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現役UBER配達員が考えている、この仕事の4つのリスクとその対策


 

僕は地方で自転車配達員として仕事をしています。

周囲の人に「Uber配達員やってる」と話すと、無邪気な興味から偏見までいろいろな反応が帰ってきます。
 仕事の楽しさや時給の話と同じくらい話題になるのがリスクのことです。「事故」「交通違反」「ブラック労働」「配達員への偏見」など、その人がニュースなどで見聞きしたことの実際を聞かれます。僕自身、2021年6月ごろに配達員になることを考え始めたころからそういったリスクに向き合って対策して、時には経験もしてきました。

 配達員はアルバイトでも会社員でもなく、個人事業主です。会社には最低賃金やリストラを阻止するなどの社会的役割がありません。色々な考えがあるけど、ぼくは大まかに言って、バイトや会社員のような保護をしてほしいとは考えていないです。リスクがあるからリターンがある。個人事業ってそういうものだと思っています。自分のことは自分で守るから、これからも働き方の自由度と高報酬を出してほしい!と思っています。

 現代のライフスタイルが続く限り、デリバリー需要自体が消えることはないと考えています。もし1社が撤退しても他のサービスが需要を取りに来るため、他社で配達員を続けられるのが現状です。需要自体はゆるぎないとしても、供給にはいろいろなリスクがあります。

 今回は現時点で自分が想定している配達員ならではの4つのリスクと、やっている対策を紹介します。

①事故

バイク、自転車など、自分の体が出たまま高速移動する仕事です。仕事上どうしてもリスクが高まります。そして労災の仕組みがありません。

・ゆっくり確実な運転をする。

簡単だけど難しいんです。歩合制のシステムが配達員を焦らせてしまいます。ただ、以前に月収100万円を達成したバイク配達員さんのインタビュー記事で、「稼ぐために意識するのは、速度じゃないんですよ。それをやっちゃうと事故のリスクも増えるし、免停になる可能性もあるし、いいことが全くない。」と話していました。https://tabi-labo.com/296235/ubereats-interviewゆっくり確実な運転。自分にも言い聞かせます。

・危険予知と危険回避技術を身につける。

一般人の何倍も長距離運転をする仕事なので、どんなに気を付けていて自転車に乗っていても経験するひやっとすることが、確率的には何倍も発生することになります。
僕は元々趣味でMTBをやっていて、急制動や障害物をよける技術、もしもの時に安全に転ぶ技術などをある程度身につけています。山でたくさん転んだおかげか、今のところ、擦り傷一つもなしで半年間、配達を続けられています。ひやっとしないような危険予知と何かあっても余裕もって危機回避ができると、仕事のストレスも減らせます。

・民間の事故保険に入る。

最後の砦、何かあった時を支えてくれます。Uberでは、受注から配達完了まではUberが保険をかけてくれています。でも、案件を待ちながら走っている状態での事故には適用されません。自転車なら自転車保険、バイクならバイク保険。

②一時的なサービス停止

・災害 地震・火山噴火など

 日本は地学的な災害大国。道路やライフラインや店舗の被災で災害時は数か月にわたるサービス停止がありえます。生活防衛資金の貯金で備えたり、被災していない稼働できる地域への移住ができるようにしておくことで備えられます。
 ただ、本当はそういう時こそデリバリーの需要が高い状態です。あっちであれが足りない、こっちではこれが足りない!もしあらゆる災害を潜り抜け配達できる人材やサービスになれるなら、ピンチは稼ぎ時に変わる!デスストランディングみたい(笑)
ちなみに自分はジムニーとMTBも持っていて、車中泊もできるようにしています。普段は遊びですが、いざというときは自分の命や収入や助けられる範囲の人を守れるようにしたいと思っています。

・会社のシステムやインターネット通信網のシステム障害


 2021年は出前館ではシステム障害が度々発生し、楽天モバイルやNTTドコモの通信障害もありました。Uberの配達員アプリもバグが多く、決して強いとは言えないように感じています。
 これまでは全て数時間で復旧していますが、もし数日、数週間続くとしたら?あとは万が一、サマーウオーズみたいにハッキングで世界中のインターネットが使えなくなったら?生活防衛資金の貯金や、インターネットに依存しない副収入が必要かもしれないと思っています。

③配達員の飽和で価格競争力が低下して報酬の低下につながる


 これはある程度、この仕事の宿命です。

・低収入でも楽しく生活できるようになっておくこと

支出を減らすことで生き残る戦略です。いろいろな意味で「小さく生きる」習慣を身につけておこうと思っています。ほとんどの人の最大の支出は住居費だと思います。今が高収入で、ある程度の貯金があるなら、土地と家を買って家賃の負担から逃れてしまうのも生存戦略かもしれないです。他の人ができないような低収入で豊かな生活が実現できるなら、配達員の仕事がある限り生きていけます。

・新しい仕事へのアンテナを張り続けること

収入を維持、または増やして生き残る戦略です。これは本当に人それぞれ。フードデリバリーは副業がしやすい仕事なので、今は多少収入が減っても将来のために、勉強や副業をするのも大事だと思います。

④将来、仕事がロボットに置き換わっていくかも?

これは僕の妄想です(笑) まだ先の未来ですが、フードデリバリーは
今の形→遠隔操作ロボットと人間のパイロット→自動ロボット
そんな風に進化していくのではと予想しています。おじいちゃんになるまで配達できるようなイメージは持ってないです。

ーおわりにー

 フードデリバリーはシンプルな仕事ですが、個人事業主としてやっていくにはリスクとリターンのバランスを考えながら自己責任で行動することが必要だと思っています。将来ありえるこういったリスクに備えることは仕事の一部です。
 そうはいっても社会的、経済的に弱い立場に置かれている配達員も多くいて、万全な対策ができない人もいると思います。資本主義は素晴らしい面がある一方で、宿命的に格差社会を作ります。

何かあった時、たくさんの元配達員が路頭に迷い、一人一人の不安が社会全体の不安になっていくような状況を避けるためには、企業や政府、僕たちの一人一人にもできることがあると思います。

 僕はこの仕事が好きです。だから未来のために自分にできることを考えていきます。