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パリ在住トップフローリストに学ぶ、仕事術と生き方 vol.5


自分の好きを見極める


休日もレッスンを開催するなど仕事に充て、がむしゃらに働いてきた由美さん。でも転機が訪れます。五つ星ホテル・リッツの全館装花の仕事は楽しく、とても良い経験になったそうですが、少しずつオーナーとの考え方の違いや、休日も返上するような働き方に疑問を持つように。レッスンやヴィジットの依頼が増えていたこともあり、退職してフリーランスへと転向したのでした。

B : 退職するということは安定収入がなくなるという事。不安はなかったですか?

Y:一人で住んでたらそんなにお金もかからないし。日本でもずっとフリーランスだったけど貯金もできてたから、不安は全くなかったですね。何とかなるし、何とかすると思ってた。

B : 何とかなる、何とかすると思えるところがすごい。自分に自信を持つというか、自分は大丈夫と暗示をかけて、行ける!と自分にはっぱをかけることも必要なんでしょうか

Y:好きなことならできるんじゃない?本当に自分がやりたいことなら、あんまり上手くいかないかも、とか考えないでしょ。だってやりたいんだもん。

B : 確かに、やりたいという部分ではそうですね。

Y:そうでしょう?そっちに進みながらお金にする方法を考えていけばいいことだよね。私はそこは得意で、自分がやりたいこと、かつみんなが喜ぶことを提供してお金を得ることに長けていると思う。web会報も、誰もやってない頃からやってるしね。
でも大きくなりたい願望はなくて、例えば中身も見ないで新刊の予約をしてくれるようなコアな仲間と、狭くてもいいからその中で良い関係を築きたいと思う。みんな、うっかり大きくなろうと思っちゃうんだよね、でも誰もがそれが合うとは思えない。結局、どんな状況にいれば自分が心地いいかを知れば、他の人がうらやましくなることはないと思いますよ。

ランジス花市場。色分けされたディスプレイが美しい

自分の好きなことをやるのは、趣味程度であればそんなに難しいことではありません。でもそれで収入を得ていくとなると、ちょっとした戦略が必要になってくると思うのです。スタイルを貫いて継続していく部分と、アップデートして変化させていく部分。目の前の仕事をがむしゃらに頑張りながらも、常に自問自答して模索していく探求心。泥臭さと、賢さ。由美さんはそれらをバランスよく持ち合わせている方だと感じます。

B : 最後に、第二の人生を目指す人、これから社会へ出る若い人へのメッセージをお願いします。一歩踏み出したいときには何が必要で、何が大切なことだと由美さんは思いますか?

Y:まずは、自分の好き、向いていることを見極めることですね。何がしたくて何が欲しいのか。逆に、自分には何がいらなくて何が向かないかを把握すると、変なところに足を突っ込まなくて済むよね。苦にならずに続けられることを見つけて、そこに情熱を注ぎ続けることです。


自分を知ることとは、自分のプラス面だけでなくマイナス面とも向き合う事でもあります。目をそらさずに自分の弱点を知り、それも自分だと受け入れること。または、弱点と思えることも、実は強みかもしれないと見方を変えてみたり。好きなことならできるんじゃない?と言い切る由美さんには、自分の弱さもすべて呑み込んで、それすら力にしてしまう強さを感じます。

Y:人がやっていないことをやる、というのも大切です。今はチャンスですよね。コロナで既存の価値観や仕組みが崩れて再構築されているところで、これまでになかったこともやりやすくなっていると思う。例えば今、パリではお弁当ビジネスが熱いのですが(インタビューは2021年)、いち早くニーズをとらえてお弁当用の器を作って売り出した会社が大当たりしている。勇気をだして、一歩先んじることができた人が成功しています。

B : 勇気、必要ですね。

Y:うん、でもその勇気の下敷きになるのはやりたいか、やりたくないか。やりたいことには勇気が出るけれど、自信がないこととか、突き詰めたらやりたくないことには勇気は出ないよね。
あとは、自分のためだけじゃなくて人に役立つこと、人を楽しませることができれば上手くいくと思う。私もパリに来て、最初から何者かになろうと思っていたわけじゃなくて、好きなことを一生懸命やっていたら喜んでもらえて、仕事につながって、今の私がある。あんまり先回りして狙わないことです。一生懸命やっていたら道は開ける、神様は見ているんですよ。自分がやりたいことというのは、自分なりの表現法。そこを突き詰めていけば何かになるんじゃないか、そう思って私は生きてきました。

冬枯れの公園はキンと冷えた空気に包まれて



自分を知り、心からやりたいと思うものを見つけること。いち早く勇気を出してやってみること。そしてそれは誰かを喜ばせるものであること。

たった3つのことに要約してまとめてみせた由美さんですが、そこにはこれまでの道のりがギュッと凝縮されています。そして「やりたいことというのは自分なりの表現法」という言葉が強く印象に残りました。それは決して自分をひけらかすことではなく、内側から湧き出てくるもの。日々、暮らしていく中で自然に行っていることだと思うのです。例えば家族や友人にふと話すこと、毎日のご飯、ドラマや本に感動して流す涙。そんな小さなことの連続で、人生は紡がれています。だからこそ、その日々の小さな選択の中に、自分の好きや少しのチャレンジを織り込むこと、そして誰かを喜ばそうと工夫することが、よりよい人生、そして私なりの成功へとつながるのではないか、、そんな風に思いました。まずは小さな一歩から。そこからきっと、始まります。

由美さんはパリで、私たちは私たちのある場所で。それぞれの成功、それぞれの幸せをつかみ取りましょう。そんなあたたかな励ましのメッセージにみちたインタビューでした。由美さん、どうもありがとうございました!

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