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身体検査A後から始めたいこと ー 脳波検査、3次試験(面接/操縦適性検査)、航空大学校入学後を見据えて

今回は、身体検査A終了後、今後を見据えて何を始めたらよいかについて紹介します。
令和5年度試験の身体検査Aを終えられた方向けの記事としていますが、これから一次試験を受ける方にも参考になる部分があるかと思います。一次試験に向けて勉強中の方も、息抜きに読んでみてください。



1. 身体検査B(脳波検査)に向けて


脳波検査はできる対策がほぼありません。
当日の流れが分かっていると少し緊張もほぐれるかと思います。
当方の2次試験対策記事でも紹介した内容ですが、簡単に令和3年度の検査の流れを説明すると、

まず、合格発表1〜3日後に通知書や案内が郵送されてきます。
当日、所定の時間に、身体検査Aと同じく羽田空港第1ターミナルの北エントランスから会場へ向かいます。
同様に航大の職員の方による本人確認、検温を済ませ、健康管理センターへ誘導されます。続いて、受験番号の順に(5人ずつくらいで)看護師の方に呼ばれ、前回採血をしたやや広めの部屋に誘導されます。そこで検査についての説明を受け、番号の若い順に1人ずつ担当の看護師の方に呼ばれ、脳波検査を受けます。

航大の身体検査では健康管理センター内の部屋を総動員し受験生を捌いていかなければならないため、普通の診察室内に脳波検査ができるようにセッティングされていました。
カーテンがしてあるものの大して暗くない部屋に案内され、ベッドに横になり電極を貼り付けてもらいます。途中で光刺激を与えて脳波の変化を観察するため、光刺激を与えるための機器が頭の上に置かれ検査が開始します。
まさしく下の図のような配置になります。(引用:https://www.kango-roo.com/learning/1489/)

スクリーンショット 2022-09-13 10.56.07


航空身体検査マニュアル(神経系)では以下のように脳波測定を実施するよう記載されています。

スクリーンショット 2022-09-13 10.58.09

マニュアルでは「睡眠まで」と記載されており、永田町つばさクリニックでは規定の30分を超えても被験者が寝るまで検査してくれましたが、航大の試験では寝ても寝なくても良いようでした。時間の都合でしょう。
光刺激は、先程の絵のような頭上の機械からフラッシュを出します。
過呼吸は、看護師の方の指示に従って深呼吸をします。

終了後は、自分で頭についたグリース(ジェルのようなもの)を落とします。残念ながら我々は患者ではないのでスタッフの方は落としてくれません(泣)。シャンプーを持ってきておけばよかったなと思いました。ハンドタオルは必携です。ドライヤーは貸してもらえますし十分数あります。短時間で洗うことを考えれば髪は短く切っておくと楽です。

脳波検査を受けるにあたっては、疲れをためすぎないことくらいしか対策はないと思います。いつもどおり緊張せずに臨めば大丈夫です。ここで異常があった場合は運命だと思うしかないでしょう。先天的な要因などで、どうしても落ちる人は0ではありませんが対策のしようがありません。

この先輩のブログも少し前のものですが参考になる部分があるかと思います。


2. 航大三次試験に向けた準備


2023年1月24日から2月7日実施予定の3次試験までまだ時間はありますが、今のうちから試験の実施方法や早期に備えておくべき事項を把握しておくと安心かと思います。もう始められている方は、軽く読み流してください。

まずは3次試験の概要を把握しましょう。

令和5年度入試の募集要項では、
「面接試験及び飛行訓練装置による操縦適性検査」と記載があります。例年、3対1の個人面接試験と航大のシミュレーターを利用した適性検査の2科目が実施され、一次試験、二次試験の結果も合わせて最終合格者、補欠合格者が決まります。

受験生ご自身の現在の学問や仕事がもちろん最優先ですが、9月の時点で3次試験に向けて意識すべきこととしては、
① 三次試験の実施方法や流れを掴む
② 面接カードの準備、面接の準備を始める
③ 資格の取得

あたりかと思います。

まず①ですが、以下の記事で流れを詳しく紹介しています。気になる方はお読みください。


続いて②ですが、令和5年度入試では二次試験の合格発表が2022年12月28日、そして三次試験は受験番号の最も若い人で2023年1月24日であり、二次試験の合格通知と面接カード(ESのようなもの)が郵送されてから返送期日までが極めて短いことが予想されます。令和4年度試験でも1週間弱だったと後輩から聞いています。
面接カードの設問は数年前に、航空大学校を志望する理由の欄が「エアラインパイロットを志望する理由」に変更となりましたが、以後変更されていません。令和5年度がどうなるかはまだ分かりませんが、早期に準備を始めておくと安心です。インターンなどで自己分析が進んでいる方は焦らなくても大丈夫ですが、まだの方は早めに取り掛かった方が良いと思います。
航空大学校の面接は、質問の多くが面接カードの記載内容から掘り下げられます。したがって、面接カードは面接での深堀りに備えて推敲を繰り返し、身近な友人や家族、キャリアセンターのスタッフなどからも添削を受けて抜け目のないものを作り上げることが必要になります。ここに、秋から早々に準備するべき理由があります。面接カードの各設問がどういう意図で用意されているか、航空大学校はどういう人材を求めているか、その人物像に自身がマッチしているんだと面接官に伝えるためには自分のどういう人柄、熱意、これまでの経験が活かせるか、十二分に考え抜いて準備しましょう。

面接カードの準備や記入の上でのポイント、面接で実際に聞かれた質問などはこちらの記事にまとめてあります。参考にしてください。操縦適性検査の詳細な実施方法と対策についても掲載しています。


続いて、③の資格の取得についてです。先程紹介した記事でも説明していますが、航大の面接を意識する場合、TOEICと航空無線通信士はとっておくとよい資格です
もちろんどちらも必須ではなく、どちらも取らずに合格した人もいます。しかし面接カードの資格の欄に上記の記載がない場合、面接で聞かれることが多々あります。
まずTOEICですが、700~900くらいのスコアの受験生が多い印象です。稀に900超もいます。航大の先の航空会社の採用も見据えて、なるべく高スコアを取っておきたいところです。
航空無線通信士は、こちらも必須ではありませんが、募集要項の「宮崎学科課程を修了するまでに「航空特殊無線技士」以上の資格がなければ退学になります」の記載の通り非常に重要な資格です。次回の航空無線通信士国家試験は、受付が2022/12/1から12/20、試験日が2023/2/24〜2/25です(実施案内のリンク)ので、未取得で受験予定の方は、面接カードに記載こそできませんが、面接で聞かれることも想定し、入学前までには合格できるように出願しておくと良いと思います。特に1期での入学を希望されている方は重要になるかと思います。
航空無線通信士国家試験の勉強方法は色々なブログが散見されますので調べてみてください。基本的には過去問を叩き込めば受かる試験です。内容を熟知しておくことより まずは資格を取ることが重要な試験ですので、受かる対策を。1週間程度から、忙しい人は3週間くらいしっかり過去問ベースで勉強すれば受かります。


3. 航大三次試験に向けた準備 ー さほど急がないもの


急がないものとして、
・移動手段や宿泊の確保
・操縦適性検査の対策

が挙げられます。

宮崎までの移動手段や宿泊は、2次試験合格発表後の通知で3次試験の受験日が確定した時点で確保すれば十分かと思います。

操縦適性検査は、先程の3次試験対策の記事でおすすめのシミュレーター施設などを紹介しています。もし施設などで対策なさる場合は当然ながら費用がかかるため、二次試験の合格発表後に予約すると良いかと思います。


おそらくこのnoteをご覧の方は、色々なブログ等を閲覧されている方、される予定の方が多いかと思いますが、他の記事を参照するに当たり知っておくと良い歴史的な流れとして、
●令和元年度試験まではボナンザのシミュレーターによる試験。
●令和2年度試験よりシーラスSR22シミュレーターによる試験に変更。試験内容が変更され上昇旋回などが課されるようになったほか、負荷計算と呼ばれる、操縦中に試験官から飛んでくる計算問題(マルチタスク能力を見るようなもの)が実施されなくなった。
●令和3年度試験(筆者受験年度)は試験日直前で感染拡大で操縦適性検査中止。面接のみ対面で実施された。
●令和4年度試験は操縦の内容としては令和2年度と同様。変更点は感染対策が施された点。令和2年度と同様に操縦中の計算問題なし。
という若干の変遷がここ数年であったため、それを踏まえて色々なブログを漁ると混乱しにくいと思います。


4. 最終合格後

合格後という表題にしましたが、時間的余裕があり航大受験対策以外に何かしたい人向けにも少し私見を書かせていただきます。

まず、航大合格者向けの内容はネバギバさんの以下の記事より詳しいアドバイスはできないためこちらに譲ります。


少し内容が被る部分もありますが、私のおすすめとしましては、
① 趣味に没頭する
② 英語力の強化、気象やフライトの勉強
③ 体力をつけておく
④ マネーリテラシーを高めておく

です。

まず②の中の英語についてですが、先程の記事でも触れられていた通り、やはり国内の会社はTOEICを一つの指標として重要視する現状があるため、TOEICのスコアの維持ないし底上げは必須でしょう。さらに、英会話面接なども想定し、英会話も多少は慣れておくと良いと思います。
日本にいながら英会話スキルを上げるのはなかなか難しいですが、例えばNHKラジオ英会話やDMMのオンライン英会話など、ご自身が毎日継続できる範囲で、何か日常会話に触れておくだけでもいざというときの自信になります。暫くまともに話していない、という状態を作らないことが大切かと思います。


次に④です。あまりこういう話をする人はいないと思うのですが、前途有望なパイロット候補の皆さまは、訓練で忙しくなる前の今のうちに最低限のマネーリテラシーは身につけておくべきかと個人的に思います。具体的に記すとFP3級レベルの知識です。既に勉強されている方は軽く読み流してください。

(一部の)先輩たちは、NISAもiDeCoも「よくわからないから」という理由で遠ざけ、筋トレしてる方が人生のためじゃね?と筋トレに明け暮れ、フルローンでタワマンを購入したり外貨建て保険に重課金したりしています。不動産投資の話を業者だけでなく仲間内から持ちかけられることもあるでしょう。「節税対策のために2000万でマンション買わないか」と業者から怪しい電話がかかってくるかもしれません。不動産や保険、投資信託、年金、などのワードを聞いてピンと来るでしょうか。
社会人になるにあたり、お金の体系的な知識を学んでおくことは非常に重要です。国は賢く節税されたくはありませんし、お金の細かいことを義務教育で教えません。エアラインパイロットは基本的に会社から給与をもらうため、確定申告は給与の年間収入2000万円以下なら基本不要ですし何となく生きていくことはできますが、上手に節税し上手に資産を運用する最低限の知識はあるに越したことはないでしょう。

何から始めればいいのか、という方は以下の教材をおすすめします。

みんなが欲しかった!FPの教科書、問題集

TAC出版の教科書と問題集で、FPの試験会場でも多くの受験生がこれを読んでいました。TAC出版以外にも書店ではたくさんの参考書や問題集が販売されていますので、自分に合うものを探してみても良いでしょう。

まず、試験自体に受かるための勉強方法ですが、
①教科書を2周程度読み込む(これが初学者は結構大変だが勉強になる)
②市販の問題集、もしくはネット上の過去問を解く

で十分受かります。②だけでも受かると思います。何せ合格基準は学科問題と実技問題どちらも6割です。

ここで大切なのは、我々にとって重要なのはFPの資格自体ではなく体系的な知識の習得である点です。資格はおそらくほとんどの方のパイロット人生において何ら意味をなしません。そもそも試験自体受けなくてもいいくらいなのですが(8千円ほどしますし)、目標があるほうが勉強が捗るためおすすめします、というだけです。勉強に取り組んだ努力や時間が資格という形になることも無意味ではないと思います。試験自体は過去問ゲーで、航大を受けるような皆さんはちゃんと勉強すればまず合格しますので、とにかく教科書を舐め回すように熟読することを重視してみると良いです。先程の教材はかなり丁寧に説明してくれていますが、それでもピンと来ない単語は調べたりしつつ広く知識を身につけると良いと思います。

私の医学部時代の友人や後輩たちの間でも、学部生のうちにFP3級を取ることが徐々に流行ってきています。もちろん医者もキャリアにおいてFPの資格自体はほとんど意味をなしません。しかし、なるべく給与を貰い始める前の早い時期にお金について体系的な知識を身に付けておくことは、自身の人生にマイナスになるはずがありません。いいカモにされないためにもお勧めします。

FP2級も実務経験なしで受験可能ですが、知識としては3級までで十分です。
少しでも高みを目指されたい方、また英語や自己分析以外に何かに取り組む時間的余裕がある方は、3級取得後に2級にも挑戦してみてください。


さいごに

ここまで様々な内容を紹介してきましたが、いずれも時間がある方向けです。時間がない方は、とにかく最終合格に向けて準備することが先決ですので三次試験に向けて入念に準備を進めてください。
実りある受験生活となれば幸いです。応援しております。

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