小説「ぼくはうみがみたくなりました」1~2章
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サッシの窓ごしに、澄んだ青空が見える。
ガラスは多少汚れているものの、スカイブルーの青さは圧倒的だ。
初夏を思わせる白い雲のかたまりが、ぽつんぽつんと浮かんでいる。止まっているように見える。ゆっくりと形を変えながら動いているその姿は、じっと目をこらして眺め続けていなければ気づかない。
昨日までの雨がまるでうそのようだ。先週からの連休も、ゴールデンウィークという言葉が似合わないほどに、悲しいぐらいずっと雨だった。今日はその直後の土曜日。もう少しすれば、今度は梅雨に