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男と女を交互に生きる人生ってどんな感じ?

武德です。
私は性別不合(頭が男、身体が女性)で生まれてきましたが、身体を本来の性別の方へ適合させる性別適合手術は行っていません。

「頭は男、身体は女」とはどういう状態なのか。平たく言うと、男と女のハーフみたいな感じです。性別が男にも女にも振り切っていないのです。
そのため時期によって自分の性別がえらい変動しますし、不都合なことも起きました。

今日は、人生において、「この時期は男だった、この時期は女だった」というのを思い出しながら紹介していきます。


幼少期(0~6歳)→女の子

この頃はほぼ女の子です。
好きなものや仕草も女の子ぽかったです。
自分のことを女の子だと自認していたし、身体の性別も女性なので性別違和は起こりません。ただし、非常に自分に自信の持てない女の子でした。

児童期(7~10歳)→女の子~中性

この時期、最初は女の子ぽかったのですが、10歳ごろより次第に中性的な性格に変化していきます。
性別違和も薄く、特に困ったことはありませんでした。
当時はたまごっちブーム。男女関係なく学校ではみんなたまごっちTシャツを着ていました。

第二次性徴前(11歳~14歳)→中性

この頃には、女の子というより、中性的キャラクターとして仕上がっていました。ギリギリ女子枠でいられた最後の時期でしたね。
もう完全に男女関係ないキャラでしたが、学校での成績はよく、スポーツ万能、学級委員もやっていたので、まったく困ることはありませんでした。人生の絶頂期。

第二次性徴後(15歳)→男子

思春期を迎えた頃、それはとても不可解でした。身体は女性なのに、なぜか女性の方に性分化しません。男っぽくなっていきました。最初に性別違和をはっきりと感じたのはここでした。
そして高校受験に失敗、絶頂期から一転、人生で初めての挫折です。

以降、性別不合が原因で困ったことが起きるようになりました。
困ったこと①:頭は男、身体は女というあべこべ状態なので、アイデンティティの形成が非常に困難でした。常に「自分の存在が妙な感じがする」という違和感まとわりついていました。
困ったこと②:男性ホルモン不足で、うつ状態に陥りやすい、身体が動かなくなる、虚弱体質が進む。
原因はいたってシンプルです。本来は男なのに、身体が女性になっていて睾丸がなく、自分の身体が必要としている量の男性ホルモンが生成できないから虚弱体質に陥ってしまうのです。また、無理に男の自分を保とうとすればするほど体内の男性ホルモンが足りなくなって身体が弱っていきました。

青年期(16~23歳)→男全盛期

この時期は全体的に男性ホルモン優勢ですが、短い期間だけ急に女の子っぽくなることもありました。
2008年の1年間は、男の自分女の自分が両方いるような感覚で毎日がとても楽しかったのを覚えています。
しかし22歳以降は徐々に男性の自分が弱くなっていきました。

社会人(24歳~28歳)→女性

自分が性別不合であり、頭と身体の性別があべこべだったことに気づかないまま女性として就職(笑)。この「気づかなかった」のが致命的で、ここから一気に男性ホルモン劣勢になってしまいました。
とにかく記憶が残らないし、新しいことが覚えられない。まったく調子が出ないです。本当に、記憶ほとんどないのに、どうやって生きてたんだ?ってレベルです。

ちなみに自分が性別不合(性同一性障害)なのに気づかないで、身体の性別のまま生きてたって人たまにいます。気づいたときは3人の子供を持つ父親になっていたとか、60代のおばあちゃんになっていたとか、昔はインターネットなかったし情報を得る術がなかったから仕方ないのですが……。
また、気づいたとしても、周囲からは心の性別とか、個性とか誤った認識を持たれてしまうので、今更言い出しにくかったりします。

社会人で性別不合に気づいた後(29歳~35歳)

「あっ、本来の性別女じゃなくて、男のほうなんだね、今までの人生って一体…」とは思いつつも、何も考えないようにして仕事に打ち込んでました(笑)
ホント、そういうことあることをもっと早く言ってくれ……。

気づいたばかりの頃は女性寄りでしたが、徐々に本来の性別の男性の方を思い出してきて、今は男性と女性半分ずつくらいです。
完全に男に戻れないは、女性として社会人デビューしてしまったのが大きいし、いまさら装いを変えて男に戻らなくてもいいかなと思っています。

あべこべ生まれはたいへんです……

振り返れば、性別に振り回されっぱなしの人生なのです。

身体の性別(女)は、本来の性別ではないので、無理に女性を演じようとすると調子が出ない、自分に自信が持てないといったことが多々ありました。
逆に本来の性別の男の方をやっているときは、自信満々で絶好調なのです。

私は身体の性別変えなくても生きられるのでそのへんはよかったと思うけど、思い返してみると、やっぱり大変なことはたくさんありました。
「心の性別が女だから、男なのに女子トイレ入ろうとしているんだね!」とか軽々しく言うもんじゃないというのが少しでも分かって貰えればいいかなと思います。

28歳の時「ゴメン、本当の性別女じゃなくて男だった」を食らった性別不合の当事者です。日常的に男女の性別使い分けを強いられそのまま根付いてしまった奇妙な人生。サポートや紹介していただけるメディアさんも募集しています。