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2023/3/23 金融危機とFOMC

⭕ SVB破綻の金融不安から、クレディスイス買収劇、社債が無価値になり日本へも影響が。FOMCの結果と影響、簡単にまとめてみました。


① UBSがクレディスイスを買収 3/20

✅ スイスに拠点を持つ金融投資銀行のUBSグループがクレディスイスを買収、30億スイス・フラン(約4300億円)規模での合意。17日終値でのクレディ・スイスの株式時価総額は約74億フランで、買収額はこの半分未満となりました。

⭕ ユーロ圏にも広がる金融信用危機を食い止めようと、スイス政府がスピーディーに買収を仲介。スイスのケラーズッター財務相は、「これは唯一可能な解決策だった」と述べ、スイスだけでなく国際金融市場を安定させるために必要なことだと指摘。クレディ・スイスはもはや単独では生き残れなかったと付け加えた。

⭕ 買収劇によって、クレディスイスの発行したAT1債と呼ばれる社債約160億フラン(約2兆2800億円)はただの紙切れに。買収したUBSグループも大きな被害を受けているようです。

株式はかなり暴落したが一応生きてます。

スイスの銀行大手UBSグループは、同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意した。世界の金融市場に広がる恐れがあった信用危機を食い止めようと、スイス政府が歴史的な買収を仲介した。
  買収は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換になり、合意には広範囲な政府保証と流動性供給が含まれる。クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億フランで、買収額はこの半分未満となる。1株当たりの買収価格は、2007年のクレディ・スイス株のピーク時を99%下回る。
  スイス国立銀行(中央銀行)はUBSに1000億フランの流動性支援を提供する一方、政府はUBSが買収する資産から生じ得る損失に対し90億フランの保証を与える。スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は、クレディ・スイス債約160億フラン相当が無価値になり、民間投資家がコストを負担することになると説明した。
  この発表でUBSとクレディ・スイスの株価は、20日のチューリヒ株式市場でそれぞれ急落。UBSの下げは一時約16%に達したが、最終的に上げに転じて引けた。クレディ・スイスは過去最大の下落となる65%安まで売られ、56%安で取引を終えた。

出典元 Bloomberg 3/20

スイスのケラーズッター財務相は、「これは唯一可能な解決策だった」と述べ、スイスだけでなく国際金融市場を安定させるために必要なことだと指摘。クレディ・スイスはもはや単独では生き残れなかったと付け加えた。

出典元 Bloomberg 3/20
Credit Suisse Group AG (CS)



② 日本へも金融不安が

✅ 買収劇によって、クレディスイスの発行したAT1債と呼ばれる社債が無価値扱いとなり、世界、そして日本へも影響が及ぶ事も考えられます。

⭕ AT1債はいわゆる劣後債(債務権利が後回しにされる)に近い利回りが高い債券です。銀行が発行する債券で、利回りを高くする為に証券会社の金融商品の中に組み込まれる事が多いようです。

⭕ リーマンショックの時も高利回りの債権(住宅ローン債権)が金融商品の中に組み込まれており、それが焦げ付いた瞬間に多くの金融機関が巻き込まれ世界中に金融危機が走りました。規模は1兆ドル(約110兆円、当時)

⭕ それに比べればクレディスイスAT1債、約2兆2800億円は小さい数字ですが、日本の証券会社が扱っている金融商品にも、高利回りを保つ為に、クレディスイスAT1債は少量ですが組み込まれています。

出典元 Bloomberg 3/22



③ メガバンクも金融不安で暴落 3/10~

✅ 「三菱UFJ」「三井住友」「みずほ」とSVB(シリコンバレー銀行)の破綻、金融不安から、なんとなく不安だから、売りが売りを呼び、同じようなチャートパターンで仲良く大暴落。

関係者はさぞかし吐き気を催したことでしょう。( ;∀;)

出典元 Yahooファイナンス
出典元 Yahooファイナンス
出典元 Yahooファイナンス



④ FOMC(連邦公開市場委員会)3/22


✅ 今回は大半の市場参加者の予測通り+0.25%に収まったが、発表後、米国株式市場は一時的に上昇したが、利上げなし観測もあった為か最終的に売りが先行し主要3指数とも下落で終了。

⭕ さらに、従来より高い水準まで金利を引き上げる用意があると表明、年内の利下げは想定していないとの発言。

⭕ 銀行業界には混乱が生じて、景気鈍化につながる公算であるが、金融システムは強化されており、必要な対応をしている。銀行救済プログラムとして、FRBはバランスシートをの8兆6000億ドル(約1127兆円)まで拡大。約3000億ドル増(約40兆円)

⭕ インフレ抑制の為にQT(量的引締め、バランスシートの縮小)をしてきたが、やむを得ず拡大。金融メルトダウンする事はないと強調。

 インフレ鎮静化の「初志貫徹」をつらぬいた。以前、確かに「何かが壊れるまで続ける」と発言していたのを思い出しました。

米国史上2番目の規模の銀行経営破綻から2週間足らずの22日、高止まりするインフレが金融当局にとって引き続き最大の懸念事項であることをパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で明確にした。
  パウエル議長は連邦公開市場委員会(FOMC)による0.25ポイント利上げ決定後、追加利上げの可能性を指摘するとともに、必要と判断すれば従来予測よりも高い水準に金利を引き上げる用意があると表明。債券トレーダーの間で年内利下げの観測が高まる状況にあって、当局は利下げを想定していないとも議長は語った。

米金融当局としては、シリコンバレー銀行(SVB)破綻など銀行業界における最近の混乱が景気鈍化につながる公算が大きい一方で、広範な金融メルトダウンに拡大することはないと計算した上でリスクを取っている形だ。

  金融危機が本格化する前の2007年当時にも、当局は同様のリスク評価をして失敗したわけだが、銀行の自己資本や流動性の要件がそれ以降強化され、今回の場合、問題を隔離するための一段と強力な対策を講じたとみている。 

出典元 Bloomberg 3/23



⑤ まとめ

⭕ クレディスイスは歴史ある銀行ですが、贈賄罪や不正預金、マネーロンダリングに利用されたり、高リスク商品を優良顧客に売りつけたりと不祥事が多く、今回のような金融不安時には一番に煽りを受ける運命だったと感じます。

⭕ クレディスイスの社債「AT1債無価値騒動」、全世界、日本へも影響が続きそうです。

⭕ 「次回利上げの可能性あり」「年内利下げは想定していない」との発言より、金融騒動での利下げ時期前倒し予想は裏切られ、米国株価はしばらくは上値の重い展開となりそうです。

⭕ 次回FOMC(連邦公開市場委員会)は5/3



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