(6)入院初日。手術前日は意外と忙しい

コロナ対策で「なるべく病院に来る人数は少なく」と言われているのもあり、一人で大きなスーツケースをがらがら引いて入院する。

総合受付で書類提出

入院フロア受付で書類提出

レンタル品申込み手続き パジャマ、タオル、アメニティセット購入、おむつ購入があり、私は最低限のおむつ購入のみ。

院内オリエンテーション シャワー室、テレビカードの自販機の場所を教えてもらい、自分のベッドに案内してもらう。これから採血があるからパジャマに着替えてくださいと言われる。着替えて、荷解き。スーツケースを開けて、中身をロッカーやベッドまわりに片付けていく。手術直後の自分が想像つかないのだけど、つかないなりに、すぐ使いそうなものを手が届きやすいところにセットしてみる。結局、手術後はHCU→個室でこの部屋には戻ってこなかったので無駄だったのだけれど。

採血

昼食

私は腫瘍がある以外は他に症状がなかったので、手術前日でも入院患者という自覚がまだ全然なくて、なんで昼間からパジャマでいなきゃならないの?という違和感がすごかった。いま思えば、これから手術という現実を受け入れるのが怖くて直視できなかったのかもしれない。昼食後は夕方の検温まで何も予定がないように言われたので、真に受けた私はまた洋服に着替えて病院の外に散歩に出かけた。本屋さんで立ち読みして時間をつぶして、コンビニでおやつでも買って食べようという算段だった。

入院受付のときに初めて、術後は1週間絶食と聞かされて驚く。説明の途中にも何度か「○○さんは大きな手術なので」という断りが入る。そういえば膵臓の手術は難しいのだった。MCNは悪性リスクがあり、私の腫瘍サイズ12cmは平均よりも大きいほうで、大きければ大きいほどリスクも高い。何ヶ月も前からわかっていた手術がいよいよ明日に迫ってきて、急に「怖い」という感情がいままでにない勢いで爆発しそうになる。

病院の外に出る。本屋さんに行く。でもどこにいても、膝が震えて、背中がぞくぞくする。これは非常事態。話す内容も思いつかないままに夫に電話をかける。コロナで小学校がまだ半日だけの時期で、子供たちも電話口にいるのだけれど、強がる余裕はなく、涙声のまま話し始める。絶食のこと、手術が思っていたより大きいということを告げると、涙がどんどん出てくる。命綱みたいな気持ちでスマホを握って、少し話して、電話を切る。涙が止まったら、怖さはちょっと落ち着いていた。

そのあとの私の行動がひどい。あーあ明日から1週間絶食か!だったら好きなもん飲んで食べてやれ!と、コンビニでじっくり品定め。レモンハイと黒胡椒のサラダチキンを買って、ベンチでおやつタイム。入院患者は手首に名前とバーコードのついたリストバンドをつけられるのだが、そのリストバンドを眺めながら飲むレモンハイはめちゃくちゃ美味しかった。

涙流して酒飲んですっきりした顔でベッドに戻ってきたら、立て続けに来訪が。きっと「あの患者はどこに行ったんだ?」「戻ってきたぞ!」ってなってたのだと思う。だったら前もって教えてよ! 夕方まで予定ないって言ってたじゃん!

看護師さん おへそのゴマの掃除

薬剤師さん 挨拶と投薬計画の説明

理学療法士さん 挨拶とリハビリの予告。ここまで来る人、来る人、優しい言葉をかけてくるので、また堰を切るように泣いてしまう。でも他人の前で泣くのってカタルシス倍増する気がする……。また落ち着いてしまった

麻酔科の先生 挨拶と麻酔の説明。帰り際に「今夜眠れなくても明日眠れますから!」とニヤリ麻酔科ジョークをかまして去っていった

検温・血圧・血糖値 手術後も朝晩測る定番セット

シャワー 遅め希望だったがシャワー室が17時までなので16:30に入った

夕食

21時就寝。担当の看護師さんが感じのいい人で、眠れるようにお薬出しておきましょうねとソルデビム5mgを1錠渡してくださる。普段からあまり寝つきがよくないので、これは非常に助かった。

入院前は、前日入院って何をするんだろう?暇なんだろうなと思っていたけど、終わってみると案外忙しく(とくに気持ちのジェットコースター乱高下に振り回されて)、これも必要なプロセスだったのだなと納得。

いままで他の回ではあまり個人的な話はせずに、病気に関することだけ淡々と書くようにしていましたが、今回はちょっと当日の気持ちの動きが多くなってしまいました。次回は手術の日について書く予定です。【→手術の前に、日常生活で腫瘍が破裂しないように気を付けて!という話になりました】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?