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2023/5/7 今週の米国経済指標まとめ

⭕ 今週の米国経済指標、ISM景況感指数、米連邦公開市場委員会(FOMC)、雇用統計について簡単にまとめてみました。


① 4月 ISM「製造業」景況感指数 5/1

 米供給管理協会(ISM)による製造業PMIが発表
結果 47.1 
前回 46.3 先月比+0.8
利上げバイアス ➡ (横ばい)

⭕ 総合で+0.8上昇したが、6か月連続で50を切り製造業の低迷が長引いている。

⭕ 4月上旬における、OPECプラスの減産協調による、原油価格の上昇の影響もあり仕入れ価格は53.2(+4.0)、雇用は50.2(+3.3)と50を上回り、やや人手不足感。離職後にすぐ再就職出来る状況を感じさせる。


出典元 Institute for Supply Management: ISM

② 米連邦公開市場委員会(FOMC)5/3


✅ サプライズなしの+0.25%、FFレートは5.00-5.25%へ

① 利上げが今回で打ち止めになる可能性の示唆を発言。
② 委員会は入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断すると記述。

パウエル議長

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は5月2、3日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.25ポイント引き上げることを決定。一方、経済面でのリスクが強まる中、利上げが今回で打ち止めになる可能性も示唆した。

 会合後に発表された声明は「委員会は入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断する」と記述。前回の声明に盛り込まれた「いくらかの追加引き締めが適切となる可能性を見込む」との文言は削除された。

出典元 Bloomberg 2023/5/4

⭕ 銀行、金融業界へのストレス
 直近の5/1に、米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻し、米銀最大手JPモルガン・チェースが買収にあたりました。

 4/24、1-3月期の決算発表で大幅な預金減が露わになり、取り付け騒ぎと株の投げ売りで株価は90%ダウンの大暴落、資金ショート、一瞬で破綻。
 
 SVB破綻以来、金融業界は不安と緊張に包まれており、金融安定にも最大限配慮しなければならないが、FRBは必要な対応を講じていると認識しており、インフレ退治を優先しています。多少ぶっ壊れようが仕方ないといったところでしょうか。

First Republic Bank (FRCB)

③ 米国雇用統計 5/5

✅ 非農業部門雇用者数 +253,000人(予想+185,000人)
✅ 失業率 3.4%(予想3.6%)
✅ 平均時給増減 +4.4%(予想+4.2%)前年同月比

利上げバイアス ⤴

⭕ 雇用者数は市場予想を上回り増加し、失業率は再び数十年ぶりの低水準に低下。相変わらずの堅調な労働市場です。

⭕ 平均時給が再び上昇、先月比で+0.5%(予想+0.3%)、各州によって異なりますが、中央値をとると、2022年9月時点では時給31.8ドル(4711円、ドル円為替約145円)、今は約33ドルまで上昇し、日本円に換算すると約4500円!(円安が進んだ為、円換算だと減少)
 
 ちなみに、日本の平均時給は1939円(令和2年)

⭕ FRBが重視する、個人消費支出(PCE)の源泉は賃金であり、賃金インフレが鈍化しない限り、金融引締めは続きます。



④ 重要経済指標のおさらい 

✅ 3月 雇用統計 4/7
● 非農業部門雇用者数 +236,000人(予想+230,000人)
● 失業率 3.5%(予想3.6%)
● 平均時給増減 +4.2%(予想+4.3%)
★ 失業率は過去最低水準 利上げバイアス ⤴


✅ 3月 消費者物価指数 CPI 4/12
インフレ率(前年比)
総合 結果+5.0% 予想+5.2% 先月比-1.0%
コア 結果+5.6% 予想+5.6% 先月比+0.1%
★ コアは先月より上昇している 利上げバイアス ⤴


✅ 3月 生産者物価指数 PPI 4/13
生産者物価指数(前年比)
総合 結果+2.7% 予想+3.0% (先月+4.9%)
コア 結果+3.4% 予想+3.4% (先月+4.8%)
★ 主に原油価格が前年比で落ち着いた 利上げバイアス ⤵


✅ 3月 小売売上高 4/14
小売売上高(前月比)
総合 結果-1.0% 予想-0.4%
★ 2か月連続の減少 利上げバイアス ⤵


✅ 米国総合PMI 速報値 4/21
結果 53.5 前回 52.3 先月比+1.2
★ 中小企業を含める景況感は上昇 利上げバイアス ⤴


✅ 米国GDP成長率 1-3月期 (前期比) 4/27
結果 +1.1% 前回 +2.6% 
★ 成長率大幅の鈍化 利上げバイアス ⤵


✅ 3月 個人消費支出 PCE 4/28
● PCEデフレーター 
 結果 +4.2%  先月 +5.0%
 コアPCEデフレーター(食品とエネ除く)
 結果 +4.6%  先月 +4.6%
★ インフレピークは高止まり状態 利上げバイアス ⤴


⑤ 利上げマップ 5/6

✅ 次回、6/14のFOMCは現状維持が予想が91.5%となっております。

 直近の金融不安の再燃を受け、ストレスに配慮し現状維持が有力。

出典元 CMEのFedWatch ツール

⑥ まとめ

⭕ 6/14開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FFレート現状維持予想が91.5%。雇用統計の底堅い数字を受け「長期の引締め継続」が予想される。金融市場は希望的観測にて9月に利下げが始まる予想ですが、FOMCメンバー18人のうち年内の利下げを考えている人は誰もいない。

⭕ 米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻、金融不安の再燃により、金融株は乱高下している。ストレスへの配慮の為、現状維持が好ましいと多くの関係者は考えている。今回のFOMCでは、次回の追加利上げは明言していない。

⭕ 米銀金融不安、原油価格急落(WTI一時1バレル70ドル割れ)、利上げ打ち止め、米国長期債利回り低下など様々な要因にて、NY金先物、ビットコイン等がやや上昇

⭕ 5/5、アップルが決算を発表、減収減益であったが、売上、利益、EPSともにコンセンサスを上回り、株価は窓を開けて上昇。(+4.69%)

 
インド、東南アジアへの販売が好調、ネットサービス販売部門でも前年比10%超と好材料が揃い、その持続性が期待された事が株主への大きいアプローチとなった。

 一進一退であった今週の米国株ですがアップルの好決算に釣られて、NASDAQは最終日+2.25%⤴


来週の米国経済指標

5/10 米国 消費者物価指数 CPI
5/11 米国 生産者物価指数 PPI



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