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【詩・ポエム】Vol.31

『音が鳴る理由』

音が鳴る

音が鳴っている

オレの体に音が鳴り出した

口からはあのメロディー

細胞は音を鳴らし

オレの体を弾ませる

どうしてだろう

こんな気分なのに

足取り軽く

ジャンプする

丸めた紙も

放物線を描いた

あぁ、そうだ

オレは世界が嫌いだったんだ

§

『本当の海へ行こう』

広げたパラソル

ボールも浮き輪も膨らんで

クリアブルーのジュースには

赤いチェリーが泡を纏う

賑やかな声と

鮮やかな人と

輝く波は全て偽物

それは造られた海だと

みんなは知らず知らず

かりそめの海にはしゃいでいる

だからベイビー

オレはお前を

883のケツに乗っけて

あの海へ行きたい

あの本物の海へ

覚えているかい?

2人で行ったあの海を

雨が降り風が吹き

街には戒厳令

だからベイビー

オレはお前を

883のケツに乗っけて

あの海以上の

本物の海を探してる

§

『オリオン』

バラバラに砕け散った欠片を

ひとつひとつ集めて

ただ空を仰いだ

死ぬ間際に見た流星は

いったい何を叶えてくれるのだろう

唯一の救いは

この町は少しだけ

星空が綺麗だということ

今日もオリオンが輝いている

あぁ、オリオン

お前はその弓矢で

いったい何を射抜くというのだ

この美しい世界で

§

『喫茶店エイト』

真っ暗な部屋にわずかな灯り

海の香り

心優しいほど冷たさも増す

明日はみんなが冷えるって言うよ

雪が降るかもしれないって

この世界のどこかでは

今も雪が降っているのに

みんなおかしなことを言うんだな

気温よりも冷たいのはあの娘の態度さ

返事がないんだ

もうずっと

海の香り

君が好きなだけ

ただそれだけって

オレも今、同じことを考えていたんだぜ

風の音もすごいよ

やっぱり明日は冷えるんだね

オレは冬でもアイスコーヒーを飲むから

喫茶店エイトでも頼んだんだ

そしたら、おばさん

ホット持って来て

ゴメンねって

すぐ入れるからねって

そう言ったら

目の前にいた別の客に

内緒ですよって

そのホットを差し出した

しっかりしてるぜ、全く

でも、みんなが幸せになればいい

コーヒーひとつでも愛は伝わるから

コーヒーひとつでも世界は救えるから

みんなが幸せになればいい

海の香り

明日は君から返事があるかな

§

『涙が止まらない』

彼は自転車の鍵が無いって

怒っていたのだけれど

オレは知らないから見て見ぬフリ

コーヒーをひとくち含む

素敵な薫りが広がって

全身に流れる愛を感じる

わかっていない奴に

何を言っても仕方ないのだから

オレは悲しいから見て見ぬフリ

新しいジッポが欲しいけど

18の時に買ったやつを使うよ

きっと相性があるんだね

すべてのものには相性があるんだね

終わりが近づいてきた時

もうとっくに手遅れなのさ

終わりに始まりは無いから

新聞配達の少年は

今日も悲しみを抱いてる

好きな音楽を聴くのはきっといい事

素敵な気分になれるだろ

みんなご機嫌なのさ

世界はもう終わっているというのに

だからもう悲しいフリはやめて

あっちの世界に帰ろう

そう決めたとたん

ラララララ

彼が呼んでいる

ラララララ

涙が止まらない

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