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ルカ

 オカカと呼ばれていた子猫が家に来てから、二ヶ月たった。

 今はルカと言う名前で、アトリエの中を縦横無尽に走り回っている。

 3月20日に大分の郊外になる大学寮で生まれたので、もうすぐ5ヶ月。
寮内に出入りをしていた母猫が産んだ子猫達を学生達が面倒を見ていたが、保健所に引き渡さなければならなくなる。そこで5月末に学生の母親が大阪まで子猫達を連れ帰った。長旅にもかかわらず、四匹の子猫達は元気だった。

 昨年急性腎炎で10歳の飼い猫があっという間に亡くなった。
赤茶の弟猫が一匹残ってくれたので、少しは気持ちが和らいだが喪失感はいなめなかった。その前にも黒猫が22年間一緒だったので、家の中で黒猫がいつも視界のどこかに入る生活が当たり前になっていた。

 黒い毛並みに頭を埋めてうたた寝をすると、嫌な思いを漆黒の美しさが全て吸い取ってくれていた。不思議と黒猫は眠りを見守り、安らぎを与えてくれる。電気を消しても眩しい都会の中にあって、静かな黒の世界がそこにある。

 4月ごろ、保護猫の壌渡会に足を運んでみたが、年齢のことなど細かい条件が合わず、自信をなくし諦めかけていた。壌渡会は年配の人間にとっては辛い場所でもあることを知る。そんな時に友人から、黒い子猫の里親を探していると連絡があった。まだ生後一月半で手の中に収まるくらいの子猫だった。大きく気持ちは揺れが、亡くなったあの子の代わりを探しているようで、躊躇し結局諦めた。

 その後、子猫のことを毎日思い描く落ち着かない日々が続く。
そんな時に大分から運ばれた子猫達の話が入ってきた。保護活動をされているが、比較的優しい方だったのでやりとりもしやすかった。年齢のことは重要なので、一人後継を見つけておけば譲ってもらうことができた。

 黒猫のお母さんから生まれたのは、ハチワレ、ベージュ、三毛が二匹の子猫達。その中で、貰い手が一番決まらなかった子が三毛のルカだった。
私は、どの子でも良いと思うようになっていた。どの子も可愛くなるものだから。三毛猫に憧れて探していたこともあり、猫を選んで飼ったことがないので縁のものだから、今やってきてくれたのかと。

 黒猫の弟くんと大きさの違うことこの上なく、子猫の世間知らずな行動に辟易しながらも、時々挨拶を交わしている二匹を見ていると、冬の寒い季節には、仲良くなってくれそうな気がする。

Mac bookを開くと、液晶画面の縁をガシガシ噛むのはやめてほしい!

かなり野性味のある女の子ルカ。


©️松井智惠            2023年8月11日


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