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男と女、二つの性別を生きるのは大変だ③

武德です。
普段「自分は男女二つの性別で生きているんだ」って意識していない方が精神的には遥かに楽です。
でも、ふとこのことを忘れてしまうと困ったことも起きるので、今日はどういったときに困るのかについて少しお話したいと思います。


最初に簡単に説明

私は性別不合(性同一性障害)なので、本来の性別は男性なのに、身体は女性というおかしな状態で生まれました。首から上は男なのに下は女性なのです。

幼い頃から私は男性ながらも身体が女性のため、女性として育てられました。その結果、性質が女性に寄ってしまう部分も多く、男性の方の自分を維持することが極めて困難だったと思います。
その上、性別不合であることに気づかないまま、ずっと半男半女の状態で生きていたので、本来の男の方の自分、女の子の性質を持った自分の二つに別れてしまっています。

男性の自分、女性の自分。どちらも同じ自分のため、共通点や似ている部分もありますが、性格や考え方が異なる部分があり、片方が好んですることをもう片方は興味を示さないといったことも多々あります。

困ったことその① 女の子の私は基本的に勉強や仕事をしない

いちばん性格の違いがハッキリしているな(笑)と感じる部分です。
思い返せば、学校で勉強をするのも、会社で仕事をしているのも男の私がほとんどです。
勉強をしたい、仕事をしたいという闘争本能が男の私の方が強いので、意識していなくても男の方に切り替わっているような気がします。

思春期前の14歳くらいまでは、男の私と女の私一緒に勉強していた感覚があります。でも男性の自分が強く出るようになってからは勉強しているのは男の自分一人になってしまったなと思います。

男性の方の自分が弱くなって、女性の自分になってしまうと、「まったく勉強ができなくなる」または、「覚えているはずのことが出てこなくなる」と言ったことが多々ありました。今はそういうことが起きないようにホルモン注射をして男性の自分が弱くならないように対処しています。

少し考えたことといえば、男の私が働くの担当、女の子の私が遊ぶの担当のようになっていて、もはや自分がATMではないか?と思うときもありました。
でも、男性の肉体を持たない男の私より、女性の肉体を持つ女の子の私の方が「幸せを感じる力」が強いような気がします。(自分には男性器がないので女性を抱くとかも難しいですし……)
やはり「自分の身体が存在すること」は大きいのだなと思います。

困ったことその② 女の子の私の好きな漫画がほとんどない

私は身体が女性のため、女性として自己紹介する機会が度々あったのですが、これが非常に困ったものでした。
10歳くらいのときまでは、男の私と女の子の私が共存しているような状態だたのですが、15歳から20歳くらいまでは男の私が強く出ていました。
この頃は男性の自分が絶頂期だったので、青年誌漫画を好みたくさん漫画を読んでいました。
一方、女の子の自分は休眠状態だったので、男の私が好きな漫画を好んでいたわけではありません。女性として周囲に認識されているときに、好きなものを聞かれても、自分自身の経験をうまく答えられないというケースがとても多かったです。

しかし、最近は女の子の自分の特徴や好きなものは何なのかを整理できてきたので、全く答えられないということはなくなったと思います。

困ることもあれば、プラスのこともある

女の子の自分がいてくれて良かったなと思うことは、「自分が興味を示さないものに興味を持っている」と感じていることです。
男の自分一人だったら、手をつけないようなものを好み、その情報が自分の中に入ってくるので、その分自分の興味の幅が広がるような感覚があります。
今日はこのへんで。また思い出したら書いていきます。

28歳の時「ゴメン、本当の性別女じゃなくて男だった」を食らった性別不合の当事者です。日常的に男女の性別使い分けを強いられそのまま根付いてしまった奇妙な人生。サポートや紹介していただけるメディアさんも募集しています。