Switch

岡山も梅雨入りしてここずっと強い雨が降り続いています。
今日は久しぶりの晴れ間。

今週は周年祭でスタートしました。
パン屋になって６年
店舗を構えて３年
オープンした当初は日々が経験したことのない緊張感と不安で
３年後にパンを焼き続けているイメージは全くなかったのをよく思い出します。
初年度は豪雨災害でオープンして１ヶ月で選択選択の日々。
自分に出来ることは何か？

スタートしたばかりのお店の経営だけで精一杯なのに何が出来るのか？
何かをしないと
何もできない
負のスパイラルに入ってしまったのを覚えています。

辛い辛いと頭を抱えていても何も変わらないから
自分に出来る日々のことに向き合ってやれることをやっていこう！
散々悩んで落ち切った後に
自分の意識を強引に引っ張り上げて、店舗営業を続けました。

当然、お客様は少なく、午後まで残ったパン達を箱へ詰め込んで
協力してくれる（通販で送ってと言ってくれる全国の方）お客様へ送ったのだけど、運送会社も麻痺していて、届かない、行き先不明、期限が切れて返品、その繰り返し。

当時、通販を希望してくれたお客様のコメントやDMは本当に心に刺さって原動力になりました。

「届いたのが４日後だけど冷蔵だから受け取ります」

「再送はしなくていいです、頑張ってください」

簡潔に書くと一行なのだけど、長い文章で思いのある言葉がたくさんDMで届いて、生かされているなぁと感じました。
営業は続けよう
行き場がなくなって抱えきれなくなっている人が
お店に来て、話を少しして、気持ちが軽くなるような場所を提供しよう
パン屋だけど誰でも出入りができるちょっと息を抜ける
コミュニティのような存在になりたい

お客様が入店と同時に
スタッフ総出で

「今日このパンが美味しいですよ！」
「このジャムも！つけて食べてみて！」

焼き上がったパンを何個もカットしては食べてもらう。
常時、試食が３種類はあってスタッフも一緒に食べながら
ゆっくり対話しながらの営業

コロナの現在では考えられないような

近所のおばぁちゃんがお皿を差し出して「食べていかれー」
さながら。

レジを通って帰る頃には
お腹がいっぱい！
とよくお客様が言っていて
その時の笑顔が嬉しくて嬉しくて
こちらも幸せになる感じ

今思うと、これはペイフォワードのめぐりだったなと思う。
私のイメージするお店のスタートラインが見えてきた感じ。

ペイフォワード
直訳は「先に支払う」の意味だけど
一人ひとりがお互いに無償のボランティアを提供しあう優しい関係性の言い回しだそうです。

AがBに与える
BはAに恩を返すのではなくCに与える
CはAやBに対して恩を感じながら次の世代へより多くのことを伝えていく
社会のポジティブな循環の事

bonbonは高い技術のパンを焼けるパン屋ではないけど、体に優しい発酵を意識して、素材も可能な限り選んで、時間をかけて焼いています。
美味しくなぁれ美味しくなぁれと
元気を込めて焼き上がるパン達。

味わいって作り手の想いが現れるもの。
そうやって焼き上がったパンを、どうせなら笑顔で「美味しいよ！」と届けたい。その笑顔がお客様の生活の糧になり、原動力になって繋がっていくならそれが私のやるべき仕事なんだと思います。

パンやお菓子の味よりも少しだけ強く笑顔や幸福感が記憶に残るパン屋って
私の目指している所だと実感しました。

本は本屋で目で選んで手で触って、パラパラとめくって
少し静かな空気感を感じながら一冊を選ぶという行為が内容と共に存在を記憶に留めると思うし

コーヒーは喫茶店やカフェで空間に腰を落ち着かせ
流れる音楽や豆の匂いや
少し離れた所に座っている別のお客さんの読んでいる本や
端っこで雑談している年配の２人組の女性や
窓の外を流れていく車とか
シチュエーションを一緒に味わうことで充実感につながると思います。

五感を刺激して生活することが豊かさだったりする。

コロナ禍で我慢している日常の豊かさが早く戻ってくればいいな。

ゲッターズ飯田さんが

人生で嫌なことや
つらいことの多くは
不運の消化
それはとても
ラッキーなこと

そう言っていて
なるほどと響く。
ここ１ヶ月ほど自分を取り巻く環境の変化の波が強すぎて
最初は困ったなー辛いなーと過ごしていたのだけど
過去の自分のとっていたデータや記録を見返すと
やりたい方向へ向かう前は必ず挫けていたりする

目標が見えかけたり環境を変えていこうとする時は
順調だったり平穏だったりする波を強く立ち上げて
起こそうとするから
余波がすごい

プライベートも仕事も絡まって起きた余波だったので
起き上がるのに時間がかかる
まだまだもうちょっと。

自分の仕事の存在意義、お店に来てくれたお客様にパンやお菓子や接客や空間、五感で幸せになってもらえるような
言うなれば食の幸せです。

３年前の私がこの記事を読んだら
何を綺麗事言ってんだか
と思うだろう綺麗事ですが
言葉にできるようになった
＝
地に足がようやくつき始めたのだと思います。

春からポロポロと繋がっていく新しい人間関係は
ここずっとあたためている再構築案の入り口のような気がしています。

３年経ってやっと見えてきた生き方というか。

みんなに支えてもらいながら
営業と共存できる小さなペイフォワード
もらった元気や優しさや知識やアイディア
私も繋げていけるよう。

６年目へSwitch!
（強引にタイトル伏線回収！）

#bonbonbread
#パン屋
#baker