり食べよう・・・えーと、スーパーは・・・・と、キョロキョロしていたら、1人のおじさんが話しかけてきた。


おじさん③「何か探してるの?」

私「あっ、スーパーってどこか知ってます?」

おじさん③「近くにSAFEWAYがあるよ。ってか、ぼくも今から行くところだったから、一緒に行こうか。」


と言うことでおじさんと近くのSAFEWAYまで行くことになった。SAFEWAY(セイフウェイ)というのはウォルマートに並ぶアメリカの大型スーパー。西海岸はウォルマートが少ないため、SAFEWAYに行くことが多い。「セーフウェイの品質は全然セーフじゃない」とアメリカ人がよくモジル通り、品質はよくないが、街の中心部のスーパーはどこもこんなものだから受け入れよう。


おじさんの名前は「アレックス」で、妻も子供もいたようだが、今は一緒に住んでいないという。緑色の瞳の奥になにか悲しげなものが光る(なぜか詩人風)。そしてSAFEWAYに着いた!ってかこのSAFEWAYは駐車パークの地下にある。わ、わかりにくい。。。


SAFEWAYでショッピング


私は野菜を探した。しかしアメリカのスーパーで売っている野菜なんて、1人で食べるには2週間くらいかかるんじゃないかという大容量。いろんな種類を買うわけには行かず、一つで栄養がしっかり取れる”セロリ”を手に取った、3ドル。それとりんごを2個で1ドル。今日の夜ご飯はこれだけだ。するとアレックスは

アレックス「そ、それだけ??君は、うさぎかい??」

私「1人だし、またすぐ移動するからたくさん買えないんだ。」

アレックス「そんな過酷な旅をする君にせめてものせんべつだ。」

と言い、セロリとりんごを買ってくれた!!あ、あ、ありがとう!!!


SAFEWAYを出て、彼は家に帰って言った。私はまたしばらくPIERで観光することにした。


大陸横断記④まとめ

今回は22時間の電車移動を終えてサンフランシスコに着きました。日本でもそうですが、女1人で旅をしていると、なぜかおじさんに話しかけれます。いいおじさんなのか悪いおじさんなのかは自分の目と鼻でしっかり嗅ぎ分けましょうね。


次回はサンフランシスコの街を探索し、あの危険なグレイハウンドバスでロサンゼルスへ向かいます!無事にたどり着けるのでしょうか??


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