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ど庶民がジュエリーを買った話

その欲は唐突にやってきた
ー自分にご褒美あげなきゃー

 2024年1月、私は第二子を妊娠していた。いわゆる妊娠後期にさしかかったあたりだ。長く苦しいつわり期間を経て、この先も股から人間を捻り出し、睡眠不足の日々が始まる私には、何かしらのご褒美が必要だった。

 そして数あるご褒美の中から選ばれたのが、ジュエリーだった。

 なぜジュエリーなのか。振り返って考えてみると、一生ものであること、そして将来子に譲れること、そこに惹かれたんだと思う。そして、節目の年の35歳の自分に、自分自身の力で、記念になる何かを買いたかったんだと思う。

 とはいっても、普段アクセサリーを身につけることも少なく、ジュエリーに関しては素人中の素人。そんな私を助けてくれたのが、美とおしゃれの師である2人の親友である。この2人の助言を得て、そして私のときめきの結果、ご褒美ジュエリーが決定した。カルティエのトリニティリングである。

 ぜひ検索して見てほしい。めっちゃかわいい。3つの地金リングが繋がり合うデザイン。それぞれのゴールドの色合いもかわいい。3つのリングの意味はつける人に委ねられてるというカルティエのストーリーも、気に入った理由のひとつだ。私・上の子・お腹の子の繋がりっていう意味づけなんて、すっごい良いじゃん!良いじゃん!すげえじゃん!

 トリニティをご褒美にすると決めてから、トリニティのことを考えるだけで元気が出た。どこに一緒にお出かけしようか考えるようになった。収納場所や旅行の際のジュエリーケースの心配まで始まった。左手の人差し指につけたいからそこだけ過剰に保湿するようになった。そう、沼に落ちたのだ。

 今すぐに保湿された指に迎えたい...所だが、私のお住まいの地域にはカルティエがない。ただタイミングよく、母の還暦祝いを名古屋で開催する予定があったため、その際店舗に実物を見にいくことに決めた。

 私は恐れていた。まず着ていく服がない。入店拒否されるのではないか。恐怖はそのまま夢にもなった。1人では確実におしっこちびる。という訳で強力な助っ人を準備した。高級店慣れしている妹夫婦と図々しい母親、この3人である。カルティエにいる間、上の子は夫と父親に託すことになり、親族総出で協力体制を整えた。着ていく服がない問題は、妊婦だし着れる服が少ないんだろうなぁと、大目に見てもらおう作戦で挑むことになった。(何の解決にもなっていない)

 そして決戦の日、1月某日。少しでも入店拒否の可能性を減らすべく、タンスの肥やしになっていた婚約指輪を重ね付けし、名古屋へと向かった。

 還暦祝いは滞りなく終わり、そのまま百貨店内のカルティエへと向かった。びびり散らかしながら店内に入り、お目当てのリングの前に行くと、店員さんが「よかったらご試着できますよ」と丁寧に声をかけてくれた。入店拒否どころか試着を勧めてくれるとは...!

 そこで一気に安堵して、2つのサイズを試着させてもらい、しっくりくるサイズに納得。保湿しまくった人差し指にもカサカサの中指にも試着をし、購入の手続きへと進んだ。買いたいものを決めていたのもあって、あれよあれよとサクサク事が決まっていった。

 フワフワした高揚感の中、お客様登録を行い、サイズ変更が±1号なら無料で可能なことや、お手入れサービスの話などを聞いた。支払いが楽天カード(パンダ)だったにも関わらず、嫌な顔せず見下すこともなく優しく対応してくれた店員さんでよかった。そしてお店を出る時、人数分のお水までお土産でくれて、さすがカルティエクオリティ、と感動したのである。

 カルティエと書かれた真っ赤な袋を持ちながら、いまだフワフワした気持ちで帰宅。待ちきれず即開封の儀。この瞬間はたまらなかった。ようやく会えるのだ。リングの入れ物からいちいちおしゃれでかわいい。ドキドキしながら指につけてみる。ああ、言葉にできない喜びと達成感。最高だ。これはやみつきになりそうだ。

 以上、拙い長文レポートである。トリニティリングを手に入れたら今度はトリニティのピアスやネックレスやブレスレットが欲しくなる不思議。やはりジュエリーは沼だったか。次は3年後の結婚10周年(スイートテン)で夫に何か買ってもらおうと画策中。そして次のジュエリーを買うべくまた頑張って働こうと決意したのである。

 この春無事に出産を終え、イオンのカートを押す左の人差し指には、きらりと輝くリング。これだけで気分がブチ上がる、魔法のアイテムだ。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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