(18)MCN(粘液性嚢胞腫瘍)画像スペシャル

まずは余談から。昔の歯医者さんって、いまと違ってレントゲン写真がデジタルではなくて、ちゃんと1枚ずつフィルムになっていて、ライトテーブルみたいなのに貼りつけて見ていたじゃないですか。これも自分の写真といえば自分の写真、一種のポートレイトだなあと思って、治療が終わったらもらえないか聞いてみたことがあるんです。部屋に飾ろうかと思って…。そうしたら、そんなこと言い出す患者は珍しかったのか、かなり慌てながらも、保険の管理のためとか何とか、断られてしまいました。いまなら、事前に許可をいただければ、スマホで撮らせてもらうこともできるのかな。

なので今回の腫瘍も、どんなものなのか自分で見てみたい、できることなら記念に持って帰りたいという気持ちがあって、先生にどのタイミングで言い出そうか作戦を練っていたくらいでした。

結論から言うと、持って帰ることはできませんでした。病理診断といって、とった腫瘍はいくつもの断片にスライスして癌がないか検査しなければなりませんでした。(結石の場合は、出た石は記念に持ち帰れるのですよね。不謹慎ながら少し羨ましい)

実物を見てみたいというのも、手術中は麻酔が効いていますし、術後もベッドでぐったりしていて、それどころではなかった。

しかし! 夫に写真を撮っておいてもらうという手があった!

手術のとき、麻酔から目が覚めたらすぐ夫が枕元に来て、朦朧としながらタイミングいいなあと妙に感心していたのですが(実際は、手術が終わる頃を見計らって近くにいて、私の意識が戻るまで待機していた)、夫が間髪入れず「写真、見る?」と腫瘍の写真を見せようとスマホを取り出しました。彼としては、大きなミッションを託されていたわけですから、ちゃんと撮ったよ!と報告したかったのでしょう。私としては正直ちょっといまそれどころじゃないかもと思いながら、まあやっぱり見たいものは見たい。頑張ってスマホの画面に目を向けます。そうしたら、なんというか、術後の半分死んでるみたいな意識が、一瞬うわって覚醒した、それくらいのインパクトのある写真が撮れていました。

手術前は、サイズ的に「おまんじゅう」をイメージしていたのですが、そんなほのぼのとした、柔らかいたたずまいではないのです。

ぷりっぷりの、どす黒い、女性の握りこぶしくらいの、ソフトボールみたいな、まあるいブツが、蛍光灯に照らされて煌々と輝いていました。すんごいハリがあって、針でつついたらパーンとはじけそうな、中から禍々しいものがはじけ出てきそうな、そんな顔つきでした。

そう、お医者さんってこういう腫瘍に対して「顔つき」という言葉を使うんですよね。正常だったはずの細胞が、何かのきっかけで異常に発達してしまう。その顔つきが悪く変わって、癌になったり、今回の私のような大きすぎる腫瘍になってしまう。

自分の身体の一部が、いつのまにか自分にとって異質な、自分の身をおびやかすものに変質してしまう。この腫瘍も私自身の一部なのだろうか、と考えたりもしたけれど、顔つきが変わった時点で、切り取ったほうがいいわけです。

長々とした前置きで、もったいつけているようですみません。ではそろそろ写真を載せましょう。そこそこの衝撃グロ画像だと思うので、見るつもりのないかたが間違えてご覧になってしまうことのないように、今回は有料設定にさせていただきました。すみません。


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