(1)腫瘍発見~最初の病院探し

お風呂上がりに自分の下っ腹をながめて「ああこれが中年太りか」としみじみしていたら、ふと左側だけ多めに出ていることに気がつく。さわってみると「何かある」。

これがいつだったか、2020年1月にはもうわかっていたと思う。いま思うと不思議なのだけれど、この時点ではあまり心配していなかった。痛みなどの症状がなかったからか。しかしまあ、これだけあからさまに何か出っぱっているのだから一応病院に行っておこうと、仕事の区切りがついた2月某日に病院に行くことにした。

これは外科か消化器内科かと迷いながら、近所の病院をネットで探し、クチコミと立地で絞り込む。自転車で病院へ。新型コロナが流行り始めていた時期で、マスクをしないと院内には入れないようになっていた。念のためマスクを持って行ったのでスムーズに受付できた。

外科の触診で「確かに何かあるね」と、さっそくCTによる画像検査に回される。造影剤を点滴で入れると、身体の中がカッと熱くなる。画像診断の先生がいらしたのも幸いして、その日の午後にはCTに基づいた診断報告書をいただくことができた。

「膵臓に腫瘍があります。まだ病名は確定できませんが、この大きさだと手術でとることになるでしょう。膵臓の手術って、うちでもできなくはないけど、あんまりやっていないんです。膵臓に強い病院を探してきてください。そうしたら紹介状を出しますから」

さっきまで原因不明だったお腹のぽっこりが、膵臓にできた腫瘍だとわかると、途端に病人の自覚が芽生えてくる。急におそろしくなってきた。えっ、紹介状って、どの病院に紹介してもらうのか自分で探すんですか。素人が膵臓に強い病院ってどうやって探したらいいんですか。

「膵臓の手術の件数が多いところですね。ただ都内のがんセンターなんかだと、全国から患者さんが集まるから。診察があっという間って思うかもしれないけど、患者さんが多すぎて、そうしないとさばききれないという面もあるので、あんまり先生を悪く思わないでね」

急いだほうがいいのでしょうか。

「放っておいて破裂したら腹膜炎になりますからね。まあ若いから死ぬことぁないだろうけど……」

ひいー!

というわけで、正体不明のぽっこりが朝イチに病院に行ってその日の14時にはだいたい判明。なかなかのスピード感でした。次回は、膵臓について何も知らない、病院関係に何のツテもないド素人がどうやって「膵臓に強い病院」を探せたのか、まとめたいと思います。

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