もしも水平線に僕が立ったら


小学校低学年くらいまで、ずっと思っていたことがある。


空の青が薄まっていって、端の方からオレンジ色になって、そして太陽が海に沈む瞬間。あの瞬間、もしも水平線に僕が立ったら、太陽はどこに沈んでいくんだろう。

あの水平線に僕が立ったら、水平線はどこに見えるんだろう?足元?それとも水平線にたどり着くことなんて誰にもできなくて、気づけばまた、水平線はずっと遠くへ逃げてしまっているんだろうか。

僕は当時、自分の疑問を誰にも言わなかった。でも、もし大人に訊いていたらきっと笑われただろう。水平線には立てないんだよって。あそこに見えてる水平線のところまで行ったら、太陽はまだ空にあるよって。

それが当然だ。水平線に自分が立っているとき、太陽がどこに沈むのかなんて誰も考えない。だってそもそも水平線に立つことなんてできないんだから。

でも、僕は見てみたいなと思う。もしも太陽が沈むあの水平線上に僕が立ったら、太陽はどこに沈むんだろう?

足元にはオレンジに染まった海、頭上には一面の夕焼けが広がる世界で、太陽は一体どこに沈むんだろう?

最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。