塔と穴

きみの粉末で
穴をみがく
言葉にあいた穴
誕生のための

(血が流れている)
頭がでかい!

塔のかげは
殺生したり
救済したりする
よって
ない塔をこそ
建てなけばならない

反復する
罪の
累々によって
比喩を捨てた塔は
生まれるという罪で
穴を迂回する
迂回して
嘔吐だ

時制がゆるまり
穴を指向する水は
勾配をあやまっている
積めよ、罪をこそ
清らかな穴
汁まみれにして
突き抜けるやつは
ちぎれるまで吸う

ない塔は
筒ではない
ない筒は
穴ではない
ない穴は
塔ではない
ない塔を建てろ

きみの脳を穿つ
程なくして
塔という穴が
おれの地平に聳え拡がる
ぷくりとした穴
いかれた塔
吹きこぼれる少女を
まともでなくなるまで
指でなぞる
倫理?

穿り返すように
混濁し
突き上げるように
拒絶する
おれは
なにも書いていない
おれはなにかを
産みだしたことがあったか?
ーーええ、これは
長短の調です

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