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雨がわからない

脊椎の痛みをわけあたえよう
祈りが路端におちているようだ
繊毛がわななく鐘の平たさだけを帯びて
短い言葉ではまずい文明以後の朝
熟れたつくりものは泥吐弁を持たなくては
銃眼はふかいところから聞き耳を立てている
赤ん坊の声ではない 金属音だ
狭さが遅延していく爛れた夕暮れ
のびやかな種が木漏れ日に浮き出ていた
アメリカの歯はしろい

ふ型の靄に光線を奪われてゆく
罪のすそを祈りたためば
そこはもう沼沢地でない
革命の倉庫からの狼煙が低くたちこめて
生産が失われるときはじめて見える
欲望の地平と我々をつなぎとめる繋索

見えない目的をもつ
輪の匂いがつよくなる
工業の煙から生まれる強い信念がうわずる
灰色に重くのしかかる空は
街を説き伏せて痰まじりの咳をしている
悲哀が正当化されようとし
コールタールが日夜塗りつけられるゆえに
我々はじめじめしている
ひとつなぎの暗黒を作らずには
生きることができない一群の薄紫色の安息

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