【詩・ポエム】Vol.25
『本社からのファックス』
珍しくも日常的な言葉で
今、この時を詠う
さっきから
たまらない吐き気と
ため息の連続の中
目の前に貼り出された
ファックス番号の数字が
全角に始まり
途中から半角に変わる
それに疑問を抱く
送り主は何を考えているのだろう
散々と考えた挙句
それに答えが無いのは承知
だってただのタイプミスなんだから
一流の大学を出て大手に入ったとて
人間なんてこんなものさ
それはつまり
今、この時
我が脳が思考している
それと何ら変わらない
それに答えが無いのは承知
だってそんなことを考えている
今、この時こそ
「君を愛している」
としか言い様がない脳なのだ
どうしてなんだろう
左目からだけ涙が出たのは
「ファック」と吐き捨て
クスクス笑った
あっ、吐き気が止んだ
§
『審判の日』
墜天使が化けた雌猫はマーブル模様
今日もオレの膝の上でゴロゴロ鳴いている
「あの子、こっち側じゃなかったみたいね」
彼女はそう言うと
オレのため息を飲み込んだ
まるで継ぎ接ぎのぬいぐるみ
パッチワークのような君の生き方に
相変わらず反吐が出る
猫はぴょんと
オレの膝の上から飛び降りると
天使の羽を広げて飛んでいった
そしてまた同じ時刻に帰ってくるのだ
§
『美しさはそこらじゅうに溢れている』
ひらひらとただ舞う
蝶の黄色い羽と
幼き手をふたつ引く
そのショートカットに
美しさを感じた昼下がり
ほらやっぱりな
美しさはそこらじゅうに溢れている
§
『指切拳万』
「今すぐそっちに行って
この小指を切り落とそうか?」
そう言ったあの時の君の声の音
今もこの耳に巣を張っている
そんなことを言わずとも
そんなことをせずとも
君の愛は十分に感じているさ
それに指切りげんまんが
できなくなるじゃないか
まぁ、心配せずとも
オレがした約束なら
ちゃんと守る
§
『スニーカー』
恋愛なんてもんはさ
スニーカーと一緒やん?
最初はピッカピカでお気に入りでもさ
だんだん底が浅くなって磨り減ってくやん?
そしたら歩いてて痛いのなんのって
そんで新しいの買ってまうやん
ん? オレ?
オレはこのスニーカーと心中に決まっとるやん
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