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2023/7/11 気になるニュース⑬ 東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の安全性レビューに関する包括報告書

⭕ 東日本大震災の津波による影響で、炉心冷却電源機能が損なわれ、炉心溶融した東京電力福島第一原発の冷却水を浄化処理した「ALPS処理水」の海洋放出議論において、ひとつの結論が発表されました。


① IAEA(国際原子力機関)包括報告書の要旨

⭕ まずはひと段落の「安全公認」を貰いました。

⭕ 福島第一原発冷却の為に溜まっている「処理水」を海洋放出する計画について、IAEA(国際原子力機関)は「国際的な安全基準に合致し、人体へ与える影響は無視できるもの」とする報告書を公表しました。

 トリチウム濃度を国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1に希釈して流す計画で、放出後には海水と混じり、さらに薄まっていきます。

出典元 IAEA 国際原子力機関

(1)包括的な評価に基づき、IAEAは、ALPS処理水の海洋放出へのアプローチ、並びに東電、原子力規制委員会及び日本政府による関係する活動は関連する国際的な安全基準に整合的であると結論付けた。


(2)包括的な評価に基づき、IAEAは、東電が現在計画しているALPS処理水の海洋放出が人及び環境に与える放射線の影響は無視できるものと結論付けた。

ALPS処理水
ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。さらにALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む全ての放射性物質について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されることが想定されている。

出典元 経済産業省 2023/7/4

② 韓国「国際基準合致」と公表

⭕ 文在寅大統領時代は反日運動の一環として「断固反対」を貫いていましたが、尹錫悦大統領に代わり路線変更。「韓国海域への影響はほとんどない」と評価、独自に発表をしました。

⭕ 韓国は、中国や北朝鮮などの強権国家との立ち位置が近年大幅に変わり、国益の為に外交路線を変更せざるを得ない状況に陥っています。

 韓国内の反日派は相変わらず批判路線を貫いていますが、それはお約束といったところでしょうか。

福島第1原発の処理水放出計画の安全性をめぐり、韓国政府は、「国際基準に合致する」などとした独自の検証結果を公表した。
韓国では、処理水放出について反対の声が根強く、政府が福島第1原発に視察団を派遣するなど、独自の検証を進めてきた。
そして、韓国政府は7日、処理水放出計画について「トリチウムの濃度がより低いレベルの基準を達成するなど、国際基準に合致している」とする検証結果を公表した。
「韓国海域への影響はほとんどない」と評価している。
一方、水産物の輸入規制については、「処理水放出とは分けて考える」として維持する考えをあらためて強調した。

出典元 FNNプライムオンライン 2023/7/7



③ 中国〝異常な反応〟原発処理水でIAEA報告書に反発

⭕ 中国お得意のイチャモンです。実際には中国や韓国を含めた海外の原子力発電所でもトリチウムを液体廃棄物として排出しており、これらと比べて日本はかなり低い水準にあります。

出典元 環境省 トリチウムの年間処分量 ~海外との比較~


 「報告書では日本側の海洋放出の正当性と合法性は説明できない」「IAEAは、核汚染水による海洋環境や生物の健康への長期的影響を評価するのに適した機構ではない」
中国の呉江浩駐日大使は4日、都内で記者会見し、IAEAの包括報告書についてこう批判した。

 中国外務省は4日夕に発表した報道官談話で、IAEAに「遺憾」を表明し、日本が海洋放出に踏み切れば「一切の結果を引き受けなければならない」と、「対抗措置」をとる可能性まで示唆した。
だが、中国の反応は科学的ではない。

 そもそも、福島第1の処理水に含まれる放射性物質トリチウムは自然界にも存在しており、体内に入っても蓄積されず、水と一緒に排出される。世界各国の原子力施設でも希釈するなどして海洋放出している。

 福島第1の年間排出量は、事故前の管理目標と同じ22兆ベクレル未満を予定している。濃度を国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1に希釈して流す計画だ。放出後には海水と混じり、さらに薄まっていく。
中国や韓国には、トリチウムの年間排出量が、福島第1をはるかに超える原発もある。

 経産省によると、中国では秦山第3原発が約143兆ベクレルと、福島第1が予定する6・5倍、陽江原発は5倍、紅沿河原発は4倍だ。韓国でも月城(ウォルソン)原発が3・2倍、古里(コリ)原発が2・2倍に上る。

出典元 zakzak 2023/7/5



④ まとめ 結局安全なの? 風評被害は?

⭕ 福島の復興のためには、福島第一原発の廃炉が不可欠。燃料デブリの取出しや廃棄物の一時保管のためには、敷地の確保が必要で、これ以上タンクを増やし続けることはできません。

 廃炉の実現には、ALPS処理水の処分を同時に行うことが重要。

⭕ ALPS処理水は国際安全基準であり、人体に与える影響は無視しても良い程度であるが、絶対安全であるとは誰も言えない(国際原子力機関)

 一般公衆、実効被爆線量限度の「1ミリシーベルト」は、国際放射線防護委員会による、この位であろうという「コンセンサス(合意)」的な数値で、放射線による人体被害は個人差がとても大きい。

⭕ 日本が抱える一番の問題は「風評被害」で、安全基準であっても海洋放水をする事に大きな懸念が残るのは事実。ただ、何もしなければ何も変わらない、水も溜まる一方、廃炉も進まない。

放射線についてはまだ、分からない事だらけである。

 政府は風評被害に備えて設けた計800億円の基金の活用で理解を得たい考えで、さらなる上乗せには慎重だ。

 政府と東電は2015年、福島県漁連と「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と約束した。会談後、西村氏は当時の約束を「順守する」と話した。「一律に理解の度合いを判断するのは難しい」とも述べ、今後も説明を続けて理解を得る姿勢を強調した。

出典元 日本経済新聞 2023/7/11

 

 国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告では、放射線作業(緊急時の作業を除く)を行う職業人の実効線量の限度は5年間で100ミリシーベルト、特定の1年間に50ミリシーベルトと定められています。

 一般公衆の場合、実効線量限度が年間1ミリシーベルトと定められています。

 線量限度は、管理の対象となるあらゆる放射線源からの被ばくの合計が、その値を超えないように管理するための基準値です。線量限度を超えなければそれでよいのではなく、防護の最適化によって更に被ばくを下げる努力が求められます。このことから、線量限度はそこまで被ばくしてよいという値ではなく、安全と危険の境界を示す線量でもありません。

出典元 環境省 線量限度
出典元 環境省 ベクレルとシーベルト


出典元 環境省 線量限度



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