見出し画像

【詩・ポエム】Vol.26

『美女と野獣』

代わる代わる訪れる

回る回る重なるの

それを憂う私の心に

今、君が灯してくれた火

それは儚くも

刹那のような

炙り出すような

感情

それに満たされている間は

きっと生きていられるのだろう

……などと書いているオレは

君の背中のホックを

外したくてたまらないんだ

獣のように紳士な手つきで上手に

たったそれだけのこと

§

『ほくほくと』

北北東から季節風が

淡い恋心をさらっていった

わずかな期待にかける一太刀

かすかな痛みに駆ける人たち

ほくほくと

ほくほくと

南南東から季節風が

甘い恋心をさらっていった

見事な擬態に書ける日もあり

夜毎か痴態に明ける陽もあり

なんなりと

なんなりと

お申し付けあれ

§

『ベラドンナ』

伸びすぎた爪が

大切にしていた黒を突き破った

糸をひくソレがその指にかかり

オレはさっきからペンが進まない

ベラドンナの幻覚を

毒と食らうか、薬と飲むか

どうした?

さっきからトカゲでも飲み込んだような顔をして

準備ならできているはずだろ

§

『アオスジアゲハ』

新しいドアを開けることにした

さっきまでの遊びは終わり

ここから何が始まるかなんて

誰にも分からないさ

もう、ここからは俺ひとり

そう、ここからは誰ひとり

捨てたはずの怒りすら連れていこう

地を這うように飛べばいい

今度はきっと上手くやれるさ

§

『万華鏡』

上手に片目をつむり

くるくると回している

きっとその右目には

色とりどりのカケラが

君を魅了しているだろう

でもね

本当は

そのつむった左目の方にこそ

美しさが溢れているんだよ

さくら ぼんじりの作品を見て頂けただけで嬉しいので、サポートは無理なさらずに……お気持ちだけで結構です……。もしもサポート頂いた場合は、感謝の気持ちと共に、これからの活動費、また他の方への応援に使わせて頂きますm(_ _)m