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TVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」~赤いタヌキと白のキツネが愛おしい~

2022年秋アニメの「機動戦士ガンダム 水星の魔女」が面白いという話です。以下、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の第4話までのネタバレを含みますので、内容を知りたくない方は回れ右をしていただければと思います。

最新話のネタバレを含んでいない理由は、「アニメはニコニコ動画で木曜日の夜に見る」というマイルールにより最新回からざっくり1週間程度遅れているからと、私の筆が遅いからです。最新回を既に視聴している人が読むと今更感があるかもしれませんし、それはそれで面白いかもしれません。


機動戦士ガンダムシリーズのTVアニメとしては、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」が完走してから約5年ぶりだそうです。5年ぶり!? 名台詞「止まるんじゃねぇぞ……」が5年前!? 衝撃のあまり「鉄血のオルフェンズ」トークを始めそうですがグッと我慢して「水星の魔女」の話をします。

これまでのシリーズとは異なるファン層の獲得を目指しているそうで、漢と鉄と血のにおいが漂う「鉄血のオルフェンズ」とは打って変わって「水星の魔女」はシリーズ初となる女性主人公を立てています。彼女の名はスレッタ・マーキュリー。もうひとりの主人公と言えそうなミオリネ・レンブランも女性であり、このふたりが学園で決められた決闘により婚約関係になる第1話の引きは、界隈で話題になりました。

第4話まで見て私が感じた作品のコンセプトは「親ガチャを乗り越えろ」です。この学園では地位も名声も親や会社など本人ではどうにもできない外的要因により支配されているように思えます。そして与えられた地位が高いなら高いなりに、低いなら低いなりに、それぞれの立場で苦悩する子供たちが描かれています。ミオリネの父親は独裁気質のある学園理事長。スレッタの母親は仮面を被ったワケあり社長。実はスレッタ父の命を奪い、家族の運命を変えた切っ掛けを作った張本人がミオリネ父であり、スレッタ母は明確な復讐の意図をもってスレッタを学園に編入させ、ミオリネに接触させています。当のスレッタは幼少の記憶もないようですし、母親の意図も知らないようです。地獄だ。ここに地獄があるぞ。

地獄の片鱗が垣間見える公式サイトの小説、おススメです。

そんな約束された地獄が待っていることも知らず、今は赤髪で人見知りのスレッタと白髪でお嬢様なミオリネが反発しながら徐々に親睦を深めているフェーズです。スレッタの造形がいいんですよね。彼女を動物に例えるならと問えば十中八九「タヌキ」と返ってくるでしょう。素晴らしきタヌキ顔女子。おどおどとした話し方も相まってとても可愛い。一方、ミオリネはその対比でキツネにされることが多いようです。対極な性格のようで共通して根っこには芯の強さを持っているこの二人の距離感が微笑ましいこと微笑ましいこと。いつまでも見ていられます。いつまで見られるのかなぁ、このガンダムにしては比較的ほのぼのした学園生活は。

誰かが描いたイメージじゃなくて
誰かが選んだステージじゃなくて
僕たちが作っていくストーリー

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」
OP主題歌 YOASOBI「祝福」より

先の小説を原作としたOPの歌詞が刺さり過ぎる、彼女たちが親から自立するだろう物語。先行きが楽しみです。

余談
スレッタを演じる市ノ瀬加那さんの演技がめちゃくちゃ好きです。スレッタの魅力を何倍も引き上げてくれていると思います。彼女を知ったのは「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のイチゴ役でした。当時だいぶ取り乱しながら「キャスティングが秀逸だと思う。市ノ瀬加那さん。経歴が浅くてまだまだこれからの方と思われるけどそれゆえに演技にいい意味で素人らしさが残ってる。それが普通の女の子感を引き出してくれてる。」と語っています。スレッタも常軌を逸した天才パイロットではなさそうで、下地にある普通の女の子感がいい味に繋がっているんだろうなと思います。初めて主演を務められた「Fairy gone フェアリーゴーン」も好きでした。 面白さのわりに世間的にはあまり跳ねなかったけど。

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