【詩・ポエム】Vol.32

『B.J.CLUB』

便所で出ねぇションベンを
無理やり出そうとしている
男が思うのは
明日という今日の話

ここはB.J.CLUB
最新のステップを
踊れるやつだけ
踊ってけ

フロアで回る田舎の少年
クスクス笑いも気にせずに
最高の回り方するもんだから
財布がどっかに飛んでった

ここはB.J.CLUB
本当のステップを
踊れるやつだけ
踊ってけ

常連さんがやってきた
自称ボンボン物書きの男
その両生類のタトゥー
イカしてるぜまったく

ここはB.J.CLUB
純粋なステップを
踊れるやつだけ
踊ってけ

カウンターには熱帯魚
水槽のライトが女を照らす
バーテンに甘えてみせるが
そいつには女が8 人いるぜ

ここはB.J.CLUB
真実の愛が
欲しい奴だけ
飲んでいけ

§

『暗いニュース』

どうしたものか
こんな気分でも
目覚ましは鳴っちゃって
朝飯食らいニュースを見てる

昨夜未明
海に男性の死体が
打ち上げられました

オレと同姓同名
同じ顔に同じ服

あぁ、そうか
オレは死んでたんだ

ありがとうございます
半日お先に失礼します

§

『どうでもいいこと』

相変わらず人気の芸術家さんは
お得意回りに大忙し
お前のソレな
もうシんでるぜ
何を大事に抱えてるんだ

オレは洒落たあのモーテルに泊まり
バスタブで泡まみれのあの娘を抱く
その後でチョコを食うのさ
口移しでな

お前が喜んでることなんて
オレからすればどうでもいいこと

オレが喜んでることなんて
人からすればどうでもいいこと

わかるかい？

わからねぇだろうな

だからオレはお前に
腐った牛乳を瓶ごとやるよ

それを気付かずに飲み干すなんて
やっぱりお前が可哀想だ

ってのは
もちろんウソさ

§

『コットンキャンディー』

甘いのは最初だけ
柔らかくても
溶けて消えるのよ
ワタアメのように

記憶の中にも
夢はあるの
空っぽの花瓶
最後は割れた

泣かないでいいのよ
私がいるから
さぁさ
柑橘系を飲んで
お眠りなさい

明日もあなたを愛しているわ

§

『BBB』

三那由多のロータス
からみつけて
君の匂いも
忘れかけた

挟まった右に
もがき苦しめ
死神の彫刻
何も言わない

oh！
ベイビーベイビベイビー
ベイビーベイビベイビー

甘い話には
裏があるって
膝をさすり
アイツが言う

血管に入った
毒はやがて
音符になり
音を鳴らす

oh！
ベイビーベイビベイビー
ベイビーベイビベイビー
ベイビーベイビベイビー
ベイビーベイビベイビー