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愛想笑い

愛想笑い


何かを見つけたような気がして
僕は目を凝らした
そうすればそうするほど
また見失ってしまうのに

誰かの声が聞こえた気がして
僕は耳を澄ました
そうすればそうするほど
空耳だったように思えてくるのに

いつだって
手にしたそばからなくしてしまう
解りきった明日を描いた
僕自身を嘲笑うように
何度も何度も

軟らかな靴裏の感覚に戸惑って
それでも
必死に浮かんでいるしかない
このちっぽけな雲の上で
僕はどうやって立っているのか

空の飛び方も知らないのに
それでも
必死に浮かんでいるしかない
この遥か空の上まで
僕はどうやって歩いてきたのか

立ち止まっても
戻ることもできずに
僕はただ

いつ消えてしまうかも分からない
この頼りない雲の上で
愛想笑いを続けるしかない

***


必死に浮かんでいようとすることしかできない。
断崖から落ちることに怯えている。
夢でも見るような感覚に戸惑っている。
それでも
いつ消えてしまうかも分からない
頼りない雲の上で
ずっと薄っぺらに笑っている。


***


最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。