小説『輪郭』後書き

2023/2/11 19:28

後書きを同時に出すことにした。
本編から読んでも後書きから読んでも、どちらでも問題ありません。
こちらにネタバレはありませんが、作品の意図を先に知りたいということであれば、こちらを先にお読みください。

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最初に書き始めた、書こうと思った内容と、出来上がったものは少し違うかもしれないと感じている。鍵付き日記帳には書くのではなく、いつか創作にしてしまいたいと思っていたこと。それを、今日までの軌跡を小説の世界に混ぜ込んだ。これが僕ではないし、でもこれが僕であるとも思う。僕が投影された、とある世界線のお話だとでも思ってもらえばちょうどいいくらいなのかもしれない。
とても単調で盛り上がりには欠けるのだけど、直し方がよくわからないのでこれが今の僕の技術の限界ということだろう。でも、一度書いてみたのは良かったように思う。書き忘れていること、書き足りないこと、書きたしたいことが出来たときには、また別の作品として描いてみたい。

こうやってときどき、足をすくわれて転んでしまうこともある。
誰かのために書いたつもりはないから、理解しづらいところもあるだろうと思う。でも傷つく人はいなければいいなと願っている。

私の中途半端さを、バランスを取って同じ位置にい続けようとするその足場の不安定さを。
それを私は知っていて、それでも世の中の輪にも加わり切れもしないことが多い。僕は自分の平凡さを少しだけ恥じているのかもしれない。掲げた屁理屈は、波にさらわれて本来の場所に戻ってしまうのを防いでいるかのような。

物わかりの良いふりをして平凡さを隠した自分が、いつか欲をかいて痛い目を見るだろうと思っている。そのときには、私もどこかすっきり諦められるのだろうか。

それも全部、悲観のなせる技であるという予感すら、確信できないところがどうしようもない悲観を示しているような気もする。



最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。