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中学受験勉強の伴走『苦手科目を作らない』

得意科目よりも苦手科目

 私は、得意科目を徹底的に伸ばすのも良いが、それよりも、苦手科目を作らないことを優先したかった。ある程度、知的好奇心を持っていれば、得意科目は自ずと確立されると思う。誰しも思考の偏りがあるはず。数字が好き。抽象化思考ができる。文字が好き。観察が好き。読書が好き。立体図形が好き。俯瞰的に捉えるのが好き。それぞれの”好き”を、勉強科目に紐づけて、そこを中心に育てていけば、得意科目ができるのは自然の流れだ。
 思考の偏りが得意科目を生む一方で、同時に、苦手な思考が生まれる。表裏一体だと思う。だから、私は、偏りの傾斜がきつくなる前に、苦手側の思考も同時に伸ばすべきだと考える。思考の偏りに関して、すでに記事で述べたように、『演繹的思考』と『帰納的思考』が指標となる。この2つは対比であり、例えば、”理系”と”文系”の直交性も説明がつく。

演繹的思考と帰納的思考を同時に育てる!

 どっちかに思考は偏っているはず。演繹的思考では、抽象モデルから世の中を観察するので、観察の結果、抽象化できないとなると興味が失せる。逆に、観察が得意で個別の違いに着目するタイプは、観察結果からしか共通項を見出せないと考える。だから、数学のように抽象世界で議論を展開することに価値を見出せない。だって、個別の事象の間に共通項があるだけで、普遍的なモデルが存在すると考えないから。
 幼児期、この子は間違いなく算数に偏ると思った。数字に興味が強かった。小1では会話の中で普遍的な説明を好んだ。「要は…」私は、この子が3歳になるときに公文に連れて行ったが、算数と国語を同じ比重で進めさせた。これは、得意になると思われる算数にブレーキをかけていたと思う。国語を無視して、算数のみを爆速で進めることもできた。しかしそれはやりたくなかった。

算数が得意な子にどうやって?

 私は、観察の意味を教えた。国語の読解問題を解くときに、帰納的に解く楽しさを何度も説明した。詳細は別の記事で。例えば、理科の昆虫。それぞれの構造の違いを知識として蓄積し何が面白いのか。観察好きなら目に見える違いが楽しいだろうが、抽象的に構造を捉えると、個々の構造の違いはどうしても大したものでなく見えるはず。だから、子供には最初から”虫”に普遍モデルがあるのではなく、観察からある程度の共通項を見出す捉え方を説明した。う〜ん、実際はどこまで伝わったのかわからないが、この子は、少なくとも帰納的に理科の勉強を捉えることはどういうことなのか、言語化できるようになった。

帰納的思考の副次的効果

 副次効果として言えることは、本来の得意側の演繹的思考を高速化することだ。抽象モデルに辿り着けないとき、頭を切り替えて観察する。観察から少しづつ共通項を見出し、抽象化していく。副次的効果はあり得る。この子は国語の勉強にも時間を費やした。だから、英語の読解問題も、国語力で解けたりする。例えば、英検の読解問題は、ほとんど練習していないが、英検準2級までそれほど、苦労なく到達した。もちろん英語学習に時間は注いでいる。効果測定は不可能だが、もし帰納的思考をトレーニングしていなかったら、ここまで英語も進まなかったと思う。

まとめ

 苦手科目を作らないためにも、早い時期から思考方法の切り替えをさせていた。自然の成り行きで得意を伸ばすのではなく、私は、”力学”で思考を育てたつもり。

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