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孫子の兵法から学ぶFPS上達法とビジネスへの応用

はじめに

 FPS初心者の方の中には、どうすればFPSがうまくなるのかわからないと感じている人は多いのではないでしょうか。ちまたに溢れている情報はやれエイムを鍛えろだの、やれ上手い人の立ち回りを真似しろといったものです。しかし、初心者の方がこのような情報を聞いたところでエイムを鍛えるだけのモチベーションがなかったり、上手い人が何を考えてその立ち回りをしているのかがわからなかったりして参考にならないことも多いです。また、FPS初心者の方が上達に悩む理由としてFPSの技術について体系的にまとめたものがないという問題もあります。

 この記事では、そのような初心者の方が見てもわかるようにFPSの技術を体系的にまとめていきます。技術をまとめる時に参考にしたのは「孫子の兵法」という書籍です。孫子の兵法は、2500年以上前の中国の兵法家である孫武という人がかいた兵法書です。それから現代に至るまで、名だたる名将たちが参考にしてきました。三国志で有名な曹操や風林火山で知られる武田信玄などもこの孫子の兵法を参考にしていたと言われています。現代では、ビジネスの考え方に応用され、ビルゲイツ、孫正義、野村克也といった方々も孫子の兵法を参考にされているようです。もちろん孫子の兵法の考え方は、戦いという点で共通点が多いFPSにも応用可能なので、孫子の兵法を理解することで、優れた戦い方を学ぶことができます。

 さらに、この記事は「FPSでは初心者は脱した」、「e-sportsを長年やっているので技術は習得している」という人にも読んで欲しいものになっています。その理由は、FPSで得た技術はビジネスの現場でどのように生かすことができるのかということまで説明しているからです。ビジネスにはFSPと共通する点が非常に多いので、私はFPSが上手い人はビジネスでも必ず成果を上げることができると考えています。

 私は、大学を卒業後に製薬メーカー研究職、科捜研研究員、AIエンジニアという仕事をしながら趣味でFPSをやっていました。仕事をしつつゲームをしているなかで、徐々にゲームで身に着けた技術が仕事にもいかせるのではないかと感じ始めました。そして、それをビジネスの現場で実践すると以前に比べて仕事に関して周囲から認められることが多くなりました。もちろん、FPSだけが理由ではないとは思いますが、次第に仕事ではどういう立ち回りが重要かがわかりました。

 孫子の兵法は13篇で構成されていて、それぞれについてFPSとビジネスへの応用方法を記載していく予定です。それぞれの篇に記載されている内容は以下の通りです。

1~3篇:作戦や計略について
4~6篇:有利をとるためにどのように部隊が動けばいいのか
7~11篇:部隊の動かし方
12編:情報の重要性
13篇:戦いに対する考え方

 一つだけ注意していただきたいことは、孫子の兵法では具体的にこうすれば勝てるということは書いていません。孫子の兵法に書かれていることは、戦に負けないための考え方です。したがって、以降ではFPSで負けないようになるための考え方を身に着けるという観点で文章を書いています。

 それでは各篇の内容を説明していきたいと思います。

1. 始計篇 ~戦いの前に見通しを立てる~

 孫子の兵法では、まず初めに戦いというのはただただ消耗してしまう無駄な行為だということを書いています。

兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからず。

 この一節をFPSに当てはめて考えてみると、バトルロワイアル系のゲームで非常に有用な考え方であると思います。バトルロワイアル系のゲームでは、目の前の敵を倒したとしても周囲には多くの別の敵が存在しています。このような状況で消耗してしまうだけの戦いをしてしまうと、その他大勢の敵が有利になってしまうだけです。すなわち、戦うということは消耗するだけだとうことを分かった上で戦うべきかどうかを考える必要があります。

 では次に、戦うべきかどうかをどのように考えていくのか、という点について説明したいと思います。

戦力の検討と優劣判断

 戦力の検討には以下の5つの情報を使います。

道:大義名分のこと。大義名分がない戦いは避けるべき戦いとされている。
天:天の時のこと。昼夜、天気、季節など。
地:地の利のこと。移動時もしくは戦闘時の地形の状態や有利不利など。
将:智謀、信頼、仁慈、勇気、威厳などのリーダーの器量にかかわること。
法:軍の編成、役割分担、物資の管理など。

 また、優劣の判断には以下の7つの情報を使います。

・君主は、どちらが立派であるか
・将軍は、どちらが有能であるか
・天と地は、どちらに有利であるか
・法令は、どちらが徹底しているか
・軍隊は、どちらが強いか
・兵士は、どちらが訓練されているか
・賞罰は、どちらが公平に行われているか

 それでは、これらの判断基準をFPSに応用してみましょう。

 道を言い換えれば、その戦いをすることによって自軍はどのような大局的な有利を築けるかということになると思います。後述しますが、FPSでは基本的に自分が優位な状態を保って攻撃を仕掛けることが基本です。しかし、ここで自分が不利な戦いを仕掛けることが、全体を通して見たときに一番勝利に近い戦略であるならば、その攻撃を仕掛ける方がいいということです。FPSでは常に優位をとることは不可能ですので、どこで不利な戦いをするのかとういうことは重要な判断材料です。

 つぎに天です。これは、天候の変化があるゲームでは、その変化に合わせせて戦力も変化することがあるということを言っています。例えば、晴れている場合と雨もしくは夜を比較すると、雨が降っていたり夜には視界が悪いので、晴れている時には見えている敵が見えなくなることがあります。また天は、時流に合わせた行動をとるべきという解釈もできます。すなわち、ゲームをプレイしている時点でのメタまでも考慮する必要があるということをここでは言っています。

 地で言われていることは、そのままFPSに応用できます。つまり、戦闘をする時のポジションはどちらが有利であるかということです。この戦力検討の方法は初心者の方が一番最初に理解し、取り組めるものだと思います。相手より高所をとれているであったり、遮蔽物がある場所に陣取れているといった情報を利用して戦力検討をしましょう。

 将は、e-sportsをやっているならば、そのリーダーの資質と言い換えることができます。FPSであっても、リーダーは重要な立場であるということです。

 法は、キャラクターごとに能力が違うゲームであれば、どういったキャラクター編成になっているかが重要な検討材料になります。この編成によって、攻撃重視か防御重視か、移動重視か籠城重視かといったことが見えてきます。相手の編成と自軍の編成を比較して戦力検討をします。

 優劣判断に使用する7つの項目のうち、天と地がどちらに有利であるかという項目は一番重要であると思います。戦力の検討でも出てきましたが、FPSでは有利なポジションをとっているがどうかが非常に重要になります。FPSの優劣判断の時では、この情報をメインで使用します。
 なお、e-sportsの試合などで対戦相手の情報があらかじめわかっている場合には、それ以外の情報を使用することもできます。その場合、
 ・君主 → オーナー、マネージャー
 ・将軍 → インゲームリーダー
 ・法令 → チーム内で共有されるルール
といったように解釈できるかと思います。初心者の方がe-sportsを観戦する時には、このような視点を持つと面白いかもしれません。

今後、ビジネスとの共通点や以降の章について、追記予定です。

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