遥哉

『僕が神じゃ悪い訳?』という異世界転移ものを、魔法のiランドと小説家になろうにて書いて…

遥哉

『僕が神じゃ悪い訳?』という異世界転移ものを、魔法のiランドと小説家になろうにて書いております。 更新は不定期で現在は加筆修正中です。

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    まじょみなのSSまとめです。ほんのり百合風味魔法少女もどき創作

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はじめに

小説家になろうと魔法のiランドで、『僕が神じゃ悪い訳?』というものをつらつらと書いております。ダウナー系主人公が幼馴染の勇者召喚に巻き込まれて、突然与えられたチート能力で無双したりしなかったりする物語です。 興味がわきましたら、下記リンクよりどうぞ。 ・小説家になろう→こちら ・魔法のiらんど→こちら noteでは自創作のSS置き場の予定ですが、ルビのタグなどもそのままなので閲覧する場合は文庫メーカーで画像化したものをまとめてあるpixivを推奨します。 ※SSは本編

    • 白い息吐く、いつもの道で――トワモモ

       風が吹けば飛ぶような、軽い雪が振り積もった朝が好き。  ひとつひとつが光を反射し煌めく雪の結晶。木の枝を真っ白に染める粉雪が、太陽に溶かされて、はらはらと軽やかに舞い落ちる。  澄んだ冷たい風が頬を撫で、照りつける日差しのあたたかさを肌で感じる。そんな冬の晴れ渡った朝が好きだった。  周囲の景色を見ていま感じたことを、なんとなく話題に出してみる。  隣を歩く男は、いまいちピンときていない顔で首を傾げた。 「や、わからんけど」 「もう、トワくんは情緒がないなぁ」  もこもこの

      • ちりょうの痕――ルシ奏

        「いた……」  朝起きたら、右耳がじんじんと痛んでいた。それが慣れないピアスのせいであることは明白で、奏夜は煩わしげに頭をかいた。  耳を触ると、ピアスホールの近くにしこりが出来てしまっているのが分かる。鏡で見て確認すれば、耳たぶの裏側が内出血みたいになっていた。顔をしかめて、ため息をつく。  今までピアスと縁がなかった奏夜には、対処法が検討もつかない。ピアスを外して治療をしたくても、自称神の謎の力によって強制的に取り付けられたそれは、彼女の意思で外すことは出来なかった。 「

        • 守護精霊の祝福──地・炎

          地精霊の祝福 探し物はここにあるのに、別の場所ばかりを探しているような気がしていた。    ──消滅。それは守護精霊にとって当然の摂理であり、定められた結末。一個体が足掻いたところで、それを覆すことなど出来るはずがない。そのはずだった。  しかし何の因果か、ワタシは辿り着いてしまった。  ワタシという個が存在し続けられる方法に。風とは違う。記憶を引き継ぐようなやり方ではなく、ワタシがワタシであり続けることが可能なやり方で。  世界を廻す歯車にすぎない矮小な存在が、運命を変える

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          初恋――桃

           さっき置いたばかりのスマホを、また手に取った。  トーク画面を開いて、数時間前に送信したメッセージを眺めてはため息をつく。既読はついているのに、返信がこない。  反応に困る内容だっただろうか。文面とにらめっこしてみても、自分では何が問題なのか分からなかった。  もう一度メッセージを送ってみようか、いやいや、しつこい女だと思われるのは嫌だ。葛藤しながら、アプリを閉じた。  イヤホンから彼が好きだと言っていた曲が流れてきて、二人過ごした思い出がよみがえる。車を走らせながら取り留

          初恋――桃

          普通じゃないいじめられっ子──奏夜

          ※この物語はフィクションです。  学校に行ったら、上履きにイタズラされていることはざらだった。  虫や画びょうが入れられているくらいならまだマシなほう。悪い時には隠されたり、油性ペンで落書きされてたりもする。探すのも洗うのも手間だからほどほどにして欲しい。  教室に向かう途中の廊下では足を引っかけられ、階段でもわざとぶつかられる。でも、それらは僕が転んで嗤われる程度で済むから楽だった。  気配を消して教室に入り、落書きで悲惨なことになっている自分の机に足を運ぶ。  黒や赤の

          普通じゃないいじめられっ子──奏夜

          ばち――奏夜

          「はぁあ!? 僕だってやろうと思えば女らしく振舞えるわボケ!」  と、啖呵を切ってしまったのは数分前の事。  伯父がキモオタ丸出しで、久しぶりに会った桜ばかりを褒めるものだから、売り言葉に買い言葉でつい口走ってしまった言葉だった。  丁度最近、クラスメイトに同じような罵倒をされたばかりだったから、伯父が冗談で言っているのは分かっていたけどついムキになってしまった。大反省。  そして面白がった伯父と桜に、今日は女らしく振舞うという約束をさせられて、現在進行形で桜が僕でも着られそ

          ばち――奏夜

          中三夏の肝試し――奏夜

          「肝試し?」 「そう。せっかくならクラス全員でやりたいから、椛さんも参加してほしいのだけれど」  昼休み、珍しく委員長が話しかけてきた。  受験勉強の息抜きにと、カースト上位の面々が肝試しを企画しているのは知っていた。なにせ大声で話していたから、教室にいるだけで聞こえてくる。  僕には関係のない話だと思っていたんだけど、クラス全員参加なんてことになってたのか。みんなどんだけ息抜きを欲してんだよ。  でも、肝試し、ねぇ。 「ごめん、誘ってくれるのはありがたいんだけど……」 「そ

          中三夏の肝試し――奏夜

          蓋をして――雅

          「雅様って呼ばせてください」  それが、彼女の初めての言葉だった。  入学式の日、あたしの後ろの席だった奏を初めて見た時、とても綺麗な女の子だと思った。  長くて真っ直ぐな黒髪は実に女の子らしい印象で、それでいて奏の纏う雰囲気は深海のように静かな穏やかさを湛えていた。  そう、あの時はそう感じたのだ。 「みーやーびーさーまー、またあたしの話を聞き流してたよね、今」 「ごめんなさい、奏。あなたの話は要領を得ないのよ、もっと文脈を考えて話して欲しいわ……」 「う、どうせ成績優秀

          蓋をして――雅

          紅い鬼の独白――赤鬼

           馬鹿みたい。本当に馬鹿みたい。生きたくても、生きれないひとがいるのに、自ら命を絶つなんて命を冒涜するのもいい加減にしてよ。  生きたかった者たちの想いを背負って生まれるのに、そんなこともスッキリ忘れて、何様のつもりなの。  死にたいと、そう望むのは構わない。そう思う事で生きる事が出来る時もあるだろう。  でも命を絶つことは赦されない。赦せない!  生きていられることがどれだけ幸せなのか忘れた奴らへ、罰を。  死ねて嬉しいのだと、笑顔で命を絶つ者たちを見ると本当に虫唾が走る。

          紅い鬼の独白――赤鬼

          死神の罰――フラーウム

           朝が来る。おかあさん、わたしのことが嫌いなのですか。 『大好きだったわ。あんたがあの人を私から奪うまではね』  髪を引っ張られる。憎しみを宿すおかあさんの瞳が、炎みたいに燃えていてきれい……なんて場違いな事を考えた。瞬間。じんわりと頬に痛みが広がって、ぶたれたのだと気付く。  ――痛い。  でも、これはおかあさんを傷つけたわたしが悪いの。そう、これは仕方ないこと。  だからわたしは、次々に振り下ろされる理不尽な痛みに耐え続けた。時には刃物で切り付けられることもあった、息が出

          死神の罰――フラーウム

          サブリエ――奏夜

           居間の大きな窓から差し込む眩い陽光が、じりじりと白い肌を焼く。じわりと滲む汗。生ぬるい風を起こす扇風機は、もはや意味をなしていなかった。  夏休みも終盤に差し掛かり、自堕落な生活が出来るのもあと数日。そんな中、真っ白な冊子を前に、黒髪の少女はテーブルに突っ伏して唸っていた。  冊子の表紙に書かれた『夏休みの宿題』という文字をチラリと見て、深く長いため息をつく。  そう、黒髪の少女――奏夜は夏休みの宿題がちっとも終わっていなかったのである。  カラン、と氷が溶けてはねる音。結

          サブリエ――奏夜

          プリエール――シトリー

           二階の出窓が定位置だった。そこで膝を抱え、ぼうっと外の景色を眺めている彼の姿を何度も見かけた。  その横顔にはいつも隠しきれない羨望と、悟りにも似た諦めが浮かぶ。  晴れの日も曇りの日も、雨や雪の日も、街ゆく人々を眺めるばかりの彼が、少しばかり憐れで。そういう情を感じ取る器官が己にもあるのかと驚いた。  悪魔であるオレが、憐れだなどと宣うのはおかしな話だが。  彼の周りは悪魔ばかりが跋扈している。誰より人との関わりを望んでいるくせに、人は苦手だからと言い聞かせるようにくちに

          プリエール――シトリー

          ひとつ屋根の下――律己

          「奏、専門学校の入学に合わせて椛せんせと同棲を始めるらしいわね」 「は?」  卒業式から一週間が経った晴れた日の昼下がり。奏が近所のコンビニに出かけているタイミングで訪ねてきた鬼頭から、衝撃の知らせを受けた。  奏が、椛先生と同棲? しかも、この春から!?  理解した途端、熱いなにかが皮膚の下を駆け巡り、目の裏が一瞬白に染まる。驚き、喜び、憤り、寂しさ、焦燥。さまざまな感情が脳内で入り交じって、思わず言葉に詰まった。  鬼頭の視線から逃れるように、意味もなく庭先の植木に目を向

          ひとつ屋根の下――律己

          天界にて――全能神

           全てが白で統一された空間に、一つの人影。  丹念に織り込まれた絹のように、床に折り重なる長い金糸の髪。同色の長い睫毛に縁取られた涼しげな水色の瞳は、何も映してはいなかった。ぼんやりと虚空を見つめたまま、微動だにしない。  心ここに在らずな様子で、ひたすら何も無い場所をその瞳に写し続ける。端麗な顔立ちも相まって、まるで精巧に造られた原寸大のドールのよう。瞬きさえもしないそれはあまりに無機質で、生きていることを微塵も感じさせなかった。  しかし、この世界が存在していることこそが

          天界にて――全能神

          おかしな召喚主――バエル

          大いなる王であるこの我を喚び出せる人間など存在するはずがない。 しかし、忌まわしい暴食の糞餓鬼に大半の力を奪われてしまった今となってはその限りではないのだと、初めての感覚を前に思い知らされていた。  我を喚び出すほどの欲深さ、どんな悪辣で傲慢な召喚主だろうと面を上げれば、まだあどけない顔立ちの童子がいた。我の姿を見て目を輝かせるその姿は、悪魔を召喚するような輩とは正反対に位置していて、己の目を疑う。 「わあ、貴方が悪魔さんですか?」  無邪気な顔で嬉しそうに手を合わせ微笑む。

          おかしな召喚主――バエル