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君が笑っていればそれでいいよ #夏の香りに思いを馳せて
xuさん× rira さんの企画「夏の香りに思いを馳せて」に参加させていただくことにしました。
開いてくださった皆様、ありがとうございます。
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君さえ笑っていればそれでいいよ。
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保育園の2月3日に何が起きるかは大体決まっている。鬼(の格好とお面をした大人)がやってきて棍棒を振り回し(もちろん子供たちには当たらないように)、先生たちの掛け声のもと豆を投げつけて「おにわそと!ふくわうち!」とやっているうちに福の神(の格好とお面をした大人)がやってきて鬼を追い払ってくれる。
仕組みは知っていた。だって毎年、福の神役の先生はわざとらしく「用事が入った」と言ってどこかへ行ってしまうんだから。
知ってても、怖いものは怖かった。
だから僕は朝からソワソワしながら、鬼が来たら一目散に逃げられるように構えているんだ。
角っこに集まるみんなの、より内側に内側に(おしくらまんじゅうの真ん中は絶対に鬼に攫われないから)。
なのに1人だけ、違ったことをする子がいるんだ。
彼はひとり鬼に向かっていって、逆に棍棒の先を掴んだ。そして棍棒ごと鬼をぐるぐる回して追い払おうとするんだ。新聞紙で作った剣で立ち向かうんだ。
そうやって毎年ひとりで戦っていた。
格好良かった。
逃げて隠れて、みんなの内側にいようとする僕とは大違いで。
彼は僕にとってのヒーローだった。今もその背中を忘れられないんだ。
中、高と学校が変わって接点も減っていって。時々地元で会っても、制服を着崩し勉強も真面目にしない、授業もさぼる、他にも色々、、しっかり問題児をやってたけれど。今はどこで何をしてるのかすら知らないけれど。
でもやっぱり、君は僕にとってのヒーローだった。
星たちが出会えるかなんて僕は正直どうでいい。
そりゃあ、誰かの飾った短冊が雨に濡れない方がいいけれど。
でも雨がふっても、風が吹いてもいいんだ。
7月7日が誕生日の、君さえ笑っていれば。
君さえ笑っていれば、それでいいんだよ。
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こうした企画に応募させていただくのは初めてです(一応、テーマは七夕、ジャンルはエッセイです)。企画してくださった方々、読んでくださった方々、ありがとうございます。
良い一日になりますように。
最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。