やわらかい底

うまくやれるだろうか
からっぽの梅肉
肌をつまみ
甘皮を舐めるようにして
胸さきの石英は綻んでゆく
じりじりとちかづいてくる安全のために
炭酸を抜かなくてはならない
雪解けに耳を傾け
ひとりでにまるまる善良な背中
うまくやれるだろうか
「是非!」と叫び哄笑する大人たちは
内省で椅子を壊す
体温はたちまち立ち消えてしまうけれど
いのちの満ち欠けるリズムでぼくは
改行だけをしていたい
うまくやれるだろうか
詩のぬけがらを森へ返し
運河のゆく末で舌を失って
気持ちのいいものが角ばりはじめたところで突如、
空の構図を思い出した
ほんとうに価値あることは
色と形を覚えることだから
明け方の光はありあまるのだ
うまくやれるだろうか
ふるい落とされた白粉
はちきれそうなふともも
歪曲したすべり台
発情して砕けたくるみ
知らない文字などを使わずに済むように
くるぶしは声に浸ろうとしていた
うまくやれるだろうか
ここはなんだろう
抽象をやめた天井の木理に
雨は正しくしみこむ
細心の慈悲でなぐさめるように
中身のない袋を抱え
口からはたくさんの凸凹が吐き出されていたので
ここにはてざわりだけがある

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