見出し画像

【死語現禁】280.愚妻

(日:愚+妻 ぐさい)自分の妻の謙称。(広辞苑第七版)

<用法>
「愚妻の作った物ですが、お口に合いますかどうかお味見ください」

<解説・思い出>
一昔前の男性が、配偶者を紹介する時に使っていた言葉です。
今でも使っている男性がいるのではないでしょうか?

男が自分を「愚」と表現して妻を立てている言葉だという人もいます。
しかし、上記広辞苑の「謙称」というのは、『相手に対してへりくだった言い方。「小生」「愚息」の類』(広辞苑第七版)という意味ですので、夫が勝手に自分の妻をへりくだって言う言葉のようです。

また僕は下記二点で、この言葉は現在性を失いつつあると考えています。

1.男性が妻を紹介するという前提にたっている
女性は結婚後は家にいて外には出ないという考え方が強かった頃、男が外で、主に男に妻を紹介する時に使われた言葉だと考えられます。妻が外に出て夫を紹介することが少なかったので「愚夫」という言葉は存在しないと考えられます。

2.文字通り「愚かな妻」の意味に受け取られる可能性が高い
僕もそうですが、多くの人が「愚妻」と言う男がいたら、
「自分の妻を自分より愚かと言っている」
ととらえるのではないでしょうか?
「愚妻」と言う男自身は、妻を愚かだと思っていなくても、聞いた相手はそうは取らない可能性が高いのです。

上記1と2の理由から、「愚妻」という言葉を使うのは、現在の世情に疎い「古い男」と思われても仕方ないと僕は考えます。

もし僕が「妻」の立場だったら、「愚妻」と紹介されるのは嬉しくありません。
心の中で
「ああん、どの口が言ってるんだ! 今時そんな言葉を使う『愚夫』のくせに!」
と考え、ICレコーダーかスマホで言質を取って、離婚調停を起こしてやります。

上記の通り、古い男達しか使わない言葉なので、もう滅びて行くしかない言葉だと思います。復活してほしいとも思われない言葉ではないでしょうか。

死語ランク:☆☆
☆☆・・・当時を知る人は知っていて、言った人に「古い人」という印象を持つレベル

#死語
#死語現禁
#愚妻
#僕の殿堂
https://bokunoden.com/
Twitter(
https://twitter.com/bokunodendou