ありふれ、あふれ

私たちは忘れていた
あらゆるものが静止を知らず
瀑布の下で待っている穏やかな
<警告>
己にまっすぐであること、それは
みずからを曲げないことではない

私たちのふざけた手
切り分けても
切り分けても
なくなることがない
<責任>
「夜には冷たい礎を抱え、朝がくればまた迎え入れればいいのです」
——ああ、みじかい紐になりたい

どんな感銘もあたえないで
うみの蓋をあける
折々を占有しているものたちが
あたらしさを斥けるさまは
ほどほどの滑稽さで
水辺の光を終わらせてゆく
口にするに値しないうたが
ひとつ、またひとつと

「原初に私は、この世のすべてだけを望んでいました」
こころの斥力が肌を象徴するとき
過不足なく誕生する
<背信>
プラスチックの気がふれて
私たちはあふれていた
ありふれた似姿で

  みんな似非になった平日の
  花弁にかたどられた憂鬱の
本懐さえもありあまる嘘偽りの

    な
    い

感情は平準化されて下さい
感情は平準化されて下さい
私にふれて、どうか
この中に入ってきて下さい

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