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半透明な線と僕|1-4|BOKU

「法律はないです。常識は通じないです。もう一回言うよ。常識は通じないです。そして最後です。地上一階に出ません。そしたら・・・死刑です」

「死刑」という言葉の後にざわめきが広がる。僕はきっととんでもない場所にいる。そう思わざるにはいられなかった。

「だいたい言いたいことはわかった。だけど一番重要なことがあいまいすぎる。どうやったら地下十階から地上一階に出られるんだ?」誰かが僕の知りたいことを代弁してくれた。
「私は面白いことが何よりも好きなのですよー。だから全部教えちゃうのはなんかいやなんですよねー。自分で情報収集してくださーい。では、そろそろ夜ご飯の時間ですから僕は行きますね」
 

 地獄から天国へ瞬間移動したかのように真っ暗だった場所にいきなり電気がついた。あまりのまぶしさに目がくらんだが、徐々に光になれていくのがわかる。僕は一度目をつぶってまた開けた。結局知りたいことは知れず、十日後に命の保証がないということだけが僕の頭を駆け巡る。

 ここが刑務所であるのなら僕たちは囚人なのだろう。囚人たちはぞろぞろと立ち上がるが、僕は立ち上がりたくなかった。僕が囚人である理由だけでも教えてほしい。そうじゃないと心の準備さえできない。だけど無情にもどこからか聞こえてくる。

「はい始まりー」

#小説

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