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【詩】いつかモノトーンの写真になって、流れていってしまうんだろう

                

手が届いたと思った瞬間
また遠くなる明日も 
流れていく日々にうずもれた今日も
いつか昨日になるんだろう
そうやって昨日の明日が 
今日になり替わる
その瞬間に新しい明日が現れる

昨日の僕は確かに僕だった
そして今日の僕のほんの一部が
いつからか白黒の
モノトーンの写真として残る
大人になった僕は
それを思い出と呼ぶんだろう
そのうち思い出さえも消えて
それにどうせ気が付きもしないんだ

遠く流れていった過去は
もう二度と取り戻せなかった
いつか過去を手放して 
僕の思いも全部
明日の僕が躊躇なく捨て去るんだろう

きっと忘れてしまうんだ
過去の自分が 
どんな人間だったかなんて
いつか笑って懐かしがるんだ
今日の僕のことなんて
そうやっていつか大人になるんだ
代わり映えのない明日が 
いつか大人の境目になって
それを不自然にも思わなくなる

そうやって
僕が大事にするもの全部
いつかモノトーンの写真になって
どこか手の届かない遠くへ
流れていってしまうんだろう




最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。