【詩・ポエム】Vol.21
『1回しか言わないぜ』
いいかい?
1回しか
1回しか言わないぜ?
だからさ
絶対に
絶対に聞き逃すなよ?
「オレは何回だって"I LOVE YOU"と言ってやる」
§
『キビアラシ』
わめき散らす黍嵐
暴れまわる悪意
捏造の陽だまり
混沌がオレの背中におぶさってきたから
オレはいつもの部屋に逃げこんじまった
あの娘は心配そうに
ドアの向こうからこう言った
「1つだけ確かなのは今日も愛しているよ」
音っていうのはさ
言葉っていうのはさ
どんな鋼鉄も突き破るもんなんだな
§
『祝福の歌』
妖艶に塗り重ねたアイシャドウ
アイラインはナイフのように鋭利に
アナタ好みのチークの色を選んで
仕上げに唇を噛んで鮮血のリップを
背中を向けるアナタに
祝福の歌を送りながら
振りかざしたナイフは
バターナイフだったなんて
とんだ笑い種
悪夢のような色のベルベット
ドレスの裾を引きずりながら
アナタ好みの破廉恥に手を添えて
仕上げに舌を噛んで餞別のキッスを
鏡越しに見えるアナタに
祝福の歌を送りながら
取り乱したりもせず
見送っただなんて
とんだ笑い種
どうかアナタよ幸せに
§
『三日月』
橋の上から三日月を見ていた
さっきまでのアレが吹き飛ぶくらいの三日月
まるで夜空が笑っているようだった
信じられるかい?
夜空が笑ってたんだぜ
§
『心臓の位置』
右前から女の子が歩いてきた
オレは横目で追う
通りずぎるまで
オレは横目で追った
その瞬間
左ひじに痛みが走る
君がつねっていた
心配するなよ
オレの心臓は
ちゃんと左についている
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