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2023/5/18時点。思考の軌跡。

僕は、大学で学びたかったことと同じことを、社会に出てからも続けていく方針を取ることにした。



私の好きなものは他にもある。私が大切にしたいものは他にもある。それでもこれを選んだのは、受験で例えるなら、ひとつはセンター試験の結果と同じことだ。
今の持ち点。内定の数とか内定をもらった企業という、僕の持ち点、選択肢。


ときどき、僕には決断力のようなものが欠落していると感じることがある。それは、テンションが低いから決められないということではなく(そういう日も実際あるけど)、なんというか、決意や覚悟がぼんやりしているんだ。
だからちょっと迷う。不安になる。これで後悔しないんだろうかと。

でも、事前に決めたルールや基準に照らして最も高水準かつ現実的であるのも事実で、その点数は何度見返しても変わらなそうに見える。だから、僕は選ぶ。



その迷いのせいか歯切れが悪いことを言ったので、「500円玉もってる?」と高校の先生が言って、面談中に500円玉を探しに数分待ちぼうけを食らったことがある。これコイントスだなあって分かってて、でも静かに待っていた高三の冬。
戻ってきた先生に、「表?裏?」と聞かれて適当にどちらか答えて、手を開いて結果を確認して。「で、どう思いましたか?」って。
少し笑ってしまった。

先生、大丈夫ですよ、私、それ普段からやってます。

あ、そうなんですか。じゃあ、これでいいんですね?後悔はしない?

つまり、仮に一度選んでみるということだ。どちらかを仮に選んでみて、やっぱりしっくりこないなら、いやでも、とか思ってしまうなら、もう一方が後悔しない選択ということだ。ホッとしたならこの選択のままでいいということだ。

今度こそ「はい、大丈夫です」とはっきり答えた。


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センターで〇〇%以下だった場合、第一志望を諦めるということで悔いはありませんか?
この企業で後悔しませんか?

全部同じことで、全部あんまり決断という意識がなかった。第一志望に受からないと人生負け、みたいな感覚が僕には乏しい。こうでなくちゃならないことはあんまりない。もちろんこだわりや夢だってあるけど、転がり落ちたって人は生きていける、必要最低限(と僕が思うだけの)日々の幸福や充実感は欲しいけど。



ただ、悔しいことがないことは、本当は悔しいことなのかもなって思う時もあるんだ。頑張っている人や、夢を追って目を輝かせている人なんかを見ると、格好いいなと思ってしまう。だから、その熱に感化されうる間は、それに感化されていたいと思った。だから、私は出版業界を受けることにしたし、挑戦してみるだけ、というよりはちゃんと真面目に(?)企業研究やらもした。


だけど、結局のところ大手2社しか受けなかった。本当はあと一社受けたかったけど、主張(いわゆる就活の軸や志望動機)が固まらなくて諦めた。

出版の就活(一般選考)はそこそこ早めの(卒業を一年後に控えた)2月から始まり、小さい企業ほど年度明けからの募集となる。小さな出版社だからといって聞き覚えがないかと言われると決してそうではないが、出版一筋で就活をするのは危険でもある。そもそも出版業界は倍率が凄まじいのに気が付いたら7月です、なんて笑えない。一般企業は四、五月、遅くても六、七月には大体採用数を確保してしまうので、出版を受けるのは基本三月までと思っていた。

誰もが知る大手出版社のうち、一社はES落ち。これは仕方がないと思った。求められていた人物像と、僕のアピールが合わなかったんだ。ESで落ちるっていうのはそういうことだと思う。
もう一社は、一次面接まで進んだ(ES→webテスト→一次面接)。この面接がめちゃくちゃ鍵だった。この先の選考に進む上での、ではなく僕の出版社就活において、だ。

そもそもは面接が初めてで志望動機が不明確だったのは大きい。でもそれ以上に、自分のニッチ性をどう売り込めばいいのかがわからなかった。



僕はBLを読むわけで、最近また読み始めたとは言えここ数年は小説から遠ざかっていたから、マンガの話がメインになる。マンガの、さらにBLの話は既にニッチなのに、実は僕はそれほどBLが好きではないという始末だ。

BLが好きなのに、BLが好きではない。
BLを読むけど、BLとして好きなわけではない。



だから、BL業界ど真ん中は受けるつもりがなかった。それを言語化できなかったし、言語化する必要があるというのを明確に認識できていなかったし、それを言語化してどうアピールするのかも難しかった。

結局落ちることが確定しているような面接の雰囲気で、こりゃダメだなあと思った。
そこから、考えるようになった。僕が出版業界を目指した背景は、言語化の得意な友人に話を聞いてもらったしそれほど悪くなかったと思う。でも、僕の、(世の中で言う)オタク(しかも"腐って"いる)なくせにオタク自覚はない、という不思議なスタンスは、どう活かせるのか。どう売り込めばいいのか。

ひとつ、問題点がある。実は出版業界が好むと言われる性格や属性として、「めちゃくちゃ好きなものに全力なオタク」もしくは「新しいものを追いかけ続けたい(広く浅い)ミーハー」というのがある。

…僕は流行には疎いので明らかに前者タイプだけど、僕の強み(就活ではよく聞く単語ですね)は推し活に人生を捧げるタイプというよりは物語を純粋に楽しむフラットなタイプだ。


じゃあ、そこをクリアしてうまく推したとしよう。


次に懸念として挙がったのが、結局僕は作るのも好きだということだ。


記憶に残っていること、印象的だったこと。。。他の業界のESには決して書かないようなことを訊かれるし書いていいし実際書くけれど、そこで最高に記憶に残っていることとして思いついたのが、noteに関連したことかあ。。作り手の話かあ、と思ってしまった。やっぱり僕は、作っていたいんじゃないか?自分の言葉で、誰かを掬っていたいんじゃないか?


もちろん、出版業界の中で誰かに貢献することはできると思う。でも多分、(少なくとも面接を受けた企業では)それが求められていなかった。なら、やはり作品への愛で全てが動いている世界なのかもしれない。僕の、この誰かに伝えたいという思いは、作り手側の声なのかもしれない。

結局、自己分析だとかいわれるところを考え直し始めて、これは就活に間に合わないと思ったところはあるかもしれない。転職も僕は必要だと思えばする気持ちはあるから、その時でもいい。今、そこがわからないまま受かる優しい倍率でもない。


そうでない業界に目を移すことにして、冒頭に戻る。

僕は、大学で学びたかったことと同じことを、今後も続けていく方針をとることにした。


分野とかそういうことではない。ただ、この目で見て自分なりの分析をしていたかった。

この先、世界はどうなっていくのか。


ただ、価値観の合わない人の中で暮らすのは大変だから、僕の価値観に合いそうなところを選んだ。


その中で、第一志望群の企業から内定をいただいた。だから就活が終わった、みたいな感覚。

ね、だらだら就活が終わっちゃった感じするよね。もちろん面接は緊張したし、それなりに不安になったりもした、面接では1人の役員の方になんか嫌われた気がしたけど、でも総合的な条件は悪くない。ふくりこーせーにめちゃくちゃ力を入れてるみたいだから、ブラック企業リストには載らないんじゃないかと思う。僕がふくりこーせーでとあるジャンルの休暇を申請する可能性は今のところまったく考えていないので他人事だけど、そのデータと相関性のある項目もあると思う。僕が周りからケッコンを急かされるというのだけは懸念だけど、理系職を志望しているのでそこはどうにか誤魔化せると思いたい。理系院卒女子は仕事一筋で愛想がないくらいの偏見は受け入れてもいい。愛想なんてクソ喰らえだ。


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ということです。過去の有料記事を一般に公開しようと思います。出版業界の就活というのを公開することで他人からの評価を気にしたくなかったこと、同じ就活生や企業が僕の就活のメモを自由に見られる状態にしたくなかったこと、などが理由で有料にしていました。

有料のうちに読んでくださった方、本当にありがとうございます。お金はまったく求めていませんと明記していたし、ためになる内容ではないとも書いていた上で、それでもその時の言葉を追ってくださったこと、とても嬉しかったです。

無料になるのを待っていてくださった方がいましたら、大変お待たせいたしました。特に誰かのためになる内容ではないと思いますが、この先シューカツというイベントに参加するかもしれない方、参加中の方、懐かしく思い起こした方、色々な方に読んでいただけたら嬉しいです。


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最後に

この先に待ち構えるシューカツが、ジュケンが、あるいは歩いているその道が、気持ち悪く思えてしまうこともあるかもしれません。

私は、もしかしたら、読んでくださっている方のそんな気持ち悪さに近い価値観を抱いているかもしれない、と思います。同時に、気持ち悪さを、飲み込んで無視して心を殺さなくても、僕らは生きていけることを証明したいと思っています。

人生初の職場には馴染めないかもしれないし、でもそれならそれでいいやと思っています。ひとつの会社に病むほどこだわるつもりはないし、そのくらいの緩さの方が気楽でいいと思っています。

そこで(先に読んでくださった方はご存知と思いますが)オタクという単語の登場です。




『オタクに恋は難しい』という作品を知っている方はいますか?

私はアニメで観たのですが、主人公の女の子はオタバレ(腐女子だと社内で知られてしまったこと)によって転職します。オタクの主人公は、仕事は推し活のための資金集めと割り切っている。。

私はそれでいいと思っているんです。資金集めの場で居心地が悪くなったらより環境の良い場に移るのは充分考えられる選択です。

受験も、シューカツも、手段であって目的ではない。

それは理想論に聞こえてしまうけれど、それでも、思考にひとつ客観的な指標(オタ恋の主人公で言えば仕事:推し活の活動費集めとか)があるのは袋小路に迷い込むのよりは随分楽な生き方だと思います。




気持ちの悪い大量生産ニンゲンになる必要はないし、大量生産ニンゲンなら成功するというものでもない。気持ち悪さを飲み込まなくても、フツウのふりをしなくても、僕らは僕らのままどこかで生きていけると思うのです。

(それでももし、普通の(?)シューカツが嫌ならwantedly (ウォンテッドリーインターン)とかのアプリやサイトでベンチャー企業の長期インターンに参加してみるとかはアリなのかもしれません、僕はあまり詳しくないけど。)




長くなってしまいましたが、僕なりのシューカツ関連のお話でした。またどこかで話題にすることがあるかもしれません。この記事を含めて、過去の有料記事をひとつのマガジンにしてみました。良ければ他の記事も覗いてみてください。

最後まで読んでくださりありがとうございます。


最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。