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【詩・ポエム】Vol.23

『もう急がないと』

シロツメクサを口に咥えて
おどけてみせるから
君は上手に笑って

雨の音も感じないほど
朝の中に溶け込んでいこう

何もかもが無くなればいいと
僕は喉をかきむしるように
祈り続けていた

でもそんなことは
もうどうでもいい
ここにある
君のモルガナイト
そうさ二人
もう急がないと

§

『猫が見ていた』

玄関に座り

スニーカーの靴紐を結ぶオレの背中越しに

裸のまま猫を抱きながら

「キミはこれからもっといい男になるよ」

とアナタは言った

あれから何年が経ったのだろう?

オレはアナタのいうソレになれたのだろうか?

§

『ウサギの涙』

瞬きもしないで見つめていた

チグハグの彼方

雨音は強くも優しく

目を赤くしてウサギは何を思った

泣いていたのかい?

何を待っていたんだい?

柔らかなそれが頬を濡らして

何かをかばった

あぁどうして君はそんなに美しい

先端に絡みついた黒い糸を

君がこっそりしっとり

取り去ってくれないか?

§

『世界を揺らせ』

世界を揺らしたくて

僕は拳輪で壁を叩いた

何かを吐き出すように

強く

強く

ちっとも揺れやしない

そんなものさ

世界なんて

§

『シンデレラ』

誰かオレにとびっきりの哀愁をくれよ

風上から風下まで勢いよく

欲望のダーツをぶん投げて

最高のギャンブルタイム

ギターの弦が切れたから

シンデレラは5時に帰っていった

ガラスの靴をキレイに揃えて

裸足のままで帰っていった

だから今はどうしようもない気分

魚の骨で作った髪飾り

もうすぐ笑い出すところ

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