(チラ裏レビュー) 聲の形 (漫画 2013〜2014年)(全7巻)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:聲の形 (漫画 2013〜2014年)(全7巻)
評価:★4(★★★★☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B0787BX2SB

 【概要 (Wikipediaより)】 『聲の形』(こえのかたち、英題:A Silent Voice)は、大今良時による日本の漫画。オリジナル版(読み切り)が『別冊少年マガジン』2011年2月号に、リメイク版(読み切り)が『週刊少年マガジン』2013年12号に掲載された。連載版は『週刊少年マガジン』にて2013年36・37合併号から2014年51号まで連載された。連載版を収録した単行本は全7巻。 2015年版『このマンガがすごい!』オトコ編で第1位、「マンガ大賞2015」で第3位を獲得した。第19回手塚治虫文化賞新生賞受賞作。 全日本ろうあ連盟監修のもと道徳教材化され2015年に30分の実写DVD化された。2016年には劇場版アニメーションが制作された。

【あらすじ(Wikipediaより)】 聴覚の障害によっていじめを受けるようになった少女・硝子と、彼女のいじめの中心人物となったのが原因で周囲に切り捨てられ孤独になっていく少年・将也の2人の触れ合いを中心に展開し、人間の持つ孤独や絶望、純愛や友情などが描かれる。物語は2人の小学校時代における出会いの回想から始まることになる。舞台となる地名は架空のものが用いられるが、作中に描かれる風景は主に岐阜県大垣市をモデルとしている

約10年前の話題作を2024年になって初めて読んだ。とても面白かった。

この作品は少年誌連載とは思えないほどクセが強くて、登場人物の行動が読者の予想を完全に超えてくるところが面白い。

(以下ネタバレあり)

・西宮硝子:自分の聴覚障害のせいでいじめられたとき、悲しみとか怒りの感情ではなく「(みんなの和を乱して)ごめんなさい」という感情を抱く/(植野に宛てた手紙)「私のせいで石を投げられてしまう妹のためにみんなと同じようになりたくて普通の子達と一緒にいたかった。でも同時にクラスのみんなに迷惑がかかってしまった。二つの気持ちの間で葛藤するうちに作り笑いを続けることに精一杯になってしまった」

・硝子の母:「あなたも耳が悪いの?あなたの意見は聞いていない!硝子の意見もです!大事なのは娘がいじめられないこと!!」/「下品な顔、親子そっくりね」/高校生になって硝子に会いにきて謝罪した将也に無言ビンタ。/硝子を探してくれた将也に傘を貸すが「あのね、あなたがどれだけあがこうと幸せだったはずの硝子の小学生時代は戻ってこないから」/(硝子の祖母の葬式で)「石田君。結絃と仲良くしてくれてありがとう」

・植野 直花(うえの なおか):「私は手話より書く方がラクなんですけど」/「きったねェ手で触んじゃねェッよッ!!チビデブが色気づきやがって!!誰がてめーなんか好きになるかよ!!」/「無理!私西宮さん嫌いだし!」/「それって友達ごっこだよね」/(将也に「嫌い」と言われて)「えへへ、じゃーね、ハゲ」→(うるせーブス)→「ハゲハゲハゲハゲ」→(ブスブスブスブス)→「またね(ニコ)」/「つか佐原さァ、相変わらずダセー服着てくんなよ」/「死にたくなるってマジで言ったの?そーゆーのキモいからやめとけ?石田の分際でナヨってんじゃねーよ」/(観覧車のゴンドラで硝子に対峙して)「あのね、私はあんたのことが嫌い」「小学生のとき、私はあなたについて全然理解が足りなかった、でもあなたも私のこと理解しなかった」「私はあなたに攻撃した。そしてあなたもやり返した、大人たちを使って。その結果石田は友達を失ったし私もたくさん傷ついた。これっておあいこだと思わない?」/(硝子の自殺を止めるために将也が身代わりに意識不明となり、硝子に対して)「悲劇のヒロインやるなら自分の尻拭ってからにしろよ!この害悪!(殴る)」「こいつはみんなの気持ちを知りもせず、勝手にそれが一番いいって判断して飛び降りやがったんだ!とんだ思い上がり!この性悪女!(髪の毛を掴んで往復ビンタ)」

・川井:「女子は基本的にみんな石田君の言動は良くないと思ってました。男子は知らないけど」「ヒドいよ石田君…学級長の私がそんなことするはずないのに…」/「小学校の時ねっ実は私が前の席だったのっ。だから毎日いろんなことを教えてあげたりしたの。すごく新鮮な体験だったなぁ」/(高校時、教室で大声で)「石田君はね昔いじめの主犯だったの。西宮さんに暴力ふるって転校させたの…それを黙ってろって今脅してきたの…!本人は更生したつもりでいるけど嘘…!本性は変わってない…!!」「私はずっとやめよって言ってたのに!ずっとずっと…でも石田君が聞かなかったんじゃん!」「お願いだから記憶を捏造しないで…真実を見て…!」/(けんかを止めようとした永束に向かって)「キャッ汚い!触らないで!」/「真柴君、実は私ね…いじめられてるの」/(将也の意識が戻るまでに映画を作ろうという硝子に対してビンタをして抱きしめる)「今そんなことしてる場合じゃないでしょ!みんな心配してたんだよ!苦しんでるのはあなただけじゃないんだよ?みんな苦しい!苦しんでるの!それが命なの!でもその命はいちばん大事なんだよ…」/「石田君これ…これね千羽鶴…本当はね千羽…集めたかったんだけど…集まらなくて…声かけたんだけど半分も…集まらなくて(泣)」

・真柴:(小6のときのいじめを暴露されて植野・川井・佐原も含めてケンカになり落ち込む将也が「前、殴りたいって言ってただろ?やりたきゃやれよ…」と言ったのに対して)「え、いいの?」と言って嬉しそうな顔で思い切り殴る/(将也が意識回復してから初めて登校し、トイレに逃げ込んだとき)「石田君、僕の顔なら見れる?僕には暴言言ってない。あの時は殴ってごめんね。許せなかったら殴り返してもいいんだよ、僕は受け入れる」

・永束:このキャラだけは他のキャラと異なり作劇上の都合で存在していて、リアリティを完全に放棄したスーパーキャラ。植野にも川井にも面と向かって「キモい」と言われても折れないメンタル激つよ男。数万円の現金をパッと出せる謎の財力。素人を集めて監督として映画製作をリードできる調整力もある。

・小学校の担任:「何が起きても全て自己責任だからな。俺が言いたいのは俺に恥をかかせるなということだけだ」/「ッオイ石田ァ!!お前だろっ立てよオラアァア!!」/(真柴に水をかけられて)「石田、撮影は許可しない。さすがお前の友達だな。どうしようもない愚か者だ」

・刃ヶ谷とかいう映画評論家:高校生が作った映画を酷評(笑)。なんなのこいつ(笑)。

最終巻で将也の意識が回復したとき、将也と硝子の二人ともが運命に導かれるように真夜中の橋に行き、邂逅するシーン。こんなにもロマンチックなシチュエーションなのに抱きしめ合わないのかよ!と思った。抱きしめ合うかわりに将也の反省の弁がまた始まるのだが、しかもこの内容がまだズレてる笑。将也「お前のわからない所を自分で都合よく解釈してさ。そんな俺が招いたのが君を…あのマンションから…」違うと思う。硝子は将也が自分自身のことも顧みずにただ尽くしてくれることを負担に感じてマンションから飛んだんだ。将也「もっとみんなと一緒にいたい。それを手伝って欲しい。君に。生きるのを手伝って欲しい」これはいいけど、抱きしめ合えよ。甘酸っぱいなあ。

将也の意識が回復してからの初登校のエピソード。将也「みんなで文化祭見てまわりたい」「ぜんぶ見る、ぜんぶ聞く」ここに来てやっとクラスメイトの顔からバツ印が外れる。ほとんどのクラスメイトは将也に対して特に悪印象を持っていなかったというオチなのだが、「よく学校来れるよなぁ」という冷たい反応も描かれている。本作の顔のバツ印はエヴァンゲリオンのATフィールドであり、両作品は同じテーマを描いているが、あくまで抽象描写に逃げたエヴァに対して、本作ではエヴァの「おめでとう」エンドの向こう側が見えてくる。顔のバツ印が外れたら、それは物語の終わりではなくてむしろ始まりだ。将也が意識不明にまでなって戻ってきても、みんなはそれほど変わったわけでもないし(特に川井ちゃん笑)、ここから友達や世間との適切な距離感を調整しながら自分の人生を歩んでいかなくてはならない。

実際、東京の理容師の元で働きながら資格を取ろうと考えている硝子に将也は「だめだよ東京なんか!」と束縛しようとして、早速距離感を間違えてる笑。

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