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ねじれ

下から光が降り注ぐ。
そのはじまりは好奇心の甘さ。
タブノキの美徳を持つ人々は
耐えがたい高温の中で逆上を抑えている。

余りは数々の熾烈を超えた。
木陰からは恐ろしい欲動がはみ出している。
破裂するか萎え萎むかを選びうる、
風船が不動であることを明証してみせよ。

所有は受難に他ならない。
しかし、喪失は運動を意味している。
バラの花は告示した、
我々の喜びが深刻であることを。

ポットの中身は無意味に巡る。
愛の実りと死の痙攣を含有した産声を聴くと
感情が須く離散する。
鼓舞せよと喚いた軍人は死にゆくが
諦めを歌う詩人は生き抜くことがない。

現代の涙は悲哀を象徴しない。
正気を保った球根が転がるように
賢者たちは存在をやめる。
沢山の臓器が持ち主を飛び越える世界に
どんな憂いがあるというのだろうか。

100年計画を思い出すことだ。
異形となった我々の舌は黒く光る。
不安と孤独の色眼鏡を買い求めよう。
観ないことに救いを求めるという拮抗を
噛みちぎるほどに魂は薄れる。

日々はおおまかにゆく。
色を失ったような否定の滝に打たれ
水深を図りかねている。
行為する行為それ自体を振り返る行為は
なにか規範を持ちうるだろうか。

恐れおおくもまだ若い族長が旅へ出た。
曖昧な金言はすぐに風化してしまうので
理性の箱の8の頂点は同化を求める。
バターナイフがゆっくりと断つ。
明るい夜空から季節を逆算せよ。

壮大な乖離によって我々は、
惨めでも快楽でもないものへと至る。
地獄が煉獄と同化してしまったがために
崖から飛びたつものが後をたたない。

ひとつめの不足から世界は動き始める。
ふたつめの不足は失望を、
みっつめの不足は絶望を与える。
そして絶望は脳を煮沸する。

見えないものを探る手は
感受を超えて叙述に至ろうとする。
安全を前提とした空間では
自己の戦争が始まるに違いない。
ーーだがそれはまずい。

時間は風と同じように奪われる。
残虐さすら感じさせないほど、軽やかに。
個体は他者に引きずられ、流動する。
知ることと祈ることは似ている。
それはある種の手繰り寄せであり、
喜びと見分けがつかない。

不具に抗うことを人が闘争と呼ぶのは、
それが戦争と異なることを主張したいからだ。
黒い幸福とは何かを問う。
生を感じる瞬間を分節するような、
取り乱したりしないものの戯れ。

悲しみはとてもあたたかい。
触りがたいほどに。
帰納と演繹はぶつかる。
強度への信仰を研ぎ澄ませ、
静かに笑っている。

あらゆるものへの懐疑が
まっさらになるとき、
私たちは構造を溶かす。
ノイズは入れ子をなし
さわやかな朝を迎える。

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