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2024/8/3 今週の米国経済指標まとめ

⭕ 今週は、FOMC 米連邦公開市場委員会(8/1)、ISM製造業景況感指数(8/1)、米国 雇用統計(8/2)について簡単にまとめてみました。



① まとめ

🟡 景気後退の波が押し寄せている

 ISM製造業景況感指数、雇用統計が予想を大きく下回り、米国では景気後退の兆候が強まっている見方が急激に大きくなり、機関投資家はポジションを落とし現金、債権など安全資産に逃げている。
 10年債権利回りは1週間で40bp近く落ち、原油価格も下落

🟡 利下げに追い込まれるFRB

 今後、実際に労働市場がさらに減速した場合、景気が急減速しているとの懸念が高まり、8月、9月では株式市場ではさらに売りが誘発されるリスクが高まる。
 実際、雇用統計発表後の8/2時点では、9月の会合では50bpの利下げが「63.5%」と優勢になっていました。FRBは決定が後手になり「利下げを追い込まれた」格好となりえます。
 (8/3時点では9月会合での50bp利下げは22%と下がっている)

🟡 日銀は利上げ

 日本は実質賃金や実質GDPも下落しているのにも関わらず、7/31の決定会合にて政策金利0.25%となる利上げが決定。
 事実として、日本経済の先行き不安を感じた投資家はポジションを大きく落とし2216円安(5.8%)の終値3万5909円と米国株以上の大暴落。(先月比では▲12.21%)
 米国ISM指数や雇用統計による景気後退懸念の余波による引き金はあったと思いますが、円高進行による大企業の業績低下、政府の不十分な景気対策など、日本の下半期の景気は懸念が多いでしょう。



② 連邦公開市場委員会(FOMC)8/1

⭕ ポイントを超簡単にまとめ

1.予想通り主要政策金利は据え置き(5.25-5.50%)

🟡 8会合連続の据え置き。インフレ抑制の進展に滞りがない限り、金融当局として早ければ9月に利下げする方向にある事を示唆。

2.物価の安定と雇用の最大化

🟡 労働市場の過度な軟化リスクに懸念を強めている。インフレ鈍化から労堅調な働市場の維持に重点を移行しつつある。


 最近の指標をみると、経済活動は堅調に拡大しています。雇用の伸びは依然として堅調で、失業率は低い水準で推移しています。インフレ率は過去1年間で緩和されましたが、依然として高止まりしています。

委員会は、長期的には2%の雇用とインフレ率の最大化を目指している。委員会は、雇用とインフレの目標を達成するためのリスクは、よりバランスの取れたものに移行していると判断する。経済の見通しは不透明であり、委員会は引き続きインフレリスクに非常に注意を払っています。

その目標を支持して、委員会は、フェデラルファンド金利の目標範囲を5-1/4から5-1/2パーセントに維持することを決定しました。フェデラルファンド金利の誘導目標レンジの調整を検討するにあたり、委員会は、今後のデータ、進化する見通し、およびリスクのバランスを慎重に評価します。委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かって動いているという確信が強まるまでは、目標レンジを引き下げることが適切ではないと予想しています。さらに、委員会は、以前に発表された計画に記載されているように、財務省証券、エージェンシー債務、およびエージェンシーモーゲージ担保証券の保有を引き続き削減します。委員会は、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしています。

金融政策の適切なスタンスを評価するにあたり、委員会は、入ってくる情報が経済の見通しに与える影響を引き続き監視します。委員会は、委員会の目標の達成を阻害する可能性のあるリスクが生じた場合、金融政策のスタンスを適切に調整する用意があります。委員会の評価では、労働市場の状況、インフレ圧力とインフレ期待、金融および国際的な動向に関する測定値を含む幅広い情報が考慮されます。

金融政策措置に賛成票を投じたのは、議長のジェローム・H・パウエル氏でした。ジョン・C・ウィリアムズ、副議長;トーマスI.バーキン;マイケル・S・バー;ラファエル・W・ボスティック;ミシェル・W・ボウマン;リサ・D・クック;メアリー・C・デイリー;フィリップ・N・ジェファーソン;アドリアナ・D・クーグラー;ロレッタ・J・メスター;そしてクリストファー・J・ウォーラー。

出典元 FRB FOMC声明 2024/7/31



③ 7月 ISM製造業景況感指数 8/1

🟡 結果 46.8(予想 49.0 前回 48.5)

⭕ 総合は46.8と予想(49.0)を大幅に下回る。新規や生産の低下から需要環境が縮小している事を示している。雇用の大幅な低下も見逃せない。
 
 購買担当者の声も経済の大幅な減速を示唆するコメントが多い。

● 生産 45.9 (▲2.6p)
● 新規 47.4 (▲1.9p)
● 雇用 43.4 (▲5.9p)
● 価格 52.9(+0.8p)

回答者の声
● 「経済は大幅に減速しているようです。新しいサプライヤーから受ける営業電話の数は大幅に増加しています。私たち自身の受注残も減少しています。顧客の需要の増加を期待しています。そうでなければ、組織的な変更が必要になるかもしれません。」[機械設備]

● 
「残念ながら、私たちのビジネスは、1年で最も急激な注文レベルの減少を経験しています。6月には予算目標を大幅に下回りました。その結果、今年初めて純利益がマイナスになった月となりました。」[金属加工品]

● 「需要は下半期に入っても軟化し続けました。サプライチェーンのパイプラインと在庫は満杯のままで、残業の必要性が減っています。中国と台湾の間の地政学的な問題や、11月の選挙が依然として大きな懸念事項となっている」と述べた。[輸送機器]

出典元 ISMレポート 2024/8/1



④ 7月 米国雇用統計 8/2

🟡 非農業部門雇用者数 +114,000人(予想+175,000人)
🟡 失業率 4.3%(予想4.1%)
🟡 平均時給増減 +3.6%(予想+3.7%)前年同月比

⭕ 雇用者数、賃金の伸びが鈍化、失業率も上昇。労働市場が予想よりも減速して冷却期間を迎えている。6月の労働者数も下方修正された。

6月 206000人 ➡ 179000人に下方修正

⭕ 失業率は歴史的に見れば依然低水準だが、市場の反応はとてつもなく大きかった。

出典元 TRADING ECONOMICS



⑤ 重要経済指標のおさらい

⭕ 日本利上げ、英国利下げ、米国失業率上昇


⑥ 政策金利予想  8/3

🟡 利下げ観測 1回【5.00-5.25】
★ 2024/9/18 「100.0%」

🟡
 利下げ観測 2回【4.75-5.00】
★ 2024/9/18 「22.0%」
★ 2024/11/7 「96.3%」

🟡 利下げ観測 3回【4.50-4.75】
★ 2024/11/7 「21.0%」
★ 2024/12/18 「96.7%」

出典元 CME FedWatch



🔅 今週の債券利回り、為替、原油(前週比)8/3現在

★ 米国10年債利回り 3.792%(7/27 4.194%)
★ 日本10年債利回り 0.928%(7/27 1.067%)
★ 1ドル=146.564(7/27 153.75円)
★ 原油(WTI)1バレル=74.14ドル(7/27 76.64ドル)


🔅 今週の米国株主要3指数、日経平均 8/3現在

★ 
NYDOW 39,737 ▲2.10%(先週比)+1.09%(先月比)
★ S&P500 5,346 ▲2.06%(先週比)▲3.44%(先月比)
★ NASDAQ 16,776 ▲3.35%(先週比)▲7.76%(先月比)
★ 日経平均 35,917 ▲4.65%(先週比)▲12.21%(先月比)


🔅 来週の経済指標
8/5 ISM非製造業景況感指数




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